自分の仕事を持ちながら、母親の介護をしている知人がいる。
彼女は三人兄弟だが、ひとりで全て背負っている。
「ひとりで辛くない?」と聞くと、小さい頃から母親の苦労している姿を
見てきているので、こうして一緒にいられて面倒を見てあげられることが
幸せだと言う。他の兄弟には言っても仕方ないらしい。
確かに、感謝の気持ちを持たずに逃げている人には何を言っても無駄である。
彼女は強い。揺るぎ無い芯が一本通っている。
しかし、孤独と先の見えない不安のなかでの介護は本人が思っている以上に
精神的にも肉体的にも負担はかかっている。
私は、「頑張ってね」とは決して言わない。これ以上どう頑張るのだと思うから。
でも、今まで散々苦労してきたのに楽しみを見つける前に病に倒れてしまうなんて
と思うが、彼女の母親にしてみれば、娘に感謝されながら一緒に暮らしているのは
幸せなことなのかもしれない。
彼女も母親と一緒にいられる今を大事にしている。