11月18日に熊本県熊本市内の高校で行われた硬式野球の練習試合で、打席に立った二年生の野球部員の頭にピッチャーが投げたボールが当たり、病院に搬送されましたが死亡してしまうという、痛ましい事故が起こりました。
ニュースなどの報道によりますと、デッドボールがヘルメットのガードのない後頭部に当たり、その直後、倒れて意識を失ったそうです。高校野球ではバッターのヘルメットは左右に耳当てが付いているものを使用しなければなりません。今回はヘルメットの左耳後ろ側と首との境にボールの跡があり、かすめた球が首の後ろに当たったのではないかとのことです。
日本高野連事務局によりますと記録のある1974年以降、練習を含む試合中の選手の死亡事故は今回を含めて9件になるそうです。うち、デッドボールによる事故は3件あり、ますが、頭部に当たった死亡事故は今回が初めてだったそうです。
野球という競技ですから、デッドボールはどうしても避けられない、確率的に起こってしまうことの1つだとは思っていました。ただ、最悪の事態は今まで発生していなかったことは、不幸中の幸いであって、今回、改めて注意しなければならないとことであると思います。
今回のように、相手の命を奪いかねないデッドボールですので、故意にボールをぶつけることはないと思います。ただ、最近は逆にバッターは相手ピッチャーに内角球を投げにくくさせるために、ホームベース側ギリギリにバッターボックス内に立つことも多くなってきています。
最近のバッターは、剣道の防具よろしく、スパイクの甲から、スネをフットガードでサポートし、ピッチャー側のヒジをサポートし、今年の後半にプロ野球ではやったヘルメットのフェイスガードを施すようになって、バッターの安全性が高まって来ています。
その分、バッターが体の近くを襲う投球を避けなくなってきていることも現実だと思います。現に、身体に投球が当たっても、デッドボールとして認められないプレーを試合中に数回は観られたりします。つまり、ボールを除けていないのです。まあ、バッター本人も除けていない自覚があるようなそぶりがあります。しかし、身体に向かってくるボールはキチンと除けないとやっぱり危険でしょう。今回、どうやって除けていたのかはよく分かりません。
これもよく見るパターンとして、ピッチャーの投球がバッターの肩口付近に来て、バッターは身体をキャッチャー側にねじり、背中を壁にするようにして投球を受け止めたりします。高校野球のデッドボールの過去の死亡事例の残り2つは、左胸と背中だそうです。
1994年5月に千葉県での練習試合で、当時高校二年生だった選手が背中にデッドボール受け、一塁まで走りベース上で倒れました。救急車で病院に運ばれたが、既に死亡していたという事故があります。死因は外傷性ショック死で、ボールが心臓の近くに当たったため、ショックが大きかったのが原因と考えられています。
高校野球のみならず、軟式野球の指導者の方にはデッドボールの正しい除け方を選手らに教えて欲しいと思います。
痛い思いをするどころか、最悪の事故にもなりかねませんし、家族やチームメイトだって悲しい。それに、ぶつけてしまったピッチャーだって、今後、野球を続けられる気持ちかどうか。
亡くなられた選手のご冥福をお祈りするとともに、悲しい事故が繰り返されないことを切に祈りたいです。