今年の高校野球は春と夏ともピッチャーの投球数について議論がありました(まだ、現在進行形ですが)。
発端は選抜大会で済美高(愛媛)の安楽智大選手が5試合で772球も投げ米国まで巻き込んだ議論となりました。その安楽選手は夏の大会では三回戦で姿を消したのですが、優勝した前橋育英高(群馬)の高橋光成選手は6試合中5試合で687球。
安楽選手よりも投球数は少ないものの、この夏の酷暑もあって、準決勝戦では熱中症の症状が出ていたといいます。
以前からピッチャーの酷使を防ぐための議論は交わされてきていたと考えます。今年から導入された準決勝前日の休養日は改善策の一つであったはずです。
テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有選手は選抜の後で、ツイッターで「出場登録人数を25人にして、学年別に球数制限がいいか」と提案したことがあります。
さて、この投球制限ですが、この制限を設けると、おそらくですが野球の強豪校がさらに偏ってしまうのではないかと考えます。
つまり、エースと同等の力を持ったピッチャーを何人も揃えることが出来うる私立校が俄然有利になってしまいますよね。実際、一人のピッチャーに頼らなければならない公立校からは投球制限については反対意見が出ているらしいです。
選手を集めるのではなくて、育てればいいじゃないか?というように言われるかもしれませんが、シニアや中学での四番でピッチャーというような子たちが自然と集まって来る私立校の方が有利ですよね。
観る方の勝手な観点としては、やっぱり決勝戦でのエース同士の投げ合いを観てみたいものです。
それが、(失礼ながら)一方のチームが二番手、三番手のピッチャーというのは興味が削がれてしまいます。でも、両エースのヘロヘロの姿も見たくはありません。
また、本当に強いチームというのも観られなくなってしまう可能性だってあります。
一方、スケジュール調整して、さらに休養日を設けるとなると、各学校の資金面の問題もあって現実的ではないとのこと。ベンチ入り選手は1人1日7500円の補助があるそうですが、ベンチ外の部員、応援団にかかる費用(宿泊、食事、移動など)は学校負担になるそうです。一試合あたり1,200万円以上かかるとか。
ちなみに、甲子園の外野席は無料なのですが、アルプススタンド入場料の400円は負担しなければならないそうです。
選手の健康を守りつつ、費用負担もかからない。そんなベストな解決策は何でしょうか?
参考
軟式野球連盟での少年部・学童部の投球制限については次のとおりになっています。
「投手の投球制限については、健康維持を考慮し、1日7イニングまでとする。なお、学童部3年生以下にあっては、1日5イニングまでとする。投球イニングに端数が生じたときの取り扱いについては、3分の1回(アウト1つ)未満の場合であっても、1イニング投球したものとして数える」
これはあくまでも、軟式野球連盟主催の公式大会に適用されるものであります。
また、全国中学校体育大会全国中学校軟式野球大会では次のとおりです。
「競技規則; (4) 投手は、1日に9イニングまでを限度とする。(ただし、特別延長戦は除く)」
中体連では延長戦は全試合9回までであり、それでも勝敗が決しない場合は、10回から特別延長ルールが適用されます。