♪Tin Pan Alley♪

50~70年代のロック・ポップス、ソフトロック周辺についてのブログです

A Hard Day's Night :UK #1

2005-11-23 | 1曲ずつ一言
The Beatles
1964.7
Produced by George Martin

64年7月の初め、当時の人気グループが、素晴らしいクオリティのアルバムを連発してくれます。
ビーチ・ボーイズが『オール・サマー・ロング』
フォー・シーズンズが『ラグ・ドール』を
そして、ビートルズが『ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!』という(悲惨な)邦題で有名な、本作を発表します

上記3作は、それまでのポップ・ミュージックを“激変”どころか、ある意味“終了”させてしまった感もあるとは言いすぎでしょうか???

アルバム時代とも言うべきものの幕開けは、勿論、65年以降、ビートルズの『ラバー・ソウル』やボブ・ディラン『ブロンド・オン・ブロンド』、ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』辺りから考えますが、僕はこの64年の7月を、幕開け中の幕開けと考えています
大人気のグループが、全体が良質で、かつ先進的なアルバムを、同時にそれも、『ペット~』やビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』、シーズンズの『ジェニュイン・イミテイション・ライフ・ガゼット』のように、スタイルの激変はなく、彼らの今までの路線で、分かりやすく、ファンを混乱させず(笑)、ってのは凄く大事だったかと。
互いに、他のアーティストに、更にはリスナーに、様々な影響力あったのではないかなぁと、邪推してます

さて、64年の上半期、既に社会現象を飛び越え、歴史的事件かのようなビートルズ・ブームその象徴的な映画のサントラより、本アルバムが出まして、日本でも、曲順などの違いこそあれ、大人気

そんなアイドル(それこそ偶像?)的側面以上に、本作の人気が今でも異様に高いのは、何と全曲レノン&マッカートニーそもそも、アルバム内の全曲が自作オリジナルで、自分らが演奏だなんて(今では普通でしょうが)あったんでしょうかね?
曲も書け、歌も歌えた連中と言えば、レイ・チャールズやロイ・オービソン、ニール・セダカやポール・アンカですが、そんなアルバムは確か作ってなかったかと。
そういう意味でも、今の音楽に繋がる、やっぱ貴重な一枚

人気がありすぎると、ゴシップ的なこぼれ話が増えますが、僕はそういうのに詳しくないので(オイ)、その辺は別のサイトや本などでお楽しみ下さい。…別にこのサイトなりの“オリジナリティ”なんてないのですが(笑)。

トラック・バイ・トラック

① A Hard Day's Night J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #1
邦題は、当時の雰囲気と印象“だけ”を伝えてるよなー。「やってくる!」なんて盛り上げても、曲の中で本人たちは「疲れた夜だ」と言ってる訳で(笑)。ましてや「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」とは言ってない訳で(笑)。
ビーチ・ボーイズの「ファン・ファン・ファン」と同じく、初期ビートルズの特徴は?と聞かれたら、恐らくこれを聴かせますね~

2番、中間部を歌うポールが「~tight! Tight! Year!」と役目を終える、まさにその瞬間にジョンが「Umm It's been a~」と被せてくる呼吸がたまらなく格好良い

エンディングの何気ない、12弦ギター、思えばこれがロジャー・マッギンにリッケンバッカーを握らせた訳で、フォーク・ロック時代の幕明けの主要素にまでなってしましました。

② I Should Have Known Better J.Lennon - P.McCartney :US #53
ウルフルズが「可愛い人」という曲を出した時、これのカヴァーかと思いました(笑)。トレード・マークのハーモニカ全開のためもあってか、日本編集のベスト盤には入りやすかった佳曲です。

③ If I Fell J.Lennon - P.McCartney
ビートルズが結局いつまでも聴かれている理由は、要は“飽きない”ってことに集約されるかと(当たり前か)。こういうメロディ、伸ばし方とか間違えたら不快に聴こえかねない、なのにキャッチーな不思議なメロディが、いつまでも飽きさせないんだろうなーと。

前の恋に傷ついた男性が、新たな恋人に「どうか君は裏切らないで」と切々と語る歌詞、好きです(笑)。後に「イン・マイ・ライフ」に発展したとか。

④ I'm Happy Just to Dance With You J.Lennon - P.McCartney :US #95
日本盤のジャケは、映画の中でジョージがこれを歌っているシーンで、意外に日本に多かったジョージのファンを大喜びさせたとか
この頃のジョージの声は、こういうマイナー調の歌が似合う~。
ドン・エヴァリーも真っ青のジョンのリズム・ギターが印象的

サークルが名盤『ネオン』でこれを不協和音たっぷりにカヴァーしてたのも良かったなぁ

⑤ And I Love Her J.Lennon - P.McCartney :US #12
絶句。僕は割りとオールディーズを聴いてるビートルズ・ファンだと思ってますが、こんなメロディのバラードなんて、これ以前には全然聴いたことが無いデス。そりゃぁ「イエスタデイ」も思いつくよ。
間奏の終わる瞬間、超低音のギターはインパクトあるわぁ。
作曲はポール。ジョン色の強いアルバムですが、少数精鋭で頑張ってます

