先日、といっても約1ヶ月も前の1月19日に放送された「報道ステーション」(テレビ朝日系)に棋士の羽生善治竜王が出演していました。
番組では、竜王戦が行われる室内を再現して、対局室のマナーやライバルのことなどを語っていました。続いて「羽生さんをよく知る人からのメッセージ」として、羽生さんに誰からのメッセージかは明かさず、掲げられたメッセージボードが読み上げられました。
娘さんたちからのメッセージだということを明かされ、「表情変わらなかったですね」といわれると、「ちょっと動揺してて」というものの、普段は見られないような嬉しそうな表情を見せ、照れすぎて汗をかいてしまったらしく、手で顔をあおぎました。
大学生になる長女からのメッセージ
家では仕事の話はせず一言もマイナスな言葉を言わない父です。
「言葉は人をつくる」だからこそ口に出す言葉はよく考えて大切に。の信条を体現する父。
一つの仕事を頑張り続けている父をとても尊敬しています。
高校生になる次女からのメッセージ
家ではほんわか優しくて、怒られた事はありません。
バラエティ番組を見て一緒に笑い、悲しい時も一緒に悲しんで泣いてくれる。
いつも私たち子どもの気持ちに寄り添い、共に分かち合って並走してくれる、そんな父が大好きです。
報道ステーション ーより引用
一見、子どもたちに優しそうな父親のようですが、奥さんは
「取材では真理を語る主人だが、我が子には厳しく獅子の子落とし流。高2の頑張り時に推理小説と名探偵コナンにハマり抜け出せない子供に一言。『そんなに好きなら塾辞めて漫画の研究者になって本気で研究すれば良い』と真顔で言い放った。対局時の鬼恐さ。熟考の後、子の転機に」
とTwitterで言っています。
さて、羽生竜王は、家では極力マイナスなことをいわないようにしているといいます。
また、「言葉は人を作る」という信条に対しては、「いってる言葉から感情が生まれることもあるので、負のサイクルに入らないように気を付けている」とのことです。
今さらながら、見習わなければいけません。でも、私の場合は「言いたいことを、包み隠さずにありのまま言う」という、良い方に捉えて欲しいものですが。
人は言葉を使って思考しています。その人が持つ語彙の範囲は、思考の深さ・広さにダイレクトに影響し、その思考が人生をつくります。相手の今までの経験が丸ごと詰まっているのです。ですから、相手のことを知りたければ、話を聞いているだけで良いのです。
言葉が人を作っています。
どんな話題なのか、どんな言葉使いなのか、どんな口調なのか。方言は出身地などを教えてくれますし、話題はその人が持つ趣味嗜好だったり、声色で精神や健康状態もわかります。世の中をどのように見ているのかも聞こえてきます。
人は言葉を持つことで自分を認識することができます。他人と話す以外にも、脳内で言葉に発していない会話をしているし、独り言もつぶやいたりします。ネットなどの書き込みも独り言みたいなものです。相手がいるのかいないのかが微妙なところで、だから本意が伝わらず、失言につながったり誤解が起こって炎上したりもするのです。
ある心理学者はこんな言葉を残しています。
言葉が変われば心が変わる
心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
ウイリアム・ジェームス
この言葉は、松井秀喜さんが星稜高校時代に野球部の山下智茂監督(当時)から贈られた言葉で、ご存知の方も多いと思います。
羽生竜王の座右の銘は「運命は勇者に微笑む」だそうです。特に出典はなく、自ら考えた言葉とのことです。
自分の読みを信じて踏み込み、勇気を持って挑めば、運命の女神に選ばれるということでしょう。そのために、その最初の段階として、言葉を大事にしているということだと思います。
「言葉は人をつくる。だからこそ、口に出す言葉はよく考えて大切に」
素敵な言葉です。