全国高等学校総合体育大会は、全日制高校生のスポーツの祭典です。通称インターハイ、高校総体とも呼ばれています。
野球は高野連主催でインターハイとは別組織ですが、サッカー、ラグビーなどは時期を別にして開催されています。
今年のインターハイは昨日7月28日~8月20日まで近畿地方で開催されます。
その競技種目の中で男子新体操があります。
女子の新体操競技とは違い、男子新体操は日本発祥の競技だそうです。現在、国際体操連盟(FIG:Federation International of Gymnastics)には競技種目として認められていないそうですが、2000年から指導者を海外に派遣して、2003年に日本、マレーシア、韓国、カナダが国際大会に出場し、2005年にはアメリカ、オーストラリア、ロシアなどが追加出場して国際化が始まっています。
以前、日本テレビ系の「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」が「日本列島 部活動の旅」で男子新体操を取り上げたことにより知名度が高まり、2010年4月よりTBS系にて、男子新体操部をテーマにしたテレビドラマ「タンブリング」が放送されたことがあります。
また、今年の2月にも 「一億人の大質問?!笑ってこらえて!」に花園大学・田原丈嗣選手がに出演しました。
しかし、日本での競技人口は約1000人であり、2008年を最後に国民体育大会(国体)の種目から外されてしまいました。確かにマイナースポーツである男子新体操ですが、大会の一つがなくなることは死活問題です。大人の事情で大会がさらに廃止されることだってあり得ますから。
そんな中、鹿児島・鹿児島実業高校の男子新体操部は1984年に創部され、これまでに団体・個人ともに何度も全国大会に出場し、優秀な成績を残しています。女子部は1996年度から活動を開始しているそうですので、男子部の方が歴史が長い高校です。
主な活動実績
[県高校総体] 優勝:28回
[全国高校総体] 団体 4位:1回、6位:1回 個人総合 優勝:3回
[全国高校選抜大会] 個人総合 優勝:1回
[国民体育大会] 4位:1回
[県知事褒章] 3回受賞
[南日本スポーツ賞] 3回受賞
そんな、鹿児島実業高校の男子新体操部を過去4年分お送りします。
なお、この演技は「男子新体操奇跡の3分間」と呼ばれています。
2011熱戦再来北東北総体
2012北信越かがやき総体
2013未来をつなぐ北部九州総体
煌(きら)めく青春 南関東総体2014
いかがでしょう?
勝負ではなく、観た人を笑わせることに青春をかけてきた6人の演技です。
演技時間は約3分。宙返りの難度や完成度などを競うのは、当然のことでが同じルールです。
通常はクラシック曲に合わせるのが一般的な中で「アニソンの鹿実」とも呼ばれ、アニメ番組の主題歌やCMソングなどを短くつないでいます。
樋口靖久監督が「邪流(じゃりゅう)」と呼ぶ、このお笑い路線は13年前から始まったとのことです。
高校から始めた初心者が多く、総体に出ても恥ずかしそうに演技するのが気になった。だから「素人軍団でも、注目されれば堂々とできるはず」と考え、選んだ道だそうです。
「こんなの新体操じゃない」という批判は今もあるそうです。
でも、男子新体操を広め、世間から注目を得ていかなければ、未来はありません。
その結果、インターハイのその日の会場を一番沸かせているのも事実ですし、インターネットの動画サイトで100万回以上再生されたものもあります。
ここ4年の成績は21位、17位、10位、16位と優勝争いにはまだ遠いですが、新体操で拍手と爆笑をかっさらった青春をかけている、丸坊主の男子高校生もいるのです。
「今年は笑いの聖地の大阪開催。やりがいがあります」と穂満(ほまん)力也主将は今年のインターハイに向けて、技を磨いているそうです。
なお、毎年インターハイで新作を披露しているそうです。
演技内容が漏れると、審判から事前にストップがかかる可能性もあるので、秘密だそうです。
ただ、昨年の伊勢佐木町ブルースのセクシー路線を継続し、「大阪色」も盛り込むとのことです。
新体操競技は8月6日(木)から8月8日(土)の日程で、大阪府大阪市中央体育館で行われます。
3年間を3分間の演技で燃やし尽す。これも青春。