きつねの目

★動物カメラマン 山本 つねおのフォトブログ★

シカとシロザケとシリエトク 知床国立公園 世界遺産

2011-11-17 13:47:17 | japan

知床旅情その2、シカとシロザケとシリエトクです。
シリエトクとはアイヌ語で「大地の突端」という意味。それが変化してシレトコ、知床になるわけです。
知床半島は文字通り大地の行き止まりのようで、断崖が続く海岸線は何者も寄せ付けない迫力があります。そのおかげで手つかずのまま残された貴重な自然が、世界遺産登録の決めてとなったようです。



秋になるとエゾシカは一頭雄の群れ、ハレムを作ります。
オス同士が角をぶつけ合って力くらべをしつつ、自分の生存価値を鼻息荒くアピールします。
そうしたリーダー争いに敗れてあぶれたオスジカは、興奮しきった気持ちのはけ口が見つからず、あたり構わず角を振り回していろんなものに絡んでいきます。下のオスジカもそうやってぶるんぶるん角を振り回していたら、木の枝が角に引っ掛かって取れなくなっちゃったようです。
残念...。こんなときはそっとしといてあげたほうが良いでしょう。うかつに近寄ると八つ当たりされるかもしれません。





前の日記にも書いたけれど、今回の知床は本当によくクマを見ました。シカもクマとの出会には敏感なようで、彼らの反応が僕にクマの出現を知らせてくれることがあります。
道路脇で見つけた上の↑シカもそう。5~6頭のメスジカの群れが皆同じ方向を向き、ただ一点をじぃっと見つめています。僕も一緒になって目を凝らしてみるけど、何も見えない。
シカたちには見えているのだろうか、それとも何か別の知覚が働いているのだろうか、緊張した群れがじっと黙ったまま数分が過ぎます。
すると皆の視線の先、道路反対側の丘の上から子連れのクマがぬわっと現れました。
その姿を見てシカたちは鼻からフンっと息を吐き出して、いっせいに走り出す。
僕もつられて一緒に逃げ出しそうになるが、違う違う仕事しなきゃいけないんだった。
慌てて望遠レンズをセットして親子グマの後を追いました。

この写真は3年前の5月、知床半島の先端の先端にあるルシャ川の番屋にお世話になりながら撮った写真です。↓




10月のこの時期はシロザケの遡上も見られます。
知床の川で生まれたシロザケは北太平洋をベーリング海からアラスカ湾へと回遊した後、産卵をしに生まれ故郷に帰って来ます。
ボロボロにくたびれて河口までたどり着くと、今度はそこから産卵のための争いが始まるのです。
上の写真のサケも、傷付いた腹からは骨が見えて、尾びれは完全に擦り切れて無くなっています。壮絶な生存競争のようにも見えるけど、残念ながら彼らはあと数日のうちに一匹残らず死ぬ運命にあります。
デッドヒートに勝ち残ってもその先が無いわけです。



なぜ長い旅の終わりにそんな結末が.....と思うけど、サケたちは自分の遺伝子を残すことによって命の引き継ぎをしているのではないだろうか。
生まれ変わるための生存競争。そう思うと彼らの必死な姿が少しは理解でるような気がします。
         

アイヌの伝承する神話にも生まれ変わりが語られています。
アイヌの人びとにとってすべての動物にはカムイ(神)が宿っていてるとされています。動物たちの生き様や死に様から彼らは多くのことを学んだのかもしれません。

おしまい。

こんなサイトもあります。foxphoto poster


 野良猫ブログはじめました。


ホームページもヨロシクfoxphoto.jp



最新の画像もっと見る

コメントを投稿