星と石ころ日記 図書館

好きな本・漫画について語ってみる。

漫画なんてただの紙の束なんだからもっと気楽に。

2005-10-29 18:46:52 | 漫画
『金魚屋古書店』 芳崎せいむ 著
月刊IKKI連載中 小学館(2004~)

◆あらすじ
伝説の漫画専門古本屋「金魚屋」の店主と孫娘、それを取り巻く人々(謎の店員やマンガキング、セドリなど)の、漫画にまつわる物語。

前身として『金魚屋古書店出納帳』上・下があり少年画報社から出ていたが、2004年12月に小学館から新装再発行された。『金魚屋古書店』も2004年12月に発行され、現在2巻まで出ている。


こんな古書店が近所にあったらとっても幸せ。なにしろお店の地下に倉庫があって、店員さんでも遭難するくらい広くて漫画本がいっぱいあるんだもの。漫画好きなら思わずニヤニヤ、時にほろりとして読める。

漫画なんて大人の読むものじゃない、と昔の漫画を処分しようとしたが、同窓会でみんなの思い出の中にある漫画のパワーを知った“思い出の成分”(「古書店」1巻第1話)、「藤臣くん」「豪法寺くん」と聞いてニッとしてしまう“藤臣くん”(「古書店」1巻第6話)、などいろんな漫画が登場する。

中でもじんときたのが「古書店」2巻第1話の“彼の風景”。
優等生で生徒会副会長の高校生関口は、いつも自己主張ができない自分がいやで「自分には他になりたいものがあるんだ」と思い続けていた。ある日教室の机に、自分のものでない漫画を見つけた。手塚治虫の『アドルフに告ぐ』。それは第二次世界大戦当時、同じアドルフという名を持つ3人の男の数奇な生涯を綴った漫画だった。どうやら夜に関口と同じ机を共有している定時制の生徒の忘れ物らしい。それも偶然同じ関口という生徒とわかった。そこからふたりの漫画を通してのやりとりが始まる。定時制の関口は2巻・3巻・・と続巻を机に入れてくれていて、「よかったら感想を聞かせてください」という手紙がはさんであった。とまどいながらも関口は感想を書き始めた。「戦争もファシズムもくだらない。始めた奴も続けた奴も愚行の極み」
次の日、定時制の関口からの返事が机に入っていた。「人間の愚行をくだらないと言えるあなたは幸せです」
知った風な口を聞く奴、と思いながら、もしも「俺」が「こいつ」だったら、この世はいったいどんな風景に見えるだろうか、と考える関口。そしてある日、「こいつ」の正体を知る。・・・・・・

中盤で、漫画本をめぐっていろいろなやりとりがあり、そこに金魚屋も登場する。短編であるが、関口が「俺は俺以外の何者にもなれない」と気づくまでの心境の変化が、おそらく『アドルフに告ぐ』を知っていればもっとおもしろいんじゃないかと思われる。残念ながらわたしは読んだことがない。

タイトルの「ただの紙の束なんだから」は、金魚屋の謎の店員・斯波尚顕(しばなおあき)のセリフ。漫画をこよなく愛する彼の口から、このセリフは次のように続く。「でも、ただの紙の束が、こんなに大勢の人を動かして、その心を強く動かして・・・やっぱりすごいパワーだと思うよ・・・」

斯波くんと同じように漫画を愛する人は、必読の漫画だ。

トシ、サッカーは好きか?

2005-10-23 22:59:24 | 漫画
『シュート!』 大島司 著

1990~2003年 週刊少年マガジン連載 講談社

◆あらすじ
掛川高校サッカー部に入部した田仲俊彦、平松和弘、白石健二が、キャプテン久保嘉晴と出会い、サッカーを通して成長していく。

4部編成で、第1部(1990~1996)、第2部「蒼きめぐり逢い」(1996~1997)、第3部「熱き挑戦」(1998~2000)、第4部「新たなる伝説」(2000~2003)となっており、番外編で、「久保嘉晴の伝説」という巻もある。またアニメ化や映画化されて、実写版の映画では若かりし頃のSMAPが主演していたらしい。


