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イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

遠足ーValtiverina その2

2013年11月02日 22時28分30秒 | イタリアの小さな街・大きな街(Fi以外)

すごい人です。
今朝家を一歩でたらそこは観光地でした。
いやいや、今日だけでなく観光地のど真ん中に住んでいるのですけど・・・
ウフィツィ美術館の前には普段以上の行列。
地図を見たり、余所見をしている人が多いので、邪魔!!蹴っ飛ばすぞ~!!
明日は天気も良くないみたいだし、完全に引きこもりだな。

さて、忘れないうちに昨日の続き。
今日はネットの調子、悪くなりませんように・・・
それよりも今日は自分がかなり疲労しているので気力がもつ限り、ということでお付き合いください。

え~そうそうAnghiari(アンギアリ)をあとにした私たち。
ここで確か11時半くらいだったので、結構皆さんおなかが空いていたんですよね・・・って隣の方がそう言ってたの。
ここから15分くらいだったかな?次の目的地Citerna(チテルナ)へと向かいました。
って実は個人的には「どこそこ?何しに行くの?」という感じだったんです。
だってそんな街の名前聞いたことないし・・・
もちろん”傑作”を見に行くわけなんですけどね。

今地図で確認しました。
ホントここUmbriaとToscanaの境でした・・・
小さな街なんです。
ここもやはり高台にあるので景色はいい

バスが停車したところから上がって行くと
Garibaldi(ガリバルディ)・・・また?

と言ってもなんだか海賊みたいだけど・・・と

San Francesco(聖・フランチェスコ)と狼がお出迎え!?
こちらは中世の通りと書いてありましたが、

今はレストランのテーブルが並んでいました。
こういう再利用、良く見かけます。
更に上に上がっていくと、街の中心に出ます。

街の紋章
やはりcisterna(井戸)と関係があるのかな?
みんな口々に間違えていましたけどね。
人口3400人の小さな街です。
特記することは・・・”イタリアの最も美しい村”の1つってことくらいかしら???
うちにもこの本あるんだけど(買ったときしか開いたことない)、2013年現在200以上有るんですって。
多いのか少ないのか分かりませんが、そうなると貴重性はないかも。
まぁきれいな街、いや村ですね、だったことは確かです。
さてここにきた目的はこれ

ってちょっとポスター見難いね。
Donatello(ドナテッロ)作のMadonna col bambino(聖母子像)がお目当て

ちょっと光が反射しちゃってるなぁ・・・
これがまたすごい話なんですわ。
実はこれ、まさに今の私のようなTesi(卒業論文)の準備をしていた一学生の手によって発見されたらしいんですよ。
だからと言って私が何か発見できるわけではないのであしからず。
彼女がウンブリア州内の15から16世紀のテラコッタの作品を調べていたところ、この作品はもしやすごい作品なのでは?ということで調査開始。
4年の年月をかけてようやく若きドナテッロの作品では?というところまでこぎつけた、というまぁそうそうない話。
でもなくはないというところがさすがイタリア!!
しかし、あくまでも”か?”です。

だって私ですら、「何でこの地にドナテッロ?」というのが当然気になるわけで、様式がどれだけドナテッロ風でも、それだけで”本物”の刻印が押される(実際には本物でも押しませんよ)わけではありません。
たとえばサイトをいくつか見てみても、ドナテッロがこの辺りで聖母子像を作ったという記録は残っていないみたいだし・・・
どうでしょうねぇ???

ここで少々話は脱線しますが、私が美術史をしようとしたきっかけがまさにこの真贋問題から始まっています。
私がPerugia外国人大学の美術史のコースに通い始めた頃、恩師はまさに「ラファエロか?」という本を書き上げ、それが授業の内容でした。
あの頃はイタリア語も全然分からないし、専門用語や背景など全く分からなかったので、今の半分も理解できたかどうか怪しいところですが、いかに作品の作者を推定していくかという方法論は聞いていてすごく面白かったんです。
まぁそんな出会いがなければ今の私はないわけですが。

Raffaello a Cerqueto. Un affresco giovanile e l'esordio in Umbria
(チエルクエトのラファエロー若き日のフレスコ画・ウンブリアでのスタート)
この本がイタリア語の本で(児童書や語学の本は除く)初めて1冊読みきった本でした・・・しかし、内容は覚えていないんですねぇ。あ~罰当たり。先生、ごめんなさいいいい
いやいやとにかく1つの作品の作者を限定するのは大変です。

話は元に戻って、この作品2005年修復される前まではこの写真、右側のように

マントが青かったんですよねぇ。
青いマントは以前も言いましたが”純潔”を現しているので、この時代多くのマリアのマントは青。
特に絵画の場合、青を出すラピスラズリーが非常に高価だったことから、更に価値が上がります。
しかしこの彫刻の場合(テラコッタに色を塗ってあるんです)、色を無理やり落としたわけではなく、洗浄しただけで(現在の修復方はできるだけオリジナルを生かすので、色を塗ったり、欠けている部分を補ったりはしません)なんとオリジナルは白。”純白”です。
数回に渡って色を塗られていたという事実が明らかになったそうです。
マントの内側だけが青という非常に手が込んだ作品なんですよ。

