♪Tin Pan Alley♪

50~70年代のロック・ポップス、ソフトロック周辺についてのブログです

Daydream :US #10 /UK #8

2007-02-11 | 1曲ずつ一言
The Lovin' Spoonful
1966.4
Produced by Erik Jacobsen

僕がラヴィン・スプーンフルを紹介していたなんて、みんな忘れているでしょうね(笑)。

このアルバムは、米英ともに彼らの最高位

デビューより、4曲続けての全米トップ10となったのが①
このアルバムの1月後になぜかファーストの⑦がシングル・カットされ、見事大ヒット
まさに飛ぶ鳥を落とす勢い

彼らも相当自信がついたでしょうね。このアルバムは殆どが自作
ジョン・セバスチャンのライターとしての才能も多いに開花
特に、B面に引っくり返してからは名曲連発

よく、ラヴィン・スプーンフルの魅力を“スプーンフル・マジック”って表現する人がいます。
彼らは「魔法を信じるかい」という大ヒット・デビュー曲がありますので、“マジック”や“ビリーブ・イン・マジック”というフレーズが頻繁に使われるのです

例えば、日本のある有名な音楽評論家は、時々、自分の姓と名の間に“Believe in Magic”って挿入してます

これはうろ覚えなんですが、何年か前、CDショップに、ちょっとマイナーな60年代関連のミュージシャンの作品があったのですが、ケースの帯にキャッチ・フレーズとして
「君はポップスの魔法を信じるかい?」
って書いてあった気もします(笑)。

当時はダサいというかキモいフレーズだと思ったのですが(笑)、これもスプーンフル絡みなんでしょう

変化変化の60年代音楽の中にあって、古い音楽を、新しいものに近づけているアーティストの代表格のようなラヴィン・スプーンフル、英米双方で大歓迎されたグッド・タイム・ミュージックは、今聞いてもとっても新鮮ですよ

① Daydream J.Sebastian :US #2 /UK #2
今の日本では、絶対にこういうポップスは流行らないし、売れないと思う
ゆっくり&しっとりなのに、バラードとは違う、とにかくレイジーな一品
“けだるさを音楽にしたら、こんな感じに仕上がった”とでもいう感じ

そもそも、当時のアメリカですら、このヒット曲は浮いてたのではないでしょうか???
・・・いや、スプーンフルのヒット曲は全部ちょっと浮いていると思う

あまり好きな表現ではないのですが、“オンリー・ワン”な訳ですよ
彼らの音楽は、古いアメリカ音楽をベースに、ロックンロールでもあり、フォークでもあり、それがポップに表現されているわけで。

何とも気だるいギターや口笛をバックに、寝ぼけたジョンの歌声、でも、「And even if time ain't really on my sa-ide」と始まるフレーズは不思議なくらい力強く、魅力的なヴォーカル・ワークになっています

この曲をカヴァーしているアーティストに、ボビー・ダーリンやリック・ネルソン、アート・ガーファンクルなんて顔ぶれがそろっているのも分かる気がします

② There She Is J.Sebastian
ママパパの記事でフィリップスには苦情を述べたが(笑)、こちらのジョンはアルバム用B級ポップスが上手だと思います

ザルの存在をたっぷり生かした、見事なビート・ナンバー

彼らのコーラス・ワークって、別にどうってことないんだけど、とても好感が持てます

③ It's Not Time Now J.Sebastian - Z.Yanovsky
これまた出だしのギターが本当に素晴らしい清々しいです
思えばメンバーの演奏力的には、彼らの実力って同世代の他の連中(スタジオ・ミュージシャンに任せた面も多いし)と比べると、抜きん出た感じがありますね。

とってもポップなヴォーカルのメロディ・ラインが本当に魅力的

④ Warm Baby J.Sebastian
この音がオート・ハープです
ジョン・セバスチャン、たまにこんな感じのファルセットも披露

結構他の曲の下敷きになってなさそうな、彼ららしい1曲。

⑤ Day Blues J.Sebastian - J.Butler
苦手なブルースザルのギターが好きな人には良いのでしょうか。

⑥ Let The Boy Rock And Roll J.Sebastian - J.Butler
A面の最後に「ロックンロールをさせろ」という曲を持ってきて、B面の1曲目に「ジャグ・バンドの音楽があれば最高」なんて曲を持ってきています
色んなジャンルを、楽しむように超越している、スプーンフルのスタイルが垣間見れます

