外へ出ろっ!?

気分でタイトルが変わりますが、細長く運営しているブログ
けしてヒッキ―ではない事を明記w

そして二人だけになった

2008年01月08日 22時55分04秒 | お勧め紹介(小説、漫画、音楽etc)
人間は先に言った事よりも、後から言った事の方が印象に残るというのを何かで知りました。
たとえば上司に謝るときに
「私のミスです。すみません。でも、こうやった方がいいんじゃないですか?」という事と
「こうやった方がいいと思います。でも私のミスです。すみません」というのでは
ずいぶんと印象が違いますね。
森さんのファンは多いでしょうから、今回はこの技法を使って話したいと思いますw



さて
俺は過去に納得出来ない、頭にキタ作品が2つあります。
1つは「リアル鬼ごっこ」 今年でしょうか?CMやってますが映画化されるようですね。
俺はこの作品をコピーか何かで読まされて「誰が書いたでしょう?」と問われたら
少なくともプロの小説家とは答えません。「小中学生?」と答えます。
そのくらい設定も内容も酷い作品だと思ってます。これより酷いのは見つけるの大変だね。
2つ目は 赤川次郎の小説。作品名を忘れましたが冒頭で犯人がわかる奴。
古畑なら1時間ですが、時間・集中がよりかかる小説で冒頭で犯人がわかる推理小説なんて読みたくない。しかも最後まで飛ばしたら人格者だし…どうなの?って思う。



今回の森博嗣の作品「そして二人だけになった」はこの二つに続く3つ目の納得出来ない本になりました。
非常に残念です、残念すぎて残念です
すべてがFになるは、過去俺が読んだ作品の中で非常に衝撃的であり、今も是を超える推理作品には出会っていないと言える良作である。


その作者である森氏に対しても俺は尊敬しているし、彼の作品は面白い(Fになるのシリーズを何冊か読んでいる)
だが、この作品は解せない。

裏表紙に書いてある通り、衝撃の結末である。
俺は内容を具体的には書かずに感想を書く事を基本としてるが、今回はあえて書いてしまう。
俗に言う「夢オチ」である。
確かに、一瞬「なにぃぃぃぃ!!」と思った後に、更に頭を殴られて驚かされるのだが、しばらくすると色々な疑問点・不純点が出てしまうのである。

ちょっとだけ書くと主人公達と女医浜野や学者達との会話である。
この部分が「衝撃の結末」と合致しない事になってしまうのだ。
小説において合致しなくても良い部分というのはあるだろう、物語の主流において、あまり問題にならない部分と言う意味で。
だが、これらのシーンは後に大きな意味を持ち、ここが合致しない事は、何処の部分が真実なのかを示せない。逆にいえばすべてが嘘になる。

「小説なんて嘘みたいなもの」とか足を引っ張るなら止めて欲しい。
小説の中で主人公が魔法を放てば、それは小説の中の真実だという事は納得して貰わないと困る。
そういう部分で、この小説の真実は全くないのだ。

俺は頭の中で、森氏を推理小説家という分類に分けているだけに、筋道が通らなくなってる今作は納得する訳にはいかない。
すべてがFになる が発売されてから3年2ヶ月、15作品目だそうで
これは、森氏が助教授から小説家に転向したのか、あるいは
「森ちゃん疲れたのか?」と思ったぐらいです。


ここまで納得しないとは書いたものの、上記2作品(鬼ごっこ・赤川)とは違う点があります。
それは読者を引き込む力です。
これは相変わらず凄い。結末が知りたくてショウガナイ!
下手したら仕事にならない(嘘)
2人の主人公から描かれる1つ1つの事象は色んな事を勘繰らせ、結末へと誘ってくれます。(弟切草の小説以来の書き方でした)
また巨大プロジェクトで起こる密室といった状況も心を掴んで放しません。
途中に出てくる相対性理論や主人公の1人である勅使河原潤の言葉に「森ワールド」を感じずにはいられません。
結末をどう捕らえるかで、この小説の評価は変わるのかなと思います。



今、手元には今年映画化される「スカイクロラ」の本があります。
10年ぶり位に新品で買いましたw
ドキドキしながら読みたいと思います。