イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

メディチ家と月桂樹

2020年11月11日 17時48分37秒 | フィレンツェのこと


この写真を見た時、一般的なメディチ家の紋章、丸薬、の隣の「木」が気になったのだが、その時は原因解明できず、しかし今回別件を調べていたところそのなぞは解明した。

Lorenzo il Magnifico(ロレンツォ・イル・マニーフィコ)の重要なエンブレムの1つが月桂樹の再び花を咲かせようとしている切り株、もしくは大きな枝だった。
”L’impresa del broncone(枝の図案を使った紋章)”は、1478年のCongiura dei Pazzi(パッツィ家の陰謀)で弟のGiuliano de’ Medici(ジュリアーノ・デ・メディチ)が暗殺された後、ロレンツォによって作られた。
月桂樹を選んだのは常緑樹で、その枝を剪定した後も、常に葉が生い茂ることからで、そこには自分の肉親は悲劇的な事件で命を絶たれたが、フィレンツェに黄金期を再び呼び戻し、メディチ家がより繁栄し、街がいつまでも平和で繁栄するようにという思いからである。
月桂樹は再生、継続、勝利のシンボルで不滅のメディチ家の象徴となった。

参照:https://www.rialfri.eu/rialfriWP/opere/motto-del-broncone-di-lorenzo-il-magnifico

ちなみにLorenzo(ロレンツオ)という名前には、ラテン語の苗字“Laurentius”という意味から来ている。
Laurentiusは「Laurentumの民」、LaurentumはLazio(ラッツィオ州)の古い町である。
また、もう1つの説はLaurentumは月桂樹(ラテン語laurus)が生い茂った場所であるとも考えられている。
他にもロレンツォはlaurus(月桂樹)から直接きていて、詩人や、戦いの勝者が被る月桂冠(オリーブの冠と月桂冠の違いを以前書いています。こちら)のことを指、「月桂冠を被る人」という意味がある。
https://www.pampers.it/nomi-bimbo/lorenzo

例えばここにも。

写真:Wikipedia
Pontormo(ポントルモ)が1519-20年に描いたCosimo il Vecchio(コジモ・イル・ヴェッキオ)の肖像画。
メディチ家繁栄の基礎を作ったコジモ。
左に描かれた月桂樹の枝。
巻き付いた紙にはは、古代ローマの詩人ウェルギリウスの「アエネーイス」の一説(VI, 143)が書かれていて、そこには「例え枝を切られても、他のところは弱くならない」と書かれている。

参考:https://it.wikipedia.org/wiki/Ritratto_di_Cosimo_il_Vecchio



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