しかしこの曲の出だしから感じられる感想は様々ではないでしょうか
「昨夜、ママがパパに、『うちの子にはロックンロールをさせましょう』と言っていたんだ」
・・・これと全く逆のシチュエーションこそ、ロックンロールの王道ですよね
このフレーズに対しては
“ロックンロールをからかったんだろう”とか
“時代が変わったことをアピールしているんだ”等々、言われそうですね

冗談が入ってることだけは間違いないでしょうなー。
曲は曲で、ベースラインなんぞはしっかりロックンロールしております
コーラスも楽しそうな雰囲気

⑦ Jug Band Music J.Sebastian
さぁ、こっからが凄い
ここからの3曲だけで、スプーンフルの魅力が一気に伝わると思います
前奏からして“来るな”って思える(笑)。

純然たるジャグという音楽を聴いたことはありませんが、タイトルに持ってくるぐらいですから、こんな感じの音楽なんでしょう。
ギザギザが刻み込まれた木の筒を、棒を使ってジャカジャカ鳴らすらしいです

これのおかげで、彼らがほとんどの曲にジャグの要素を入れていることに気づけました
ファーストの「ヤンガー・ガール」もジャグなんですね。
ってかそっくりです

この曲の影の主役とも言うべき名演奏、ベースを担当するのはスティーヴ・ブーン
犯罪級に歌の下手くそなスティーヴ・ブーン

⑧ Didn't Want To Have To Do It J.Sebastian
彼らはDidやwantやhaveを組み合わせた代表曲が多い
この曲はよりによってファースト⑦のB面を飾るもんだから、なおさら混乱

にしても、これは名レコーディングあまりに美しい音像ですコーラスのエコーの具合いもバッチリ。

ところで、どうやって日本語にしたら良いのでしょう?これ。
“したくなかったし、する必要もなかった”みたいなニュアンス??

⑨ You Didn't Have To Be So Nice J.Sebastian - S.Boone :US #10
最高の前奏100点中500点くらいあげたい
高揚感の一言
ポップス・ファンをとろけさせるドラミング

メロディの流麗さに比して、意外に激しい演奏をしております
特にそのドラムのジョー・バトラー
ライヴ映像も見たことありますが、みんなピョンピョン跳ねてました

前奏と同じリフを奏でる、間奏のギターとオート・ハープのメロディは絶品
※同窓の人にしか分からない話ですが、リフが「夏の朝」の前奏のフレーズに似ているんです

そこに控えめな追っかけコーラスまで入って、何度聴いてもツボにきます
歌詞もとっても優しい、素敵な曲です

激しい演奏は逆にピッタリですね。甘すぎない、というか。

⑩ Bald Headed Lena E.Sneed - W.Porryman
これまた楽しいナンバー

ザリーが初期の頃からレパートリーにしていたこの曲のオリジナルは、ドクター・フィールグッド・ジ・インターンズ
そう、ビートルズのカヴァーで有名な「ミスター・ムーンライト」の連中です
実はこの連中、超々マイナーなブルース・バンドで、ビートルズが「ミスター・ムーンライト」を出した時、ジョン・セバスチャンは“うわっ、ビートルズも俺らと同じものを聴いてるよ”と喜んだんだそうです

ザルとジョンがメチャクチャ楽しそうに歌い、ノリノリになってる曲
ガラガラうがいの音まで登場サウンド・イフェクトじみてて、割りと好きです。

⑪ Butchie's Tune J.Sebastian - S.Boone
ジョーの優しい歌い方を最大限に行かしたナンバー
スティーヴが相当部分を書いた模様。

⑫ Big Noise From Speonk J.Sebastian - Z.Yanovsky - J.Butler - S.Boone
みんな大暴れです


2 コメント

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TB、ドモでした (モスコ)
2008-05-20 11:15:23
ドクター・フィールグッド・ジ・インターンズのこと、知らなかったんで、勉強になりました。
カバーされている2曲やバンド名のイメージで見る限り、なんだか楽しそうな連中のようですね

確かにこれは、レコードだとB面が最高ですね!
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>モスコ様 (ベンジャミン)
2008-05-23 01:20:25
ありがとうございます

ドクター・フィールグッド・ジ・インターンズ、そう言われてみれば、確かに、気になるネーミングですね
この2曲以外は僕も情報ないんですけどね

セバスチャン・マジック炸裂のB面3曲ですよね
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