きつねの目

★動物カメラマン 山本 つねおのフォトブログ★

White Rainbow -白虹-

2007-01-17 21:01:09 | America
【 White Rainbow イエローストーン国立公園 】

白い虹も見ました。

イエローストーンの寒い朝、
深い霧の中に現れたその虹は、
凍り付いて、色を失った真っ白の虹でした。

10月も3週目になると、イエローストーンの朝はかなり冷え込む。
テント生活者のぼくにはとても厳しい季節である。
朝、目は覚めているのだけれど、なかなか寝袋から出る勇気がでない。
頭まですっぽりと寝袋に入って、どうしようかなぁ、さぼっちゃおうかなぁ...
なんてことを考えながら、ひとり寝袋の中で言い訳を考えたりもする。
しかしいくら考えてみても、言い訳をする相手も、叱ってくれる人もいないので、
仕方なくテントから這い出て撮影の準備を始めることにする。

この時期のイエローストーンは毎朝深い霧に包まれる。
あちこちから湧き出る温泉の湯気と一緒になって、
まるっきり視界がなくなってしまう。
そんな真っ白い世界の中、慎重に車を走らせて野生の動物を探してゆくのだが、
まるっきり見えないのだから、動物もまるきり見当たらない。
動物を発見したときには、もうぎりぎり目の前だったりする。
しかも道路のところどころが凍結していて、
今考えてみてもよく今まで事故を起こさなかったな、と感心する。

そんなとき道路上で出会うはのはたいていがアメリカバイソンである。
100頭以上の大きな群れがゆっくりと道路を横切ってゆく。
雲のように白い霧の中から現れたバイソンたちは、時々こちらを気にしながらぼくの目の前を通り過ぎると、また白い霧の中へと消えて行く。
左から右へ、大きいオスは堂々として、小さい子牛はぴょこぴょこと親の後を付いて行く。

そんな様子をぼくは車を停めてじっと眺めている。
すると、今までびっしりと立ち込めていた霧が徐々に薄くなっていることに気づく。
霧の向こうに青空が透けて見えていて、ああ今日は天気がよかったのだな、なんてことをその日はじめて発見する。
暫くしてさらに霧が薄くなると、目の前に白いアーチが浮かび上がった。

霧の中にできる白虹(霧虹)は、雨の虹よりも水の粒が小さいので、
反射した太陽光が分光せずに散乱してしまうので白く見える。
とかなんとか、今調べたことをそのまま書いてみたけれど、どうもぼくには理解できない。普通の虹のことだって解らないのだから仕方がない。

話しを戻すと、
白い霧の中に白い虹があるのだから、その姿ははっきりとは見えづらい。
しかしそれは間違いなく虹だった。
朝霧が晴れる直前の幻想的な空気の中、その白い虹が加わることによって超幻想の景色になる。まるで物語の中の風景を観ているようだった。

一方バイソンたちは、それぞれ勝手に草を食べたり、反芻したり、うんちをしたり.....
そんな幻想の物語にはまったく関心を示すこともなく、その後20分間道路を占拠し続けるのであった。
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