イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

イタリアのクリスマスのお菓子はPanettoneだけじゃない!ーEmilia Romagna(エミリア・ロマーニャ州)

2020年12月14日 16時20分06秒 | イタリア・食

イタリアの消費者保護団体、フェデルコンスマトリ(Federconsumatori)によると、今年はクリスマスのお菓子panettone(パネットーネ)やpandoro(パンドーロ)の価格が、昨年に比べて5%ほど値上がりしていると発表した。
インターネットで購入する人は全体の12%しかいないイタリアだが、ネットで買うと更に4%くらい高くつく。
価格は有名メーカーの伝統的なパンドーロでだいたい9.55€なんですと。
私、大抵スーパーで安くなった3€くらいのを食べてましたが…
参考:https://www.tuttosport.com/news/

さて、暫く間が空いてしまいましたが、急がないとクリスマスまでに全州終われない気がしてきたので、頑張ります。
早速ですが、西から東に移動してきたので、少し南下、
Emilia Romagna(エミリア・ロマーニャ州)
美食州のエミリア・ロマーニャ州
クリスマス当日の食事は、一年で一番豪華。
前菜には地元のサラミは欠かせない。例えばPDO(原産地名称保護)のお墨付きのコッパ・ピアチェンティーナ (Coppa Piacentina )、クラテッロ・ディ・ジベッロ (Culatello di Zibello)、パルマ(Parma)やモデナ(モデナ)の生ハム、フェリーノのサラミ(salame di Felino)、ボローニャのモルタデッラ(mortadella Bologna)
など名前を聞いただけでよだれが出そうになる。
またパルミジャーノ・レジャーノ(Parmigiano reggiano)やフォッサのチーズ(formaggio di Fossa)を日常的に食べている人は、クリスマスには特別にパルミジャーノにはモデナやレッジョ・エミリアの伝統的な甘いバルサミコ酢(un dolce Aceto balsamico tradizionale di Modena e Reggio Emilia)を添えて、フォッサのチーズにはサーバまたは サーパ(Saba o Sapa)というぶどうのシロップをかけて食べる。

そしていよいよprimo piatto
何といってもカッポーネ(去勢した雄鶏)のブロードに入ったトルテッリーニ(Tortellini in brodo di cappone)
白いんげん豆入りも入った雄鶏か雌鶏、雄牛、モデナの͡コテキーノの煮込み( bollito misto ,cappone o gallina, manzo, cotechino di Modena con fagioli bianchi)
ピューレ(野菜を煮て裏ごししたもの。普通ジャガイモ)
生野菜のサラダなどと続く。

参考:https://www.assemblea.emr.it/emilianoromagnolinelmondo/

こんながっつりのお料理のあとだからなのか、クリスマスの伝統的なお菓子はわりと控え目。
ボローニャで食べられるのはCertosino(チェルトズィーノ)

中世の頃からCertosa di Bologna(ボローニャの修道院)でクリスマスに作られていたので、Certosino、またはPan Speziale(パン・スペツィアーレ)と呼ばれている。
中世、スパイスは修道院で扱っていたことによる。
1740年には修道士が、巨大なCertosinoを作り、ボローニャ出身の教皇ベネディクトゥス14世(Benedetto XIV)に届けた記録が残っている。
アーモンド、松の実、はちみつ、ダークチョコレートと色々なドライフルーツや砂糖漬けの果物をと小麦粉だけで作られたシンプルなお菓子。
丸く平たい形の上に色鮮やかなドライフルーツを乗せると華やかな雰囲気になる。
写真・参考:https://www.turismo.it/

ボローニャ周辺ではPanone(パノーネ)というお菓子を食べる。

特にモリネッラ地区(Comune di Molinella)が有名で、これもCertosinoと非常に良く似ているが、こちらの方が膨らんでて、ちょっと柔らかく、形は四角が一般的。
カカオを使っている。
写真・参考:https://www.tuttidapatti.it/dolci-di-natale-2019/

フェラーラ(Ferrara)辺りではこれとよく似たPanpepato(パンペパート)
写真:https://www.turismo.it/gusto/
1600年代Monastero del Corpus Domini di Ferrara(フェラーラのコルプス・ドミニ修道院)の修道女たちがこの時代の重要な人物たちに贈ったお菓子が始まりで、中世フェラーラの宮廷料理人クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴ (Cristoforo di Messisbugo)のレシピを参考にしている。

クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴとは
1524年から1548年にかけて、フェラーラの君主であったエステ家のアルフォンソ1世、および、その息子であるエルコレ2世の宮廷に仕え、数多くの豪勢な宴席を切り盛りした。その司会進行役としての力量を絶賛され、1533年1月20日には神聖ローマ皇帝カール5世によって宮中伯に叙された。彼の死後、1549年に出版された料理書『Banchetti, composizioni di vivande e apparecchio generale(宴席:食べ物と諸々の道具立ての構成)』は、エステ家の宮廷における君主の宴席の準備にあたる者たちのために、公式行事の晩餐会用のメニューなどを詳細に記述したものであった。
様々なレシピを収めているだけでなく、材料の調達や、装飾、調理器具などについても言及がなされている。ディ・メッシスブーゴが記述を残した料理の一部は、現代でもフェラーラ一帯で受け継がれている。
例えば、16世紀にはポー川でオオチョウザメが豊富に漁獲されていて、オオチョウザメの魚卵で作るキャビアについて生食用と保存用の両方について調理法を書き残している。これはキャビアの調理法を伝えるイタリア最古の文献である。
参考:Wikipedia

修道女がこのお菓子を作り始めた時代、カカオはアメリカからヨーロッパにもたらされたばかりで、かなり高級だったのだが、このお菓子にはほんの少しだけ使われていた、ということで貴重なお菓子だったのだ。

更に、元々形が教皇の被る帽子のような形だったので

写真:https://www.ansa.it/
この貴重なお菓子をPan del Papa(教皇のパン)と呼んでいたのがPampapatoとかPampepatoになったとか。
pampepatoはエミリア・ロマーニャ州だけではなく、ウンブリア州、トスカーナ州でも作られていて、農業食料森林省 (Ministero delle politiche agricole, alimentari e forestali)のリストにも載っている。
また2015年にはPanpapato di FerraraまたはPampepato di FerraraとしてI.G.P.(Indicazione Geografica Protetta、保護指定地域表示あるいは地理的表示保護)に指定された。

参考:https://www.albalidi.com/it/

今日は12月14日
今日のマイ・プレゼピオは

足の短いラクダが登場したのだった。

残りあと何州かしらん?



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