次男が小学校2年でサッカーを始めて、そこで知り合った同級生のお母さんに薦められて読んだ。「泣けるよ~」と言われて、なんでサッカー漫画が泣けるねん、と思いながら読み始めたが・・・・
泣けた
もちろん久保嘉晴の伝説の11人抜きのシーンとそのあとの彼の死。死ぬ前にトシ(田仲俊彦)に言った「トシ、サッカーは好きか?」という言葉が、後々困難にぶち当たったときのトシを支えていく。

でも、久保くんの死、早すぎる!しばらく呆然として続きが読めなかった。

トシを中心として平松、白石の3人が主人公なんだけど、久保亡き後キャプテンになった神谷篤司くんのファン。一時携帯のアドレスに“kamiya”の文字を入れていた。(我ながらミーハー)

ちなみに映画の主役クラスの配役は、田仲俊彦(中居正広)、平松和弘(香取慎吾)、白石健二(森且行)、久保嘉晴(木村拓哉)、神谷篤司(草剛)だったそうな。・・・・深くは語らず(笑)

元気ですか?

2005-10-22 23:54:59 | 漫画
『よつばと!』 あずまきよひこ著

2003年3月~月刊コミック電撃大王 連載中 メディアワークス

◆あらすじ
元気いっぱいの女の子小岩井四葉ととーちゃん、そしてそのご近所さんたちとのお話。よつばはとーちゃんの本当の子供ではない(どうやら拾われたらしい)が、周りの人たちに愛されてすくすく育っており、毎日いろいろなものに感動や発見を見出していく。



以前子供たちが読んでいた『あずまんが大王』を読んで以来、あずまきよひこさんのファン。コミックスは現在4巻まで発売されている。シンプルだが表情豊かな絵が素敵だし、セリフやその間(ま)が独特で魅力的だ。

「元気ですか?」は、しおれた花瓶の花に向かってよつばが言った言葉。とーちゃんに「植物は話しかけてやるといい」と教えてもらってそんなふうに話しかけた。日常の何気ない言葉でもよつばにすれば新しい発見だ。

たかが漫画、と言わずに一度読んでみて。癒されるし、ひとに優しくなれるような気がするよ。

あきらめたらそこで試合終了だよ

2005-10-16 20:46:59 | 漫画
『スラムダンク』 井上雄彦著
1990~1996年 週刊少年ジャンプ連載 集英社


◆あらすじ
中学3年間で50人の女性にふられた赤い髪の不良少年・桜木花道は、高校入学直後ひと目惚れした女の子・赤木晴子に「バスケットはお好きですか?」と声をかけられ、不純な動機でバスケ部に入部。そこで同じ新入生・流川楓に出会った。彼は天才的なバスケットマン。超初心者の花道はなぜか流川にライバル心を燃やし始め、次第にバスケットにのめりこんでいく・・・


今高校生のふたりの息子は2歳違いで、小学校の5・6年生のときどちらも同じM先生が担任だった。(つまり私から見ると4年間同じ先生)その先生は教室に自分で揃えたM文庫というミニ図書コーナーを作ってくださっていて、子どもたちはそこで「スラムダンク」に出会ったらしい。その頃わたしは興味がなく読んだことがなかった。

数年経ったある日、本屋に「スラムダンク・完全版」がずらっと並べてあるのを見て、なぜか無性に読みたくなった。本がわたしを呼んだとしか思えない。

で、何ヶ月かかけて全巻読みきり、子どもたちが小学生時代に先に読んでいたのを知ってヤキモチを焼いてしまった次第。なんでこんなおもしろいもの、もっと早く教えてくれへんかったん!って。(子どもにしたら“知らんがな~”やろけど)

ギャグかと思えばシリアスで(かと思えばギャクで)、バスケの試合は迫力満点。バスケのバの字も知らなかったわたしでも、通になった気分になれる。何よりも脇役が魅力的。バスケができなくなり挫折して荒れる三井くんが、自分の本当の気持ちに気づき「バスケがしたいです・・・」と泣き崩れるシーンでは、一緒に泣いてしまった。他にも名シーンがたくさんあるが、最終巻の山王工業戦で花道と流川が初めてハイタッチするシーンには身震いした。


