酸化と還元の説明(重要!)

2024-05-19 07:23:20 | 日記


還元焼成が来月終盤に予定されてます。
この得難き焼成回には絶対に作品を入れてほしいので、今日は窯焚きの酸化・還元のメカニズムについて勉強してもらいます。


でん!
久保田女史の大作です。
赤土で制作したお皿に白化粧土を刷毛でぐるぐるに掃いたものですが、そのまま焼いたらまっ白になりますよね。
なのにそれがピンクに酔っ払うのが、還元です。


赤土に白泥を掛ける(ぬる)のが、「粉引き」です。
普段の酸化焼成だと、まっ白。


これを還元で焼きますと、ピンクの斑紋が散ります。
この発色を「御本」と言います。


窯内の酸素量が、雰囲気を酔っぱらわせるわけですね。
還元雰囲気、と言います。
荒目赤土の刷毛目に長石釉。


小原黄土に石灰釉だと、淡い御本。


萩風に長石釉だと、かなり強い斑紋が立ちます。
白化粧のピンホールから土の鉄分がにじみ出て、器面に析出するわけです(たぶん)。


御本は好き嫌いの好みがはっきりしますが、ご希望の方は、一年に一度きりの還元の機会を逃すべきじゃないでしょうね。


志野も焼けます。
桃山時代に一世を風靡した、茶陶の頂点。


流れ跡がはっきりと出ます。
釉掛けに技術が必要。


造形にも独特の作法があります。
古来のチャンピオン陶芸を、この機会に勉強するといいですよ。


生地が荒れた削り跡のところに、ゆず肌というピンホールが集中して出ます。
なので、器を彫刻でつくるわけです。
お茶文化に興味のある方は、ぜひどうぞ。


還元は、磁器系の白にゴスの発色も際立たせます。
右がいつもの酸化、左が還元。


還元炎は、いつものミルク色の白を、青く透き通るような白にしてくれます。
土から鉄分のサビが抜け、すっきりキンキンな硬質に焼き上がります。


銅が原料の辰砂釉は、さらに違いが明らか。
右が酸化、左が還元ですが、同じ釉でこんなにも変化が出ます。


銅のサビは、緑青(ろくしょう)といってみどり色ですよね。
そのサビ分が抜けるために、銅本来の赤銅(しゃくどう)の赤に還元されるのです。
要するに、いつも焼いてる酸化焼成とは、金属のサビ色を定着させる焼き方で、還元焼成はその逆の、金属からサビ色を抜く焼き方です。
窯にバーナーで容積以上のでかい炎をぶち込み、窯内を酸欠状態にさせて、よどんだ炎に釉と器生地から酸素を強奪させよう、というサディスティックな窯焚き技法が還元焼成なのです。


なので、酸化雰囲気と還元雰囲気がせめぎ合う箇所(酸素量がどっちつかずの中性雰囲気)では、発色が酔っぱらいます。
片身代わりというこれもまた、還元焼成ならではの味。
ぜひ構造を理解して、いろんな作風にチャレンジしてみてください。
もっとくわしく知りたいひとは、工房でしはんに訊いてみて。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園

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