富弓メモ51 ~言葉巧みな匠の言葉~

tomiyumi webのブログです。毎日大予言します。他にもなんでもありです。

今日の大予言 585

2007年05月30日 01時52分52秒 | 今日の大予言
「月極」をゲッキョクと読んでしまう、
ということはよくあることで、
「月極駐車場」をゲッキョクさんの
専用駐車場だと思っていた、なんて話もあります。

そういう前提がありましたところ、
この間、ある駐車場に

「月極め」

と書いてありました。
当然、

「ゲッキョクめ!!」

というゲッキョクへの憎しみに見えましたよ。

今日の大予言 584

2007年05月29日 02時14分17秒 | 今日の大予言
ドラゴンボール6巻の
其之七十一「KAME HOUSE発見さる!!」の
「さる」は「される」の誤植だと思い込んでいた
後藤洋祐(16)であったが、
古典の授業で「受身の助動詞」を習い、
「さる」の「る」が
下二段活用の終止形であることを悟って
胸のつかえが取れた。

……と思ったが、
よくよく考えてみると、
「れる」ではなく「る」を
受身の助動詞とするということは
古語(文語)的な表現であるので、
「する」ではなく「す」を使うはず。

「る」は動詞の未然形に付くもので、
「す」の未然形は「せ」だ。
「さ」ではないのだ。
(「さ」は「する」の未然形だ。)

「す」の未然形「せ」には、
「る」ではなく「らる」が使われるはず。
ならば、「せらる」が正しいのではないか?

うーむ、よくわからない。
これを解決せねば気持ち悪い。

ということであれこれと調べてみたところ、
こんな文章を発見した。

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/hasi/kyoyo.htm

明治時代の文部省の文章だ。
教科書の検定又は編纂に関して
文法上許容すべき事項が列挙されている。
で、これのひとつに、

六、「ヽヽせらる」といふべき場合に
 「ヽヽさる」と用ゐる習慣あるものは
 之に従ふも妨なし
 例、罪さる 評さる 解釈さる


とあった。
「せらる」を「さる」と言う
「習慣」があったようなのだ。

後藤洋祐(16)は
今度こそ本当に胸のつかえが取れた。

今日の大予言 583

2007年05月28日 02時17分34秒 | 今日の大予言
-3-


10分で往復できる距離のはずが、
30分経っても彼らが戻ることはなかった。

「戻ってこない……」

女が、その状況をそのまま言った。

「当たり前さ……
 あいつらは、呼ばれたんだ」

「呼ばれた?
 なに、どういうこと?」

「その女の人に、だよ」

「わかんない、意味が」

「その女の人は、結婚サギにあったんだよ。
 そして、幸せを妬んで死んだ。
 ……若い男女が2人で歩いてる所なんか、
 一番見たくないんだ。
 だから、池へ呼んで」

「自分と同じように水死させる……?」

「その通り」

「まさか……そんなこと」

「あるんだよ」

「でも……
 この肝だめしを提案したのはあなたじゃない。
 どうして!?
 それを知ってるなら
 どうしてこんな事しようって言ったの!?」

「それはね……」

男の身体が光ってゆく……
そして、女の姿になった。

「私が、その『女の人』だからよ」

「!?」

「さあ…… あなたも来るのよ……」

「ち ちょっと待ってよ。
 あなたはここにいるのに、
 どうやってあの2人を池に呼ぶの?」

「……」

「それにどうしてあなたがその女の人?
 5年以上前から友達だったのに」

そこまで言うと、
急にあたりの景色はゆがみ……




「はっ!」

気付くとそこはテントの中。

「ゆ 夢!?
 まさか、こんなくだらないオチだったとは……
 きっと作者が、
 “「私がその『女の人』だからよ」”
 ぐらいまで書いたところで
 自分でもよくわからなくなったのね!」


(おわり)


※この作品は、作者fishwinが
 高2のときに書いたものに
 多少の修正を加えたものです(本当)。

今日の大予言 582

2007年05月27日 00時26分34秒 | 今日の大予言
-2-


案の定、彼らもカップルごとに行くことにした。
向かう先は、やはり墓場である。

そして、残る方の男が語り始めた。

「あの墓場には、
 とても気の毒な死に方をした女の人が眠っている。
 ……いや、
 眠っている、ってのは変かな。
 今も死にきれず、
 悔恨と憎悪の念を募らせているのだから……」

「ちょっと……変な事言わないでよ。
 私、そういうの聞くと……」
先に行く方の女は、
もう目に大粒の涙を浮かべていた。

「いや、でも本当の話だから。
 そう……今からちょうど5年前だ。
 その女の人は、婚約していた。
 婚約していたんだ。翻訳ではない。
 『婚約コンニャク』とかあったら嫌だな。
 
 ……脱線してすまん……。
 で、その婚約していた相手は、
 実は結婚サギだったんだ。
 幸せの絶頂にいた女の人は、
 一瞬で不幸のどん底へたたき落とされた。
 必死で貯めた全財産を取られ、
 生きる気力をなくした女の人は、
 あの墓場の前の池へ飛び込んで……
 
 発見されたのは3日後。
 それは……悲惨だったらしいよ。
 
 それからだ。
 その池からは夜な夜な叫び声が聞こえる。
 
 『私の幸せをかえして……』」

残りの3人は戦慄を覚えた。
そういえば5年ほど前に、
そんなニュースを聞いたことがある気がしたからだ。

もう充分肝を試したような感があったが、
せっかくなので先行の組は
その墓場へ向けて出発した。

このとき、
彼らに10分後の自分を見ることができたなら、
決して行くことはなかっただろうに……。


(つづく)

