この事件が起きるまでに、相当の確執が両親と長男の間にあったのではないかと思えます。勿論、この記事だけで総てを判断することはできないのですが、一時帰宅をした際に両親を殺害して自分も死のうと腹を括ったのであるならば、精神科の病院に入院させるに至るまでに相当な確執があったと思うのです。
いったい長男が精神を病むまでに何があったのか。生まれつきなのか、それとも社会で揉まれていくうちに異常をきたしてしまったのか。どちらにしても受け入れる現実は過酷です。
少しでも症状が改善できる様に医師も家族もサポートをしていくとしても、そもそも心の問題は目に見える手術が施せないだけに何処までを以てして治ると言えるのか判りません。どれだけ経験豊富な医師が判断を下しても、どれだけ効き目の高い投薬をしても、最後は本人の考え方が大切になってくるのですから覆ることも多々あると思うのです。今回の事件は最悪の覆りだと言えるでしょう。
すっかり疲弊して明日も判らない、今日すらも暗中模索な日本に於いて、精神に異常をきたす人は今後も次々と出てくるでしょう。止めるには国民一人一人が強い意識を以て国の在り方を立て直すしかありませんが、それが期待できない現状では止めることは無理です。
昭和までの時代に於いて、日本は少しでも変な状態にある立場の人たちを忌み嫌って片隅に追い遣ってきた歴史があります。例えばハンセン病患者に対する隔離や断種などは未だに深く傷跡が残っています。漸く道が拓けてきたとはいえ、これから先に訪れる可能性が高い精神の問題を抱えた人たちに対して再び同じ姿勢になると思うのです。舌の根が乾かぬ儘に再び同じ道を歩む可能性が高いと思うのです。
これからは支える側(若い世代)が明らかに減る訳です。そうなれば言葉や治療での努力も追い付かず、最終的な選択肢は隔離しかありません。そうなれば日本は非人道的な国に陥ります。もう近隣国の現状を笑えません。
そこまでの想像を膨らませてしまえるだけの意味を持つ事件だと思います。