<聖なる谷>
ペルー周遊記(15):第5日目(2):聖なる谷
2008年7月5日(土)(つづき) 晴
<聖なる谷の地図>
<ピサック村>
■サクサイワマン要塞
クスコ市街の見物を終えた私達は,12時23分,専用バスで,クスコのカルアス広場を出発する.どちらの方向へ走っているのか正確には分からないが,多分,クスコの中心部から北の方向に走っている.
暫く市街地を走った後,12時31分にサクサイワマン(Sacsayhuaman)要塞跡に到着する.ここは,スペイン人に反逆を企てたインカが,2万人の兵士を陣取らせた要塞の跡だという.ところが,夜は戦争をしないというインカの習慣に従わなかったスペイン兵に,敢え無く破れてしまったといわれる.
<アレックスのサイン>
グループピコ(2008,p.115)によると,ここは巨石を3層に積み上げられていたようである.この要塞は,第9代皇帝パチャクティの時代に始まったといわれる.
アレックスの説明によると,つい半年前に,石組みが新たに発見されたとのことである.
<サクサイワマン遺跡>
■ピサック村に到着
サクサイワマン要塞を通過した後,バスは,クスコから北へ32キロメートル離れたピサック村(Pisaq)を目指して,日射しの厳しい谷間を遡り始める.谷間にはウルバンバ川が流れている.
13時06分,ウルバンバ谷の見晴らしの良い場所で小休止する.谷間の下の方に集落が見下ろせる.谷間の斜面には,段々畑のようなものが頂上に向かって続いている.アレックスによると,これらの段々畑のような場所は全て遺跡だという.
<美しい谷間の集落>
<段々畑>
13時09分,再びバスは発車する.バスは峠を越えて,クネクネとした道を下り始める.
13時18分,バスは細い道に入っていく.車が道一杯になって走っているように見える.そして,13時20分に,ピサック村の中央広場(標高2850m)に到着する.ここで,バスから下車する.
<ウルバンバ川沿いの谷:聖なる谷の始まり>
■賑やかな市場とモルモット
広場の周辺は,賑やかな市場になっている.アレックスの案内で,市場の中を見学する.食用のモルモットを飼育しているところを覗く.可愛いモルモットが沢山飼育されている.
<ピサック村の市場>
<店頭に並ぶ工芸品> <食用のモルモット>
■大きなカマド
次いで,街中を一巡するように廻って,この街で一番古いと言われるカマドを見学する.
随分と大きなカマドである.中年の女性が,木製の大きなヘラを使って,カマドの中に焼く物を出し入れする.今は,丁度,パンを焼いている.カマドにくべている燃料は,ユーカリの木である.アレックスから,このカマドで焼いたパンを一口ずつ貰って賞味する.美味しい.
カマドを見学した後,14時まで市場で自由行動となる.私も市場を覗き廻る.市場の中の1軒で,アルパカの毛で編んだ帽子を見付ける.2個でs/.20(約600円)だという.随分,安い.出来心で購入する.
<大きなカマド> <焼き上がったモルモットとジャガイモ>
<カルカ村>
■ユーカリと柳の並木に沿って
13時59分,ピサック村を出発する.村の中の狭い道を抜けて,広い道に出る.この辺りから,いわゆる「聖なる谷」が始まる.谷間の道を下り続ける.車窓からユーカリや柳の並木が絶え間なく続いているのが見える.谷間へ急傾斜に落ち込む急斜面にはトウモロコシの段々畑が続く.ガイドのアレックスによると,世界中で一番沢山の種類のトウモロコシを栽培しているのは,この辺りだという.
私達を乗せた専用バスは,ウルバンバ川に沿って,谷間をさらに下り続ける.このウルバンバ川は,あのアマゾン川の源流のひとつになっているとのことである.
14時20分,カルカ(Calca)村(標高2928m)に到着する.カルカ村は,ピサック村から約18キロメートル,ウルバンバ川を下った所に位置している.
<ユーカリと柳の谷間>
■カルカ村とピューマ
アレックスの説明によると.カルカ村は,この谷で一番大きな街だという.ここにはピューマが住んでいると言われている.ピューマは“体力”の神様として崇められているようである.
カルカ村にも市場があって,大変賑わっているようである.日干し煉瓦で建てられた家屋が建ち並んでいる.この辺りの粘土は,日干し煉瓦を作るのに適していて,良質な日干し煉瓦を産出しているという.
