right time right place

「正しいときに、正しい場所にいる」

うれしいことや、いやなこと。
なんでもとりあえず、必然だと思ってみる。

こめること。

2012-08-03 09:09:52 | 日記


私が働いてる職場の隣に、FRESCOというスーパーがあります。
横文字でおしゃれな感じの名前ですけど、別に普通のスーパーです。笑
なにしろすぐ隣なので、お昼ごはんなんかを買いによく利用しています。
スーパーのお弁当って、コンビニとは違った趣がありますよね。

そのFRESCOのお惣菜コーナーでその日のランチを物色していたときのこと。
からあげとか、フライドチキンといった定番のお惣菜と並んで、見るからに異色の存在が。
スーパーのお惣菜コーナーという「低刺激な日常」の代表選手のような場所ですっかり油断していた私は、やられてしまいました。
その異色の存在が、これ。↓



…わかりますか。
「マルメターノ」です。ソーセージを、丸めたんです。…丸めたの。


これは、反則でしょう、FRESCOさん。
思わず手にとって、ソーセージが特別好きってわけでもないのに、買っちゃったじゃないですか。
明らかにふざけているけど、ちょっとセンスを感じさせるネーミング。
アホな消費者の財布から余計な100円を引き出す力を、確かに持っておりました。
ちなみに、その隣には姉妹品みたいな感じで、カリカリに焼いた「コンガリーノ」も。
もう、やりすぎでしょ、FRESCOさん。


この「マルメターノ」と「コンガリーノ」、やけに心に残っています。
あ、別に味は普通のソーセージでしたけどね。笑
「スーパーのお惣菜コーナー」という場所にある意味不似合いな遊び心だらけの商品。
別にFRESCOが特段創意工夫に満ちたスーパーってわけじゃないんですよ。(失礼!)
「マルメターノ」も「コンガリーノ」も、普段はないんです。
察するに、その日は惣菜部の主任が有給休暇を取っていて不在で、普段は主任が怖くてふざけたい気持ちを我慢していた若手の田中さん(仮名)が
「へへへ、今日くらいは」みたいな感じで企んで作ったんじゃないかと思うんです。(すべて想像。笑)

私は、その田中さんに「よくやった!」と言いたいです。
だって、なんか嬉しかったんですよ。
「マルメターノ」も「コンガリーノ」も、言ってしまえば「余計な仕事」だと思うんです。
別に、「ソーセージ串」とか「こんがりソーセージ」とかいう普通の名前で出すこともできたわけです。
スーパーのお惣菜コーナーでネーミングに惹かれて商品を選ぶ人なんて、そんなにいないと思うんですよ。
そういう意味で、その工夫は冷めた目で見ると「余計」です。

でも、その「余計」が私の心には残ったんですね。
「なんか、面白いことする人がいるんだな」と。
そこには、形こそなくても何かが、確かに生まれているんです。
私のFRESCOに対する親近感、一気にアップしましたもん。

その「余計」において、「余っていた」ものはなにか。
それは、「楽しもう」や「楽しませよう」みたいな気持ちなんだと思います。
「スーパーのお惣菜」に期待されているよりも多めに、そういう気持ちがこもっていた。だから、心に残った。
そういうことだと思います。


気持ちや想い、アイデアや工夫、手間ひま、汗水。
そうしたものが「こもっている」仕事は、どんなものであれ心に届き、残ります。
私たちが「いい仕事」として賞賛するのは、だいたいそういう仕事ですよね。
「何の仕事をしているか」ではなく「どんな風に仕事をしているか」が、その人の「仕事人」としての質を決めるんだと思います。

この「なにかをこめる」という行動は、言葉ほど簡単ではないです。
特に仕事量が増えてきたり、経験を積んでしまうと、ついつい色んなことを機械的に処理しちゃうようになります。
特に、「効率化」が美徳とされている今の時代は、その傾向が強まりますよね。
「なにかをこめる」ことと「効率化」は、あんまり相性が良くなさそうです。

でも、ホントはこの二人、仲良くできるんじゃないかとも思っています。
「こめる」も「効率化」も、どちらも「生産」の方を向いていると思うからです。
「なにかをこめる」は当然ながら、「効率化」も「ムダを省く」の先に「何かを生み出す」が必ずあります。
「効率化」がムダを省くことで生み出す時間や資源は、何かをするためにあるわけです。
どちらも、「何かを生み出す」という目的を共有している。方法が180度違うだけです。
それならば、「何を生み出すか」で合意すれば、協働できるわけです。


「気持ちやアイデアを余計にこめる」という仕事と、「無駄を省いて効率化する」という仕事。
前者を欠くと目的が失われ、後者を欠くとただの夢物語になっちゃいます。
大人がきちんと仕事としてやっていくには、どっちもちゃんとやるって態度が必要なんだと思います。


「マルメターノ」についてふざけた感じで書くつもりが、思いのほかシリアスに着地しました。笑
やっぱ「書くこと」ってすごいや。

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