各地から夏の甲子園の都道府県大会の予選組み合わせのニュースが多くなってきました。今日は、長野県大会の組み合わせが、いよいよ決まります。
さて、今年は100回目の記念大会ということもあり、通常の49代表に加えて、神奈川県、愛知県、大阪府、千葉県、兵庫県、埼玉県、福岡県が2つの地区に分かれて、56校の出場枠になります。
三年生にとっては、「敗退=引退」となるケースがほとんどです。「1日でも長く戦いたい」と、そんな感情を抱きながら、部活動に励んでいることでしょう。しかし、世の中は、いくら努力しても、自分の力だけではどうにもならない現実もあるのです。
189分の1=甲子園出場=25分の1
これは昨夏の高校野球の地区予選における「神奈川県」と「鳥取県」の甲子園に行ける確率を示した数式です。出場校の数は、神奈川県が189校、鳥取県が25校であり、その格差は7.56倍になります。選挙における一票の格差問題であれば、「違憲」状態になる数字なのです。しかし、高校野球においては、これは「イコール関係」になってしまいます。
以前から、高校野球では代表校の「地域格差」は指摘されています。これは、高校野球のみならず、他の競技においても、ほぼ同じような状態になります。ちなみに、昨年の夏の甲子園出場をかけた地区予選で、参加校の多い地区と少ない地区は次のとおりです。
【参加校の多い地区】
(1)神奈川 189校
(2)愛知 188校
(3)大阪 176校
(4)千葉 168校
(5)兵庫 162校
【参加校の少ない地区】
(1)鳥取 25校
(2)高知 28校
(3)福井 30校
(4)徳島 31校
(5)山梨 36校
今年も、ほぼ出場校数は変わらないと思うのですが、今回の記念大会の限定措置での出場校の多い都道府県が2校出場となったとしても、抜本的な格差是正はされません。また、神奈川県の場合、決勝まで勝ち抜くには通常、初戦(シード校の場合は一回戦は免除)から7~8連勝が必要なのですが、鳥取県は4連勝で甲子園の出場の切符がつかめます。
ただし、単に甲子園を目指すのであるならば、鳥取県よりも高知県の方が甲子園に出場しやすい環境にあります。
これは、2000年以降17年間の鳥取県(左側)と高知県(右側)の夏の甲子園出場校です。
2000年(第82回大会) 米子商高 / 明徳義塾
2001年(第83回大会) 八頭高 / 明徳義塾
2002年(第84回大会) 倉吉北高 / 明徳義塾
2003年(第85回大会) 八頭高 / 明徳義塾高
2004年(第86回大会) 鳥取商高 / 明徳義塾高
2005年(第87回大会) 鳥取西高 / 高知高
2006年(第88回大会) 倉吉北高 / 高知商高
2007年(第89回大会) 境高 / 高知高
2008年(第90回大会) 鳥取西高 / 高知高
2009年(第91回大会) 鳥取城北高 / 高知高
2010年(第92回大会) 八頭高 / 明徳義塾高
2011年(第93回大会) 鳥取商高 / 明徳義塾高
2012年(第94回大会) 鳥取城北高 / 明徳義塾高
2013年(第95回大会) 鳥取城北高 / 明徳義塾高
2014年(第96回大会) 八頭高 / 明徳義塾高
2015年(第97回大会) 鳥取城北高 / 明徳義塾高
2016年(第98回大会) 境高 / 明徳義塾高
2017年(第99回大会) 米子松蔭高 / 明徳義塾高
鳥取県は2000年以降の17年間に7校が出場しており、鳥取城北高と八頭高の4回が最多です。近年、鳥取城北高が台頭していますが、そうは言っても、他校も優勝しています。
一方、高知県はというと、17年間にたったの3校。その中でも明徳義塾高が13回と飛び抜けており、しかも8年連続の出場となっています。続くのが高知高の4回となっています。
これだけを考えますと、甲子園に一番近い高校は、高知県の明徳義塾高ということになります。ただ、誰でも同校に入れると言うものではないでしょうけど。
ちなみに、物理的に近いのは兵庫県の次の3校です。
西宮東高校:甲子園球場とはキッザニアを隔てて南東の方角にあります。
西宮今津高校:海側にあります。
鳴尾高校:甲子園からは北東の方角にあります。なお、ここは選抜大会に出場したことがあり、準優勝しています。