今日の大予言 581

2007年05月26日 02時57分52秒 | 今日の大予言
「ホラー」


-1-


ある夏の暑い日のこと。
キャンプに来ていた2組のカップルは、
夏休みの宿題という現実を忘れ、
川で泳ぐ、カレーを作るなどの
いかにもキャンプ的楽しみを謳歌していた。

そして日は暮れ、
さらにキャンプ的楽しみの極みと言える
キャンプファイヤーを囲み
しみじみとしていたところ、
一人が提案した。
「肝だめし」である。

肝だめしとは、
夜の墓場とかいった
いかにも「幽霊」とか「ひとだま」
などという言葉を連想しがちなところに
1人や2人で行って、
勝手に怖がって楽しむものである。
確かに、そういうところは、
ただ行くだけで怖いものだ。
えもいわれぬ気持ち悪さをもってしまう。

彼らのように4人であれば、
普通2組にわかれるであろう。
ましてカップル2組であるからなおさらである。

そのような場合、先発の組に対し、
残る方の組は、適当に
「ここは○○で△△だから
 ××の声が聞こえるかもしれないよ」
などと、更に怖くなるような事を言って
恐怖感を促進させるのだ。

そういう場合は、
実際には聞こえるわけがないのに、
聞こえたような気になる。


(つづく)

今日の大予言 580

2007年05月25日 02時02分20秒 | 今日の大予言
-4-


しっぽは、こう語った。

「身に覚えはありませんか」

ごとき男は笑った。
ごとき男でない男は顔を曇らせた。

「なに言ってんだコイツ」

ごとき男はひるまない。
ついに、しっぽを引っ張り出した。
しっぽは恨めしそうな目でごとき男を見つめたが、
ごとき男は意に介さない。

「お おい……やめようぜ」
「あなたは余っ程度胸のない方ですね」

ごとき男はさらにしっぽを引っ張った。
しっぽを引っ張ることが
自分を自分たらしめていることであるかのように。

非ごとき男は、
胸に糸こんにゃくがゆるゆると蠢いているような感覚に襲われ、
ごとき男に冷たい視線を向けたあと、
その場を離れていった。
ごとき男も非ごとき男をあざ笑った。
本当はこれまでもずっとあざ笑っていたのだろう。


それからごとき男がどうなったかは言うまでもない。


(おわり)

今日の大予言 579

2007年05月24日 01時45分16秒 | 今日の大予言
-3-


「しっぽ?」
「うむ。カグムレンのしっぽって、
 どんな感触なんだろう」
「ちょいと、やってみます?」

そう言うと、
先程それをごとき呼ばわりした男は、
それの方へ向かっていった。

それは、また振り向こうとしたが、
振り向くのをやめた。
それは、小さく震えて見えた。

「おい、やっぱやめとこうぜ」
「なに、いいんですよ。
 こら、出せ! しっぽを!」

ごとき男は、
それから豊富に生えている
鮮やかな緑色の毛をかき分け始めた。
それは、やはり震えていた。

「おい、もういいよ」
「なに言ってんですか。
 さあ、どうぞ!」

緑色のグラデーションの奥から、
それの首と同様に長すぎるしっぽが覗いていた。

比喩ではない。

文字通り、覗いていたのである。


(つづく)

今日の大予言 578

2007年05月23日 02時23分38秒 | 今日の大予言
-2-


50個以上の度肝を抜いたそれは、
その余韻を楽しむこともなく、
先程とほぼ同じ角速度で元の方向を向いた。

「たまげましたな」
「うむ……」
「まったく、忌々しいものですな」

と言いつつ眉をしかめたそのとき、
それは再び振り向き、
32個の度肝を抜いてすぐ、
また元の方向へ向き返した。

「なんだってんでしょうね」
「俺らの言う事がわかってるんじゃなかろうか……」
「まさかぁ」

「俺」を一人称とする男は、
ほんの一瞬ではあったが、
「まさかぁ」の「ぁ」に苛立ちを覚えた。

度肝をいくつも失った見物人は、
一人、また一人と立ち去っていく。
度肝とともに、好奇も抜けたらしい。

空はからんとして青い。
風と気温は奇跡的なバランスを保つ。
遠くで市役所のサイレンの音がする。
この世が、空間的にも、時間的にも、
これの近傍を離れなければいいのに。

「ところでさ」
「なんです」
「ガクムレンの……」
「カグムレン」
「あ、そうそうカグムレン。
 カグムレンのしっぽってさ」


(つづく)

今日の大予言 577

2007年05月22日 02時16分27秒 | 今日の大予言
-1-


「あれがカグムレンだそうですよ」
「へえ」

二人がそれを眺めているのと同様に、
みるみるうちに集まってくる人々もまたそれを眺め、
思い思いに品評を始めた。

みんな、暇なのだ。

ある者は携帯のカメラでそれを写し始めた。
ある者は指さしてそれを笑った。
ある者は神妙な面持ちでそれを見つめ続けた。
そしてある者はあくびを一つかまして去っていった。

「私も噂には聞いていたんですがね」
「なんか可哀想な気もするなあ」
「なに、いいんですよ。カグムレンごとき」
「そう…そんなもんかなあ……」

ごとき呼ばわりされたそれは、
50人を超えた群衆のそれぞれの
度肝を抜くのに十分な角速度をもって、
その長すぎる首を回して振り向いた。


(つづく)