10月20日に行われたプロ野球ドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズは6位に大阪・履正社高の山口裕次郎選手を指名しました。
下位指名のため入団を拒否し、社会人のJR東日本または日本通運に就職する可能性があるそうです。
履正社高の岡田龍生監督は「本人が『行きません』と言っているので、こちらとしても(プロへ)行かせることは出来ない」と言っています。
元々、山口選手はドラフト前に調査書を提出した11チームに、4位以下の指名であれば社会人野球へ進む方針を伝えていたそうです。プロ側は前日夜に、複数チームから4位以下での指名が可能かどうか最終確認が入ったそうです。しかし、意思は変わらなかったとのことです。
ファイターズからは事前連絡がなく、翌日に大渕スカウトディレクター、木田GM補佐、芝草スカウトが指名の経緯を説明しに同校を訪問。本人は同席しなかった。筋を通し、指名を回避した球団もあるだけに「信用問題になる」と岡田監督は厳しい表情だったそうです。
本人が順位にこだわっているプライドというものもあるでしょう。
でも、過去にドラフト6位(または6巡目)に指名されて入団した選手には、その後、大物選手になったり、現在、監督として活躍している方もいます。
ドラフト6位または6巡目指名で入団した主な方、選手。
1971年 読売ジャイアンツ 小林繁さん (神戸大丸(翌年シーズン後に入団)) ピッチャー
1973年 阪神タイガース 掛布雅之二軍監督 (習志野高) 内野手
1977年 大洋ホエールズ 屋鋪要さん (三田学園高) 外野手
1981年 西武ライオンズ 工藤公康監督 (名古屋電気高) ピッチャー
1983年 南海ホークス 佐々木誠さん (水島工業高) 外野手
1984年 阪急ブレーブス 福良淳一監督 (大分鉄道管理局) 内野手
1987年 日本ハムファイターズ 芝草宇宙さん (帝京高) ピッチャー
1991年 大洋ホエールズ 三浦大輔さん (奈良・高田商業高) ピッチャー
1998年 広島東洋カープ 新井貴浩選手 (駒澤大学) 内野手
2001年 中日ドラゴンズ 山井大介選手 (河合楽器) ピッチャー
2003年 千葉ロッテマリーンズ 成瀬善久選手 (横浜高) ピッチャー
2008年 北海道日本ハムファイターズ 杉谷拳士選手 (帝京高) 内野手
2009年 阪神タイガース 原口文仁選手 (帝京高) キャッチャー
2010年 広島東洋カープ 中崎翔太選手 (日南学園高) ピッチャー
2015年 オリックスバファローズ 佐藤世那選手 (仙台育英学園高) ピッチャー
状況は違いますが、この中で記憶にあるのが、現在福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督です。工藤監督といえば、名古屋電気高(現・愛工大名電高)で甲子園のスターだったにもかかわらず、プロ入りを拒否し、社会人入りを表明していました。ところが、1981年ドラフト会議で西武ライオンズが6位強行指名。そして、入団にこぎつけたのは有名な話です。
このとき、ライオンズの編成責任者を務めていたのが根本陸夫さんでした。当時、「裏約束があったのでは」と批判を集めることもありましたが、根本さんは「ウチはいつも、ドラフトのルールに沿って指名している。裏約束は絶対にない。誠心誠意、話し合っている」と答えたという。工藤監督も「君がプロ野球に進んだら、オレを所沢の親父だと思ってくれればいいから」と言われ、なぜか工藤監督のお父さんがこの言葉で口説かれてしまったようです。
ファイターズ以外のチームは山口選手からの通達を守ったために、指名を見送ったのでしょう。現状は4位以下での指名実力評価だったということでしょう。本人の自己評価と周囲の評価のかい離は大きかったということです。一方、4位以下だった場合にも備えて、社会人の進路も道筋を立てていたのでしょうけど、4位以上での指名されて、入社を断わってしまえば、その企業にも迷惑が掛かりかねないということは考えがなかったのでしょうか。
山口選手が選んだ道。今後、どのような結果になるかは誰も判りませんが、次回は、誰もが認めるような選手に育ってもらいたいと思います。