完全版はカラーページが完全再現され、カバーも書き下ろしらしい。絵も大きいので魅力的な井上先生の絵がすみずみまで楽しめる。
今でも続編を望む声が少なくないとか。

登場人物や舞台設定についてはこちらのページに詳しく載っている。

ギターってのはたった6本の弦を伝わって出てくる人間性なんだ

2005-10-16 01:41:55 | 漫画
『BECK』 ハロルド作石著
2000年~月刊少年マガジン連載中 講談社


◆あらすじ
中学時代、自分は平凡で価値のない人間だと思っていたコユキこと田中幸雄が、ひょんなことからギタリスト竜介と出会い、千葉(Vo)、平(Ba)、サク(Dr)とともにBECKというバンドをやることになった。

生きていくことに自信のなかった少年が夢中になって打ち込めるものに出会い、その才能を輝かせていく話で、やがてバンドのサクセスストーリーにもなる・・・・のかはまだわからない。



連載している月刊誌は読んだことがなく、偶然ひまつぶしに入った本屋でジャケ買いならぬ表紙買いをしてしまったこのコミックス。家に帰って1・2巻を読んで、その直後本屋に引き返して10巻まで買うという、まさに運命の出会い。

コユキが唄うシーン、歌詞があるわけでもなく、←こんなのが描いてあるわけでもないのに、彼の声が聴こえてくる。圧巻は5巻の、コユキが初めてメンバーの前で「シスター」を唄うシーン。読んでいて鳥肌が立った。それと9~10巻のグレイトフル・サウンドの3rdステージ。何度も何度も読み返した。

月刊誌連載なのでコミックスの発売の間隔が長く、待ちきれなくてある日本屋で立ち読みをした。それがエディの銃殺されたシーンだったので、立ち読みしながら叫んでしまった。コミックスになってから読んで今度は号泣。めちゃめちゃアブナイおばさんだ。思えばわたしのロック熱は、『BECK』から始まっているのかも。

全米ツアーも終わって新しい展開になっている今、月刊誌を立ち読みしたいのをぐっとがまんして、新刊が発売されるのをキリンのように待っている今日この頃である。とりあえず息子より先に読んで、優越感に浸るのが今の目標。

手の指のあいだからこぼれ落ちる砂の一粒

2005-10-15 22:21:49 | ミステリー
『火車』 宮部みゆき著
1992年作品 新潮文庫

◆あらすじ 
休職中の刑事本間俊介は、遠縁の男性に婚約者関根彰子の行方を捜してほしいと頼まれた。自らの意思で失踪した彰子の足取りをたどっていくうちに、驚くべき事実が浮かび上がった。


「火車」とは火が燃えている車。仏教の言葉で、生前に悪事をした亡者を乗せて地獄に運ぶくるまと言われている。ローン地獄に陥り自己破産者になった女性と、彼女を取り巻く人々の心情をリアルに描いたストーリー。



「手の指のあいだからこぼれ落ちる、砂の一粒だ。彼女の存在は、社会にとってその程度のものなのだ。誰もすくいあげてはくれない。這いあがっていかないことには、生きる道はないのだ。」

本間刑事と一緒に彼女の足取りを追っていると、罪を犯した彼女のことを憎みながらもいつしかひとりの人間として惹かれている自分に気づいた。

なんといっても凄いのは、ラストの1ページまで登場しない犯人である女性の圧倒的な存在感。それを感じさせる宮部さんの筆力はただものじゃない。

ミステリーというよりむしろ社会派小説と呼んでもおかしくないだろう。映画化された『模倣犯』、直木賞受賞の『理由』など多くの宮部作品の中で、わたしはこの『火車』が一番好きだ。文庫本で読み始めてぼろぼろになり、保存用にと双葉社のハードカバーまで買ってしまった惚れこみよう。ミステリーといえば犯人探し、なんて言葉は宮部さんの作品には当てはまらない。

はじめの一歩

2005-10-15 21:47:17 | らくがき

あー、このタイトルじゃあ、「はじめの一歩」を読んだみたい

 

本館のほうに漫画の話をしたくてうずうずしてたけどなかなか書き出せず、ついにもうひとつブログを持つことにしました。まあ、こっちはのんびりと好きな本や漫画の話を書いていこう。読書感想文なんて書くの大嫌いだったのになあ・・・