カルカ村を含むウルバンバ川の流域は,ペルーの中でも,大変豊かな所のようである.メロン,リンゴ,オレンジなど何でも採れると,アレックスが自慢する.
カルカ川対岸の山中に,ウチュイクスコ(Huchuy Cuzco)と呼ばれるインカの遺跡があるらしい.アレックスによると,珍しい造りの遺跡だという.
<ユカイ村からウルバンバへ>
■ベロニカ山を眺めながら
私達は,カルカ村を離れて,さらにウルバンバ川を下る.
前方には,この地方で一番高い山,ベロニカ山(標高約5800m:手許の地図で確認できず)が見えている.そして,14時39分にユカイ(Yucay)村(標高2854m)に到着する.街中には,アドベ造りの住宅が建ち並んでいる.とても美しい集落である.
■ウルバンバのレストラン
私達のバスは,さらにウルバンバ川に沿って進む.そして,14時45分,ウルバンバ郊外のレストランエルマイズド(Restaurant El Maizd)に到着する.ここで,少し遅い昼食を摂る予定である.
レストランの中に入ると,青々とした芝生が広がっている.広大な広さである.芝生の中に,テーブルが並んでいる.芝生の中央には屋根付きの建家がある.その中にセルフサービス用の食材が並んでいる.
私達以外にも,沢山の観光客が,食事を楽しんでいる.
芝生の片隅では,数名の現地音楽隊が生演奏をしている.時々,「コンドルは飛ぶ」のように,音楽に疎い私でも知っている曲を流している.
私は,余り欲張って食べないように注意をしながら,生野菜,トウモロコシ,焼き魚,ライス,スープなどを選んで食べる.食事は大変美味しい.コーヒーも香りが高く素晴らしい.素敵な雰囲気のレストランである.
<バイキングの食材が並ぶ小屋> <メインディッシュ>
<サラダ> <デザート>
<オリャンタイタンボ>
■マラスの塩田
15時43分,食事を終えた私達は,専用バスに乗って,ウルバンバを出発する.
日が西に傾き始めている.バスはいくつかの集落を通過する.この辺りの家屋は,今まで見てきた他の地方の家屋に比較して,かなり立派な造りのように思える.
15時53分,アレックスが,
「あそこの谷間を見てください・・・あれが有名なマラスの塩田です・・」
と注意を促す.
彼が指さす方を見ると,数百メートル離れたところにある谷間に,白く光るマラスの塩田(Salineras de aras)が見える.
この塩田は,プレインカ時代から開発されたという.ここの標高は約3000メートルだという.付近で湧出する温泉に塩分が含まれている.その温泉を棚田に貯めて天日干しにして塩を作るそうである.現地では,製造した塩を販売しているという.
<マラスの塩田:中央左の山間>
■地元の酒屋
16時08分,アレックスが頻りに講釈をしている地元の酒屋,デスカンソ(Descanso)に立ち寄る.もともと下戸の私には,全く興味のない酒の話なので,聞いたことは殆ど覚えていないし,ノートに記録も取っていない.ただ,何だかやたらに美味しいが,アルコールが強いので,馴れていない人が飲むと,体を壊すというようなことを言っていたようである.
そのお酒は,ここでしか味わえないとのふれ込みである.
下戸の私も,仕方なく,バスから降りて,酒屋の庭先まで入ってみる.庭先で,沢山のモルモットが飼育されている.勿論,食用のモルモットに違いない.
<酒屋デスカンソ>
■オリャンタイタンボに到着
16時05分,酒屋を出発する.バスはさらに西へ進む.そして,16時14分,オリャンタイタンボ(Ollantaytambo:標高2750m)の郊外に到着する.道路に沿って,オリャンタイタンポへ向かう鉄道が並行する.たまたま綺麗な列車が停まっているのが見える.
アレックスの説明によると,タンポは「豊かな場所」という意味のようである.
ここは,クスコから約88キロメートルほど離れている.聖なる谷のほぼ中央に位置している.インカ時代の要塞跡だという.
インカ軍は,オリャンタイタンポに立て籠もったが,スペイン軍に撃退されて,オリャンタイタンポよりも,さらに奥地のビルカバンパに撤退したという.
私達のバスは,16時08分,幹線道路から,石畳の狭い道に入る.そして,ノロノロと石畳道を登る.
16時23分,私達はオリャンタイタンポ遺跡に到着する.
<オリャンタイタンポ付近を走る列車>
(つづく)
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このシリーズの最初の記事
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