お正月も過ぎ、プロ野球選手の自主トレーニング(自主トレ)が話題になっています。昨年秋のドラフトで指名された新人選手も新人だけの自主トレから選手会合同自主トレに合流し、いよいよ本格的にプロ野球の仲間入りです。
ニュースなどを観ていますと、どの新人選手も新人王候補と思えるくらいの期待度になっています。入団決定後にはチームから「自主トレまでにはこんなことをやっておくように」とトレーニングメニューを渡されて臨んできていると思いますが、いざ始まると張り切りすぎてリタイヤというニュースもちらほらと。中にはドラフト上位で指名された選手もいます。
プロに行きたいという希望を持っている高校生・大学生は、プロ野球志望届と同時に退部届も提出し、正式には、ドラフト前に野球部員ではなくなります。高校生の場合は所属していたチームは新チームになって、秋の大会で選抜出場を目指している中で、練習に参加させてもらうことになります。もちろん、プロ以外の大学、社会人などで野球を続けるために、練習は続けていたい選手もいます。
プロ野球選手などを多く輩出している強豪高校には、この時期のマニュアルがあるそうです。もちろん、現役選手とは別メニューが指定されているそうです。現役は大会に備えてですから、調整的な内容です。やっぱり、それだけでは不充分であって、大学、社会人を飛び越えて高校からプロへ行くのですから、厳しい練習が必要とのことです。これは高校からプロへ行く選手だけでなく、これから上のレベルで野球を続けようとしている選手、たとえば中学から高校へにも当てはまります。でも、トレーニングの前に高校合格が条件になるのですからね。
さて、ほぼ一年間野球をやっているような現役生にとって、このお正月を挟んだ年末年始休みは文字どおり練習もお休みでした。ただ、この期間もトレーニングを続けておかなければ、休み明けの練習に付いて行けなくなってしまって後悔しかねません。「きっとみんなのんびりしているのだから、自分ものんびりしていいだろう」って思いたいでしょうけど、でも、それやったら「負け」ですから。
全体で練習している間は、個々の伸びしろはともかく、同じような感じで成長します。やっぱり差が付くのは個人練習の時だろうと思います。勉強と一緒です。家に帰ってからどのくらいの時間、机に向かうか、塾へ行って勉強してみるかですよね。ただ、キチンと意識を持ってやらなければ、意味のないものになってしまいますけどね。それだけやっておけば大丈夫って思ったら、ダメなんです。それはやっておく最低限のノルマだってことなのです。
また、普通は意識するのは同級生だったりしますよね。でも、上のレベルに行って活躍したいと思っているのでしたら、実際の競争相手って既にそこにいる選手たちです。ポイントは意外とそこだったりするのです。意識はしておくべきではありますが、あまり意識すると気持ちは焦ってしまい、身体はオーバーワークになってしまったりするので注意は必要です。特に一人で練習やって来ることになりますから、きっと、合流したときに「しまった」と思って後悔しては遅いです。
まあ、そうは言っても何とかやれるぐらいの身体を作って置くくらいで充分じゃないかと思います。あまり身体を完全に作ってしまっておくと、他人より良いところを見せようとしたくなり、無理してパンクしたりして、余計な遠回りをしてしまうかも知れませんですから。逆に、その時に要求されている動きが出来ることが大事です。そういうところは自己管理としても見られます。
プロ野球の自主トレの話に戻ります。
自主トレの行き先を見ていますと、大きく二つに分かれます。一つは暖かくて身体の動きやすいところ、もう一つは寒くても日本で身体を作っていきたいというタイプです。暖かい代表なのはグアム、ハワイあたりです。中には米国本土まで行く選手もいます。
ちなみにジャイアンツの場合、伝統的にグアムには6人くらいのグループで、ピッチャー陣と野手陣が行っていますが、選手がそれぞれ6人くらい、トレーナー、専属調理師、ヘルパーと9~10人くらいになるそうです。もちろん、自主トレですから費用は選手が負担することになります。
約二週間のグアム自主トレでは一泊約35万円のペントハウスに全員で宿泊。球場を借りるにも一日約8000円の費用がかかり、その他トレーナー、専属料理人、ヘルパーの渡航費や滞在費など、総額約500万円前後が必要だとのことです。ちなみに、この費用を負担するのは自主トレグレープのリーダーの役目になるそうです。
この先輩選手が後輩選手の費用を負担するというのは、どこのチームも同じことであって、○○組とか○○班とか呼ばれ、また次の代へと引き継いでいくのがプロの習慣だそうです。
結果を残してお金を稼がなければ、後輩たちを連れて行くことは出来ません。見えないところでのプロ野球選手の苦労の一端ですね。
また、オフの時はゴルフをしたり、飲んだりというニュースもありますが、それ以外にも受け入れ先との交流も積極的にしているそうで、使用した野球ボールを寄付したり、野球教室を開いたり、地元の日本人学校を訪問したり、震災のためのチャリティー募金のイベントを開催したりしているそうです。
自主トレと言っても忙しいのです。