イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

こんなところも雨!? Musei Capitolini

2013年11月24日 18時47分16秒 | イタリア・美術

日曜日
久しぶりのお天気。
今日はフィレンツェマラソンがあり、あちこち交通規制が。
そんな日に洗濯をしに出なくてはいけないなんて・・・
あああ、向こう側に渡りたいだけなのに・・・
最終的にはちゃんと洗濯を済ませて家に帰りつけましたがこういう日はおとなしくしてるに限ります。

いやいや、それにしても先週は雨が多かった。
週の頭の月曜日、サルデーニャ島でトラジメーノ湖の水量4倍という大雨が降り(分かりやすいんだか、分かりにくいんだか?)死者が出ました。
最近イタリアでも非常に水害が多いんです。
ひとえに地球温暖化のせい、とはいえない気もしますね。

さて、そんな悪天候の中、琴線に触れたニュースが有りました。
今日は久々にニュースネタと今勉強していることを絡めてご紹介しましょう。

世界で一番最初に”Museo pubblico"(一般公開された博物館)となったのは、なにを隠そう(隠してない!)RomaのMusei Capitolini(カピトリーニ美術館。)と言われています。

しかし早速ここで1つ気になることが。
Musei Capitoliniは美術館か?博物館か?
日本語の博物館の定義は
”museum 古今東西にわたって考古学資料・美術品・歴史的遺物その他の学術的資料をひろく蒐集(しゅうしゅう)・保管し、これを組織的に陳列して公衆に展覧する施設。また、その蒐集品などの調査・研究を行う機関。”(広辞苑)
となっていて

美術館は
”美術品を収集・保存・陳列して一般の展覧・研究に資する施設。博物館の一種。”(広辞苑)
とある。

ということは正確な訳は”博物館”だと思うんですけどねぇ・・・
日本人的な感覚だと絵が飾ってあるのが美術館、と言う気もしますが、絵画館にはPinacotecaというちゃんとした名前があります。
この-tecaという接尾辞はギリシャ語の「所蔵」「収集」を意味していて、図書館はBiblioteca。
これはdiscoteca,つまりディスコです。
あれ?そうすると元々はdiscoつまりレコードを所蔵している場所という意味だったんだ。
それから日本人にも割りとなじみが深いenoteca(エノテカ)なんかもそうですね。ワインを所蔵している場所ですからね。
あとそうそうGalleria!!
英語のギャラリーですが、イタリア語はイコールではないと思います。
分かりやすいのはウフィツィ美術館。
galleriaには絵画、彫刻などの美術品を飾った回廊という意味があります。
あっ、でもGalleria Borghese(ボルゲーゼ美術館)などはこの範疇には入りませんねぇ???
いやいや、ここで引っかかっては前に進めないので、言葉の話はそれくらいにしておきましょう。

このMusei Capitoliniはイタリアの博物館の歴史を見ても非常に重要なMuseo(あえて日本語にしない)の1つ。
Museiと最後が-iで終わる複数形になっているのは、ここが
Palazzo del ConservatoriとPalazzo Nuovoの2館からなっているから
その歴史は1471年にまでさかのぼる。
時の教皇SistoⅣ(シクストゥス4世)が、それまでラテラノ宮(バチカンに教皇庁が移る以前はここに教皇庁があった)に保管されていた古代ローマのブロンズ像などをローマ市民に返還(寄付)した。それらを保管していた場所がここ。
このSistoⅣはかの有名なシスティーナ礼拝堂を作らせた法王です。
建物内部が美術館として公開されるようになるのは1734年、ClementeⅩⅡ(クレメンス12世)の時。
これは、一般市民(厳密には全ての市民ではない)に公開された美術館としては世界最古の事例とされている。

そしておとといのニュースでは、この美術館の中でも最も貴重な部屋とされているSala degli Orazi e Curiazi

に雨が降っているとか。
ローマ建国の歴史とかそういう重要な1600年代のフレスコ画で飾られた大きな部屋です。
いや、室内に雨が実際に降っているわけではなく、屋根から水が伝ってきたということらしですが。
文化財監督局(soprintendenza)の見解では、現時点で実際にフレスコ画に被害が出ているわけではなく、足場を組み立てて、被害の予防を行っているとのことです。
果たしてどこまで信用できるのか???

フレスコ画というのはご存知の方も多いかと思いますが、壁に漆喰を塗りつけ、それが乾く前に描くことによって顔料が壁の中にしっかり入り込むので、長期保存が可能になります。
特にBuon fresco、まさに”良い(正しい)フレスコ”とは
「真の(正しい)フレスコ」の意味。湿った漆喰の上に耐アルカリ性の顔料を水または石灰水で溶いたもので描く。漆喰が乾く過程で生じる消石灰(水酸化カルシウム)の化学変化により、顔料は壁に定着する。媒材(バインダー)を用いないため顔料の発色が最高度に活かされ、顔料は壁と一体化するため高い耐久性を持つ。(wikipediaより)
しかしレオナルド・ダ・ヴィンチのように筆が遅い画家には圧倒的に不利な画法である。

そんな耐久性の良いフレスコ画の唯一の欠点は湿気。
室内の湿気もさることながら、壁の中に潜む湿気も作品を非常に傷めます。
そんなことは素人の私でも分かっているのに・・・

この部屋は、フレスコ画だけではなく漆喰、木彫など様々な素材の違うもので飾られています。
どうやら天井の木の部分と壁の継ぎ目から水がしみこんできているらしいです。

修復を専門とする大学教授は
「イタリアはここ10数年で、保存という古代から続くすばらしい概念を失ってしまった」と嘆く。
以前は定期的な調査、修復が行われていたのに、いつの間にかそれがなくなってしまった。
そしてこの不景気である。
現在どれだけの遺産がこの国から消えて無くなろうとしているのか、考えると恐ろしい。

記事はこう続く
ここは国立ではなく、ローマ市の管轄である。
国よりは簡単に何がしかの対策を取ることができるのではないか?と
答えは・・・
何もかも切り詰めて、切り詰めて・・・この国はどこへ向かっているのだろう???
いや、それはこの国だけではないのかなぁ。

おまけ
先週のラテン語の授業でちょっと気になることが。(おじさんが切れたことではないですよ)
ローマ人はmito(神話)を持っていないんですって。
mito(神話)は全部ギリシャ。
えっ?あるじゃん、それこそこのOraziとか・・・
教授の話では、「ローマには伝説はあっても神話はない。なぜなら全てモデルになる人物やエピソードがあるから。」と
私たちは一応(?)「古事記」という神話を持っていますよね。
なぜこの伝説が存在するのかというと、それはローマの美徳や法を周りの国々にも教えるためだとか。
ある種の宣伝だったそうですよ。
だって建国の歴史とか(狼が双子を育てるとか)ちょっと不思議でしょう?
最近授業を聞いていて気になっているのが、ローマ人がお葬式をすごく大事にしていた、ということ。

こういうことって分かってくるといろいろ数珠繋ぎに面白くなるものですが。
ただ、そちらに脱線している時間が既にないのが残念、無念・・・自業自得です。

あ~あ今日は久しぶりに友人のためにしっかり掃除もしたし、洗濯もしたし。
のどもちょっと痛いし、夕食も早めに食べて、早く寝よう!
来週はちょっと遠出が2度。
そのために先週しっかりテスト勉強しておいたから・・・と言っても時間は足りないなぁ。
やっぱり寝る前に少し勉強しておかねば。



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