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福 風

心にとまった物や想いを集めて。穏やかな風が吹きますように。

3時間先のロシア

2007-11-11 | 外出




国立ロシア美術館展


日本からサンクトペテルブルクまで、飛行機で10時間以上かかるらしいですが、
3時間先の愛媛県立美術館にて、ロシアを体感してきました。

テレビCMでこの展覧会が開催されていることを知り、単純に観てみたいと思ったことと、美術好きの父と連れ立っていくことで親孝行のマネ事ができる、という一石二鳥の思いつき、昨日実行してきました。

美術館に足を運んだのは、千葉に居たころ、友人と一緒に行った上野の国立西洋美術館以来。私自身、普段から美術に関わっている訳ではないのだけれど、基本的には鑑賞することは嫌いではない。好きなのかと言われると、それほど熱心ではないのだけれど・・・。

秋と言えば芸術の秋とも言われますが、我が家は春と秋の県展には必ず美術館に足を運んでいた時期がありました。父は、木彫で創る仏像を趣味としており、毎回のように出展していたからです。父は、手先が器用です。(残念なことに私に受け継がれた血は、その要素が薄まってしまったようですが・・・)家にはそこここに材料となる木材があり、何種類もの鑿(のみ:木を彫るための道具)がありました。
木槌で鑿を打つトントンという音と共に、木の塊に向かう父の姿が思い出されます。
そしてまた、打ち損なって鑿で手を突いてしまい、流血している父の患部に絆創膏を貼ってあげていたことも思い出します。

さてさて。本題のロシア美術に話しを戻します。
全体を通しての印象は写実的で、個人的には好きな画風が多く展示されていました。入ってすぐにあった、ドミトリー・レヴィツキー『エカテリーナ2世の肖像』では、人物の着ている衣装に施されたレースの繊細な感じや、裾の陰影が見事に描かれていて、まるで写真のようにみえました。
他の作品に描かれている人物もロシアで暮らす人々で、ロシアの人の顔立ちがそれとわかるように描かれていました。掲載した写真の後ろに写っている作品イヴァン・クラムスコイ『ソフィア・クラムスカヤの肖像』に描かれている女性は、作者の娘さんらしいのですが、画を見ていると、この娘さんの人柄までこちらに伝わってくるような、そんな作者の熱意が伝わる素晴らしいものでした。

その他にも、心に留まった作品

イヴァン・アイヴァゾフスキー『穏やかな海岸、凪』・・・空のグラデーションにうっすらと浮かぶ上弦の月

アレクセイ・サヴラーソフ『冬』・・・ロシアの長い長い冬に思いを馳せる。

イヴァン・クラムスコイ『ミーナ・モイセーエフの肖像』・・・優しいまなざしの老人。

ニコライ・ヤロシェンコ『女子学生』・・・年頃の女の子のはにかむ姿がよくわかる。

カルル・レモフ『夏(お祝いの言葉とともに)』・・・地主の家にお祝いにやってきた村の子供8人。その子たちの目線が全部、鑑賞している自分にむけられているような錯覚を起こす。

イヴァン・シーシキン『冬』・・・森の木々に降り積もった雪。言葉にすれば一面同じ雪。だけども、陽の光りの当たる具合によって微妙に違うその白を描き分けている。一体何色の白で描かれているのだろう。 

 ニコライ・ボグダノフ=ベリスキー『教室の入口で』・・・弊衣破帽な姿で立つ貧しい農家の少年の姿。この出で立ちで厳しいロシアの冬を過ごすのだろうか。

ヴァシーリー・スリコフ『シベリアの女性』・・・透けるように白い女性の肌と、まとっている印象的な紺碧の布とのコントラスト。

ボリス・クストージエフ『マースレニッツア(ロシアの謝肉祭)』・・・明るく楽しそうなロシアが描かれている。おとぎ話の挿絵のように夢がある風景。


上部写真に掲載しているこの美術展のパンフレット(と呼ぶにはごっつ分厚い)より、実際に見たときの印象を振り返りながら。
愛媛での展示は今日まで。このあと大阪会場と八王子会場を巡回するようです。



  




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