プロ野球選手は雇われている被雇用者ではなく、球団と年毎に契約を結ぶ自営業者である。よって働き方や報酬制度が一般の労働者とは全く異なる。また年金に加入していない選手も数多く存在する。
さて、選手と球団の契約は日本のプロ野球制度を規定している野球協約に明記されています。選手と球団との間で交わされる書類は統一契約書と呼ばれ、いろいろな労働条件が記されています。日本ではほとんどの選手が単年(1年)契約であり、選手は毎年球団と契約を更新する必要があります。ですから、パッと見た感じでは選手と球団の関係を雇用者と被雇用者と見ることもありますが、労働統計上選手は自営業者として扱われています。
その理由として、一般企業の場合、労働組合の代表が雇用者と賃金交渉を行うのに対し、選手は個々に球団と年俸を交渉するからです。次に、サラリーマンの場合、雇用契約は無期限であることが暗黙のうちに了解されていますが、選手の場合原則的に契約は1年毎であるためです。そして、最後にプロ野球選手には企業年金制度が適用されていたが今では加入しておらず、かつ厚生年金にも加盟していないのです。従業員5人未満の企業や個人商店などの自営業者は国民年金に加入するのが普通ですが、プロ野球の場合加入していない選手が多いのです。つまり日本の年金制度のいずれにも加入していない選手が多いのです。その理由はプロ野球選手の平均勤続年数が約10年と短いことや、一部の選手は高額の年俸を得ていることから老後に心配をする人が少ないことに起因するのではないかと思われています。もちろん、今、活躍していなくても、将来活躍し、高い年俸を得るだろうと考えている可能性がありそうです。
最近はプロ野球選手の契約更改などのニュースで年俸についてあれこれと目にします。ただ、ニュースになるのは高額な選手が多く、その年俸は一般的なサラリーマンからすると見たことのない金額になのですよね。ただ、このような高額年俸の選手は通常1チーム70人中10人前後であり、プロ野球選手の中でもかなり少数派ではあります。2015年度に1億円以上の年俸を得ている選手は、読売ジャイアンツが最多の11名、横浜DeNAベイスターズと東京ヤクルトスワローズが最少の2名でした(外国人選手は除く)。ちなみに、年俸1億円以上の選手のポジションでは、多くのチームで半数ないし半数以上がピッチャーです。これは、どのチームも登録している70名の中ではピッチャーの数が圧倒的に多いことが考えられます。また、何だかんだ言っても、野球の華はピッチャーだということもあって、優遇した意向が働きやすいことや、選手寿命がやや短いと言われるため、高額年俸で報いようという雰囲気があるようです。
最近ではピッチャーが高額年俸になる一方で、キャッチャーで高額年俸の選手は少なくなり、平均年俸でも比較しても他のポジションより低いそうです。キャッチャーは野手の戦績で一般に使われている打率やホームラン、打点とのような指標で好成績を残すことは難しく、打撃よりも守備におけるリード、盗塁阻止率やパスボール回避率といった指標もありますが、評価において大きく考慮されないのが原因らしいです。
ここからがようやく本題です。
野球選手の選手としての寿命は平均10年ほどと言われています。現役引退後は別の仕事に就かなければなりません。野球界に残れれば監督であれば1億円、コーチであれば1000万~3000万円と言われており、平均的サラリーマンより高い年収となります。しかし、60~65歳まで連続して務める人は稀であり、突然、収入がなくなる人が多いのが現実なのです。
2014年のプロ野球選手会の年俸調査結果では、支配下公示選手の平均年俸が前年比-1.5%(55万円減)の3678万円(728名)になり、3年連続でマイナスでした。つまり、引退後はともかくとして、現役選手時代のみの所得を考えると、10年間登録選手として働いた場合、平均して約3億7000万円という計算です。これが、ずっと一軍登録されていた場合には約6億5000万円となります。しかし、一方で二軍生活を10年続けた場合は約8000万円にしかならないのです。
野球が楽しみなサラリーマンの生涯賃金は人によってまったく違ってきます。大卒サラリーマンの平均生涯賃金は2000年頃には3億円ほどと言われていました。その後、日本の景気が落ち込んでいることや2008年のリーマンショックの影響を受けて、2.8億円ほどまで減少したと言われています。
つまり、野球選手とサラリーマンの生涯所得を単純比較しますと、一軍で活躍したプロ野球選手であれば、生涯所得は一般のサラリーマンより高い額となります。さらにスター選手ともなればそれに輪をかけて高額となります。しかし、二軍選手や、数年で解雇された選手の場合は、サラリーマンの生涯所得がほうが高いとも言えます。
そうは言っても夢も売るプロ野球選手。今まで年俸5億円を超えた歴代の日本人選手たちです(※年俸はすべて推定)。
佐々木主浩さん / 元横浜ベイスターズ = 6億5千万円 (2004~2005年)
松井秀喜さん / 元読売ジャイアンツ = 6億1千万円 (2002年)
阿部慎之助選手 / 読売ジャイアンツ = 6億円 (2014~2015年)
金本知憲さん / 阪神タイガース監督 = 5億5千万円 (2007~2010年)
イチロー選手 / オリックスバファローズ = 5億3千万円 (2000年)
中村紀洋さん / 近鉄バファローズ = 5億円 (2002~2004年)
松中信彦さん / 福岡ソフトバンクホークス = 5億円 (2006~2008年)
城島健司さん / 福岡ソフトバンクホークス = 5億円 (2005年)
ダルビッシュ有選手 / 北海道日本ハムファイターズ = 5億円 (2011年)
なお、日本で初めて年俸1億円を超えたのは、落合博満さん(中日ドラゴンズGM)が1987年にロッテオリオンズから中日ドラゴンズに移籍した時の1億3千万円です。外人選手を含めた最高年俸は2003年に巨人で活躍したロベルト・ペタジーニさんで7億2千万円でした。
お金は大切にしましょう。
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