⑥ Tell Me Why J.Lennon - P.McCartney
初期のハーモニーでは傑作の部類でしょう

よく“ビートルズのコーラスが好き”という方がいますが、彼らのコーラスは基本は和音なので、分かりやすく、簡単なようでもあります。
が、(いつもの如く好き勝手に展開しますが)“コーラスが格好良い”ってのは実は難しくないですか??ってのも、他のアーティストを色々聴いて思いましたが、変にバッチリにハモってしまうと、アダルトな音作りに聞こえたり、ビート感が削がれたりして、、、ハーモニーっておいそれと使えない武器なのではないかなぁと。
例えば、ブリティッシュ・ビート勢のコーラスは“荒い”のが多くないですか?例:ローリング・ストーンズ、マンフレッド・マン、ザ・フーとか。んで、綺麗にハモると、片足半分ポップス畑に突っ込まれてたり。例:サーチャーズ、ホリーズとか。

ビートルズがやるとなぜか、激しく格好良く、でも綺麗なコーラスになるんですよ。僕は、この魔法を実現したのはドラムのリンゴ・スターだと思ってます

⑦ Can't Buy Me Love J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #1
これまたポールが来ました…ジョンのファンは“これも大半はジョンが書いたんだ”と言ってます。真相は知りません
僕が最初に“ビートルズで一番これが格好良い”って感じた、思い出の曲です。
間奏の始まりのシャウトも、終わりの「Hey!」も様になってますよねー。彼らの一体感を感じれる時って、何か悲しくなります

アメリカの会社、キャピトルも多額の準備金を出し、予約だけでとんでもない枚数が売れ、発売当日にゴールド・ディスク獲得という偉い騒ぎになった曲

⑧ Any Time at All J.Lennon - P.McCartney
これはライヴで聴いてみたかった優しく温かく、包容力に溢れた歌詞を、何故かこれでもかってくらい激しく表現してますね~。本当にこの歌詞はジョンが書いたの??(笑)

⑨ I'll Cry Instead J.Lennon - P.McCartney :US #25
何て歌詞だ(笑)。さすがジョンそりゃ映画内でも使われないですよ。この世の全ての女性を泣かせて、恋に苦しむ男の気持ちを分からせてやりたいが、それが出来ないから、その代わりに泣くんだ、ってさ

⑩ Things We Said Today J.Lennon - P.McCartney
メロディ・メイカー、ポール・マッカートニーの必殺の転調。マイナーメジャーの展開も格好良いが、戻ってくる際の歌い方がまた良い

⑪ When I Get Home J.Lennon - P.McCartney
一刻も早く家に帰り、彼女と話したい、という内容。だから「Wow-wo Uh---」は合いの手ではなく、歌詞だと思う(笑)。

⑫ You Can't Do That J.Lennon - P.McCartney
こんなのも一瞬で作ったんでしょうねー、彼ら。忙しかったから(笑)。⑦のB面。

⑬ I'll Be Back J.Lennon - P.McCartney
ジョンが言うに、「悲しき街角」で有名な、デル・シャノンの曲のコードをいじくって完成させたとか。どの曲だろう?
邪推だが、⑫も⑬も、さりげなくエヴァリーズに似てるんですよ。彼らにカヴァーさせても良かったろうなぁ。

そういやこれもロジャー・ニコルズのカヴァーを聴いた時にはビビッたなぁ。あれも凄いですよね。


2 コメント

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偶然とはいえ (BYRD)
2007-09-07 23:54:48
このアルバムとビーチ・ボーイズの『All Summer Long』、フォー・シーズンズの『Rag Doll』が同じ月にリリースとは本当に運命的なものを感じますよね。この3枚を機にアルバムでもオリジナル曲をより重視する方向に進んだので特にストーンズあたりはシングル曲でもまだカヴァーがほとんどで内心相当焦りを感じてたんじゃないかなと思いますね。

それとポールの「And I Love Her」のサビのところはジョンが手伝ってますが、「Can't Buy Me Love」はポール単独作だと思います。あと「Things We Said Today」も含めてこのアルバムでのポールの曲はどれもいいですよね(当然ジョンの曲もですが・・・^^)
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ありがとうございます! (管理人)
2007-09-08 01:59:24
ご無沙汰してます~。

本当に、運命的ですよねー。
ストーンズならずとも、感じた人はいたでしょうね、この駆け足のような発展っぷりを。

ジョン・レノンの天才っぷりに圧倒されるアルバムですけど、ポール初期作品、もっとも楽しめるアルバムでもあるかもしれませんね、意外に。

次のエントリの際もごあいさつにいきます
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