野球小僧

応援と勝敗

応援とチーム勝敗の関係を調査したのは、米国ネブラスカ大学リンカーン校の学生、ブレンナ・ボイドさんです。ブレンナさんは大学フットボールの試合会場にて、ゲーム中の音量調査を行ないました。

きっかけは大学フットボールファンの間で、どちらが大きな声で応援出来るかを競う終りなき戦いが起きていたからだそうです。

音波の振幅は、音量に影響します。例えばギターの弦を強く弾いても、弱く弾いても、その振動数は同じですが、強く引いた方が音は大きくなります。これはより振幅が大きくなるからです。弦が動く距離が長くなるのですから、より大きなエネルギーが出ることになります。このエネルギーの量=振幅を計測したのが、デシベル(db)という単位になります。

【きわめてうるさい】
聴覚機能に異常をきたす
ジェットエンジンの近く、飛行機のエンジンの近く … 120db
自動車のクラクション(2m) … 110db
電車がとおるときのガード下 … 100db

【うるさくて我慢できない】
可愛くない犬の鳴き声(5m)、騒々しい工場の中、下手くそなカラオケ(店内中央)、ブルドーザー(5m) … 90db
地下鉄・電車の車内、ピアノ(1m)、布団たたき(1.5m)、麻雀牌をかき混ぜる音(1m) … 80db

【うるさい】
かなりうるさい、かなり大きな声を出さないと会話ができない
騒々しい事務所の中、騒々しい街頭、セミの鳴き声(2m)、やかんの沸騰音(1m) … 70db

非常に大きく聞こえうるさい、声を大きくすれば会話ができる
静かな乗用車、普通の会話、洗濯機(1m)、掃除機(1m)、テレビ(1m)、トイレ(洗浄音)、アイドリング(2m) … 60db

【普通】
大きく聞こえる、通常の会話は可能
静かな事務所、家庭用クーラー(室外機)、換気扇(1m) … 50db

聞こえる会話には支障なし
市内の深夜、図書館、静かな住宅地の昼 … 40db

【静か】
非常に小さく聞こえる
郊外の深夜、ささやき声 … 30db

ほとんど聞こえない
ささやき、木の葉のふれあう音 … 20db

なお、130dbまでいくと音は凶器となり、最悪の場合、耳になんらかの危害を与える可能性があるそうです。人間の鼓膜は160dbで破裂すると言われています。

ちなみに、群衆が発した最も大きな声援の世界記録は2014年9月29日のアローヘッド・スタジアムで行なわれたNFLカンザスシティ・チーフスの本拠地アローヘッド・スタジアムで7万6613人のファンの声援の142db(ギネスブックに登録)だそうです。

ミシガン工科大学のアンドリュー・バマード准教授が、ペンシルベニア州立大学院時代に、試合中の音量を記録したそうです。これによれば、ホームゲームにて、相手チームがボールを持っているときの大学スタジアム内の音量は110db、最高で122dbだったそうです。これはホームのペンシルベニアチームの攻撃中と比較すると50倍もの音量だったそうです。

この結果、ペンシルベニア大学は最も声援の振幅が効果的に大きくなるよう、生徒用応援エリア2万席を南側に移動させました。目的は声援を反響させて、スタジアムに響かせることで、ファンの興奮を高めることでした。しかし、あまりの声援の大きさによって、チームの妨げになるのではという懸念点もありました。

現実的には2013年NFLシアトル・シーホークスの試合では、選手がクォーターバックの指示を聞き取るのが難しい状況になり、ゲーム進行が遅れるペナルティとなる上に、オフェンスの連携も悪くなることがあったそうです。

ブレンナさんは、この問題がアイスホッケーの試合で起こることを気にしていました。なぜならば、アイスホッケーの試合会場は、ほとんどが屋根のある室内で音波が反響しやすい環境であり、屋外スタジアムが多いフットボールよりも、ブレンナさんの好きなアイスホッケーにおける声援問題は深刻なのではと考えたからです。

ブレンナさんの音量測定で最も騒がしかったのは、ネブラスカ大学とそのライバル・セントクラウド州立大学の試合でした。生徒用応援エリアでの声援は平均で95.5db、最大132dbでした。これは、ジェットエンジンの音を近くで聞くのと同じレベルです。

ちなみに、来年2016年2月に千葉ロッテマリーンズの本拠地QVCマリンの新大型スコアボードに球界初となる音量測定器が設置されます。

球場内の歓声の音量が表示されることになります。球団は「試合中のホームランを打った際などの大歓声などの興奮値を音量として提示したい。ロッテファンの応援、声量は日本一。その魅力をもっともっと広く知ってもらいたい」と説明していて、一定の数値に達した場合に球場内の飲食や物販が割引になるなどの連動サービスも検討中だそうです。

MLBではチーフスの本拠地に隣接するロイヤルズの本拠地カウフマン・スタジアムでファン4万502人がギネス記録の更新に挑戦したことがあるそうですが、101.1dbだったそうです。

フットボール競技場はすり鉢状になっており、野球場は平たんに造られているため、音量はさほど大きくならないそうです。
なお、室内競技場ではNBAの2013年にサクラメント・キングスが本拠地スリープトレイン・アリーナで記録した124.9db(1万7317人)とのことです。

さて、肝心の調査結果の結論ですが、試合後に選手に「声援が助けとなったか、またはプレーの妨げになったか」という調査も行いました。その結果、ほとんどの選手が声援によって、注意力がそがれることも、コーチや選手間のコミュニケーションの邪魔になることもなかったと回答しました。

ブレンナさんの調査の結果、絶対だと言い切るほどのデータとしては不充分ではあるものの、

「試合中の声援の大きさとゲームの動き、勝敗結果、ホームチームの得点数などに相互関係は見られない」

ということでした。早い話が、声援の大きさは勝利とは関係ないということです。

もし、大きく関係するのであれば、シーズン中の阪神タイガースの甲子園球場の成績は全勝です。それと、プレミア12の準決勝戦も日本の勝ちだったでしょうから。 


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
プロ野球では大声出したりしますが、高校野球では節操を持って静かに応援しています。

布団叩きは、昔どこかで事件があったくらいですから。でも、常識的な範囲ならば日常の風物詩ですものね。

私的には「蚊」ですね。どこからか、迷い込んできて、夜に♪ぷ~んとやられるのが嫌です。
eco坊主
おはようございます。

最近は応援に大声を出すことも無くなったなぁ~
いつ以来出してないんだろ・・・

布団叩きの音がうるさくて我慢できないって笑っちゃいました。
そんなに大きいかな~
犬の鳴き声は咬まれて以来うるさいどころか怖くなりました!

ところで五月に蝿の音はどうなんでしょう?
だって うるさいを漢字で書くと「五月蝿い」ですもん(笑)
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