現在安置されているのはChiesa di S.Francesco(聖・フランチェスコ教会)
この作品だけはちゃんと鍵がかかった部屋に置かれています。
今回はグループだったのでちゃんとガイドさんがついて案内してくれました。
ここには他にも

Luca Signorelli(ルカ・シニョレッリ)の作といわれるこちらの
la Madonna col Bambino, S. Francesco, S. Michele arcangelo e due santi
(聖母子と聖・フランチェスコ、聖・ミカエルと2人の聖人)
この

2人(2匹じゃないよね。でも天使はなんて数えるんだ???2体・・・なわけないね)の天使はシニョレッリの手によるものだろうけど、後は共同製作者のものだろうと言われています。

その他にもマニエリズムの特徴が色濃く残るNiccolo Circignani detto il Pomarancio(ニコロ チッチンニャーノ、通称ポマランチョ)の”キリスト降下”とか

こちらはこの絵を依頼した人がお金をちゃんと払ってくれなかったので、画家が上の部分を未完成のままで納品(?)した、というなんとも面白い作品で、この画家はこのCiternaにもう1点の絵を描いています。

Chiesa S.Micele(聖・ミカエル教会)ですが

キリスト磔刑
この3×2メートルの絵の中に42人の人が描かれているそうです。
画家の活動はほぼ地元のこの当たりだったようですが、ヴァチカンにも出向き、フレスコ画を描いたという記録が残っています。

この2箇所くらいしか見るところはありません。
ドナテッロを見終えると既に時間は13時を過ぎていました。
みんなの空腹が限界だったのは、この日冬時間に入り、睡眠時間が1時間長かったからでしょうか?
お昼は次の目的地で、という予定だったのですが急遽予定を変更して、ここで1時間休憩。
小さな街だし、日曜なのでBarが一軒とレストランが一軒しか開いていませんでした。
私は初のバスツアーで、どんな感じになるか読めなかったので、1時間の睡眠時間でサンドイッチを作ってきました。
このBarで食べた人たちは、当たりだったようですが、それも最初の数名。
食いっぱぐれた人もいたようです。
地元のおいしいものを食べるか、食いっぱぐれのリスクを考え家から持参するか・・・難しい選択です。

ささっとお昼を済ませて、小さな街の中を徘徊・・・

教会がもう1軒ありましたが、中は恐ろしく近代的でした。

こんなの見つけたり

お隣の県(?)なのに景色が全然違う。
でもやっぱり懐かしいのよねぇ・・・

ちょっと青空が。

小さい街なのでアッと言う間に一周しちゃいました。
そして2時過ぎ、時間厳守で再集合してバスは一路またToscanaへ戻ります。

というところで続きはまた明日!!



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
リフレッシュしてます (nobu)
2013-11-03 20:00:03
こんにちは、nobuです。
Fontanaさんの美術の源は、真贋問題から始まっているんですね。こうしたことって大上段に構えても訪れないし、小さな出会いを大切にしたい、なんて思ってしまいました。
私は社会人なのになぜかここ1ヵ月で試験が3つ。来週が最後でややバテていますが、Fontanaさんのブログや写真をみてリフレッシュしています。青いマントのお話しも新鮮でした。きっと、良いと思って塗ったんですよね。
いつも取り留めなくて申し訳ありません。
サンドイッチのリスクヘッジ、ナイスです!!
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試験というのは・・・ (fontana)
2013-11-04 00:17:16
nobuさん
試験と言うのはいくつになってもつらいですよね。がんばってください!!
本当に出会いというのは不思議です。仕事を辞めて、イタリアに来て本当にステキな出会いがいっぱいありました。財産はなくても”人の財産”は宝物です。もちろんこうしてブログを通してnobuさんとお会いできたこともですよ。(^.^)
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嬉しいです「 (nobu)
2013-11-04 07:34:09
ありがとうございます。そのように言っていただいて嬉しいです。
このブログと出会って、美術やオペラといった芸術が今までよりずっと好きになりました(主にイタリア…ですが)。これも、Fontanaさんが写真付きで難しい内容をわかりやすく説明してくださるからなんです。人生の幅が広がったような気がして、おっしゃるとおり”人は財産”ですね。
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いえいえ (fontana)
2013-11-05 08:13:45
nobuさん
読んでくださっている方にそういってもらえるとこちらも書いてる甲斐があります。もちろん自分のためでもありますが、資料をいろいろ読み、イタリア語を日本語にして、読んでる人にできるだけわかりやすく説明するのは結構大変なことなので、一人でもこういうコメントをくれると無駄じゃないんだなぁと思うと共にやる気になります。(こういうところも恩師と同じだなぁ・・・とちょっと笑っちゃいました)
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