伊勢神宮の正式名称は 『神宮 』 です。
しかし、日本人は、その存在にそこはかとない人格を感じ取り、
尊崇と親しみを込めて 『お伊勢さん 』 と呼びます。
(安藤広重の浮世絵 )
『一生に一度は伊勢参り 』 ・・・
これは、江戸時代の人々の口ぐせでした。
(安藤広重 伊勢参宮 宮川の渡し )
何かの事情で自分が伊勢に行けない場合は、
愛犬に託した 『代参 』 も ・・・ 。
(安藤広重 伊勢参宮 宮川の渡し )
江戸時代、それほどまでに人々を熱狂させた伊勢参り ・・・
(実際に、江戸時代、
日本人の5~6人に1人が伊勢神宮を参宮した年がある )
その陰に 『御師 (おんし ) 』 の存在がありました。
伊勢神宮の使者として、
(正式な神職であったかどうかは疑問 )
日本全国にお札を配って回った御師は、
民衆に伊勢信仰の意味を語り、
伊勢参りの大切さ説きました。
たぶん、
伊勢参りがいかに楽しいものであるかを伝えたのでしょう。
(5月23日のブログ参照 )
また、御師は、
『伊勢講 』 といわれる 『積立金制度 』 を普及させました 。
村単位など複数の人間で行う 『講 』 ・・・
積立金が不十分な場合は、
代表者が伊勢参りを行いました。
これが 『代参 』 の起源です。
(三重テレビ制作 資料映像より )
一方、飛鳥時代に始まった伊勢神宮の式年遷宮 ・・・
20年ごとに、隣り合う敷地に新社殿を移すという儀式 ・・・
(三重テレビ制作 資料映像より )
これにより、伊勢神宮は 『常若 (とこわか ) 』 と称される
『永遠の命 』 の象徴となりました。
1年に一度訪れる正月元旦を、
毎年 神聖な気持ちで迎える日本人 ・・・
20年に一度の遷宮には特別な感慨があります。
(2014年5月10日の内宮参道 おはらい町 )
2013年 62回目の遷宮年は、
史上最大の参宮者数を記録しました。
遷宮の翌年は、ご利益の高い 『おかげ年 』 と呼ばれ、
さらに多くの参宮者が見込まれています。
『何事の おはしますをば 知らねども
かたじけなさに 涙こぼるる 』
武士の地位を捨てて出家 ・・・
仏教に帰依した西行法師 (1118年ー1190年 ) が
詠んだ和歌です。
伊勢神宮独特の空気を表しています。
わずか24時間の滞在でしたが、
伊勢神宮は日本人にとって特別な存在であることを
改めて思い知りました。
名物の伊勢うどん ・・・
コシのない柔らかいうどんが特徴です。
少しでも消化のよいものを ・・・ と、
長旅で疲れた参宮者をいたわる心配りの名残だそうです。
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