概要
近年、
後継者不足に
悩む
中小企業の
M&A
(=企業の
合併・買収)
が、
活発化して
いる。
その一方で、
悪質な手口で
中小企業を
食い物にする
吸血型M&A
が、社会問題と
なっている。
今回は、
具体的な事例を
交えながら、
吸血型M&A
の手口、
被害の実態、
そして
対策
について
詳しく
解説する。
「吸血型M&A」の手口
吸血型M&A
とは、
買収した
中小企業の
資金を
吸い上げ、
債務を
押し付けた
上で
音信不通に
なる
という
悪質な
手口で
ある。
具体的な
流れを
以下に
示す。
先ずは、
ターゲットの
選定である。
投資会社は、
業績の安定
した
資産価値の
高い
中小企業を
ターゲットと
して選定する。
次に
買収提案を
する。
投資会社は、
高額な
買収金額を
提示する
など、
魅力的な
条件で
中小企業の
経営者に
買収を
提案する。
続いて
M&Aを
実行する。
経営者が
買収に
応じると、
投資会社は
M&Aを
実行し、
中小企業の
株式を
取得する。
更に
資金吸収と
債務転嫁を
行う。
株式取得後、
投資会社は
子会社化した
中小企業の
資金を
様々な名目で
吸い上げ、
その後
投資会社は、
中小企業の
債務を
連帯保証人の
変更などを
行わずに
放置し、
経営者に
債務を
押し付ける。
最後に
音信不通と
なる。
資金を
吸い上げ、
債務を
転嫁した後、
投資会社は
連絡を絶ち、
姿を消す。
被害の実態、元経営者の事例
奈良県で
自動車部品
販売会社
B社を、
経営して
いた
Iさんは、
吸血型M&A
の被害に
遭った1人で
ある。
Iさんは、
後継者不足を
理由に
M&Aを
決断し、
茨城県の
投資会社
R社に
自社である
B社を
売却した。
しかし、
R社は
買収後、
B社の
資金を
吸い上げ、
従業員を
減らし、
取引先との
関係も
悪化させた。
さらに、
R社は
B社の債務
約1億
7千万円の
連帯保証人を
変更せずに
放置し、
Iさんに
債務を
押し付けた。
その後、
R社は
連絡を絶ち、
B社は
倒産に
追い込まれた。
Iさんのように
吸血型M&Aの
被害に遭った
中小企業の
経営者は
全国で
30社以上に
及ぶ。
「吸血型M&A」が横行する背景
吸血型M&Aが
横行する
背景には、
以下の要因が
考えられる。
1つめは
後継者不足で
ある。
中小企業の
経営者の
高齢化が進み、
後継者不足が
深刻化して
いる。
M&Aは、
後継者不足を
解消する手段
として
注目されて
いるが、
悪質な
投資会社
にとっては、
後継者不足に
悩む経営者を
食い物にする
チャンスと
なる。
2つめは
M&A市場の
拡大である。
近年、
M&A市場が
拡大しており、
中小企業の
M&Aも
増加して
いる。
M&A市場の
拡大に伴い、
悪質な
投資会社も
増加して
いる。
3つめは
M&A
仲介業者の
質の低下で
ある。
M&A
仲介業者の
登録件数は
増加して
いるが、
中には
専門知識や
経験が
不足して
いる業者も
存在する。
悪質な
投資会社と
結託し、
中小企業を
食い物に
する
仲介業者も
いる。
4つめは
法規制の
不備である。
M&Aに
関する
法規制は
まだ
整備途上で
あり、
悪質な
投資会社を
取り締まる
ことが
難しい
状況である。
「吸血型M&A」の対策
吸血型M&A
の被害に
遭わない
ためには、
以下の対策が
重要である。
先ずは、
M&Aに
関する
知識の
習得で
ある。
M&Aに
関する
基本的な
知識を習得し、
悪質な手口を
見抜く目を
養うことが
重要である。
次に
信頼できる
専門家への
相談である。
M&Aの
専門家
(弁護士、
公認会計士、
M&A仲介業者
など)に
相談し、
適切な
アドバイスを
受けることが
重要である。
次に
デューデリ
ジェンスの
徹底である。
*語句解説
デュー
デリジェンス
とは、
投資やM&A
などの取引に
おいて、対象
となる
企業や資産の
リスクや価値を
調査すること。
M&Aの
相手先の
企業に
ついて、
財務状況、
経営状況、
法務状況
などを
徹底的に
調査する
デューデリ
ジェンスを
実施する事が
重要である。
続いて
契約内容の
慎重な確認で
ある。
M&Aの
契約内容を
慎重に確認し、
不利な条件が
含まれて
いないかを
確認する事が
重要である。
更に
安易な
M&Aの
決断を
避ける。
高額な
買収金額
など、
魅力的な
条件に
惑わされず、
安易な
M&Aの決断を
避ける事が
重要である。
最後に
公的機関への
相談である。
少しでも
不安を
感じたら、
中小企業庁や
弁護士会
などの
公的機関に
相談する
ことが
重要で
ある。
総合
吸血型M&Aは、
中小企業を
食い物にする
悪質な手口で
あり、
多くの
経営者が
被害に
遭っている。
中小企業の
経営者は、
M&Aに
関する知識を
習得し、
信頼できる
専門家と
連携しながら、
慎重に
M&Aを
進める事が
重要である。
また、
政府は、
M&Aに
関する
法規制を
整備し、
悪質な
投資会社を
取り締まる
対策を
強化する
必要がある。