
格式的にエクセルシオールと並ぶ
リド島の歴史ある高級ホテル 『デ バン 』 ・・
(3月24日のブログ参照 )

1900年創業 ・・
アール ヌーボー様式のこのホテルは、
ヴィスコンティ監督のこだわりにより、
難解なドラマの背景に美しい世界を与えました。
『美 』 を追求する主人公の複雑な心理が
重要なテーマとなっているこの映画には、
やはり視覚的に美しい舞台が必要だったのでしょう。

(『ホテル デ バン 』 のバンケット ルーム )
出自が貴族であるヴィスコンティ監督の映画づくりは、
映像の美しさに定評があります。
映画 「ベニスに死す 」 では、それがさらに際立っています。

(映画 「ベニスに死す 」 より )
バンケット ルームは、20世紀初頭の
裕福な人々が集う華麗な空間となってスクリーンに広がります。
周到に準備された大道具、小道具 ・・
そして、多くのエキストラ ・・
現実を虚構に変える魔法です。

(映画 「ベニスに死す 」 より )
映画の中で何度も登場する新聞 ・・

(映画 「ベニスに死す 」 より )
創作に行き詰った主人公が、
現実逃避と保養のためにリド島を訪れたという設定 ・・

(映画 「ベニスに死す 」 より )
それでも逃避しきれない主人公が抱える現実を
新聞は表現しているように思います。

(映画 「ベニスに死す 」 より )
ヴィスコンティ監督のこだわりは、
小説の中で主人公が 『ホテル デ バン 』 に滞在した日 ・・
つまり、
1911年5月のドイツ語の新聞を用意するという徹底振りでした。
注: 主人公は原作者 トーマス・マン自身でもある

(映画 「ベニスに死す 」 より )
映画には、
ヴィスコンティ監督がヨーロッパ中を駆け回って探し出したという
美少年が登場します。
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