古塩原湖のかつての湖底をいま流れている箒川(ほうきがわ)にそって上流にたどり、北から合流するウトウ沢(善知鳥沢)との出合いにつく。木の葉化石園Ⓡの前庭に露出しているのと同様の地層が、そのあたりに露頭をなしている。
(木の葉化石 ⇒ FM174「ほりだしもの・ふたたび◇塩原 木の葉化石園Ⓡ」2023年10月18日 へ)
「今から30万年ほど前、塩原温泉一帯は大きな湖になっていた。その湖の底に静かに積もった木の葉などが泥に埋もれ、化石になった」のが「木の葉石」とよばれる植物化石である。(*1)
川にかかる橋がある。ひとがあるいてわたる。
(写真は栃木県那須塩原市にて2023年10月18日撮影)
かってにいじっちゃダメなところです。
橋の中央から川下をみる。
このような砂防施設がほどこされている。
橋から川上をのぞむ。この写真の右手、川の北側(左岸)の道を上流にむかう。
橋をわたらねば始まらない。このあたりが要害公園であるらしい。
繁茂する植物のすきまに「しましま」の地層がのぞく。
望遠レンズにうつるのは、木だちの影ばかり。
うすくらがりに焦点をあわせると、ようやく縞もようがはっきりした。
「水の流れ込みの静かな湖に堆積したと考えられ、よく見ると白い層と茶色の層が交互に重なっているのが分かる。」(*2)
「厚さ数mmのシロと茶色の層が繰り返しています。白い層は珪藻[けいそう]という微生物の死骸(殻)からできています。このような薄い互層になっている地層をラミナ(葉裏[sic] [ようり])といいます。」
「雨が少ない季節は、湖面付近で生活していた珪藻の死骸だけが湖底に沈んで積もります。雨が多い季節は、湖の中心部まで泥が運ばれてきて積もります。塩原湖成層の珪藻ラミナは、季節による堆積物(積もるもの)の違いにより造られたものです。したがって、白い層と茶色い層のセットで1年を表しているのです。」(*3)
「厚さ数mmのシロと茶色の層が繰り返しています。白い層は珪藻[けいそう]という微生物の死骸(殻)からできています。このような薄い互層になっている地層をラミナ(葉裏[sic] [ようり])といいます。」
「雨が少ない季節は、湖面付近で生活していた珪藻の死骸だけが湖底に沈んで積もります。雨が多い季節は、湖の中心部まで泥が運ばれてきて積もります。塩原湖成層の珪藻ラミナは、季節による堆積物(積もるもの)の違いにより造られたものです。したがって、白い層と茶色い層のセットで1年を表しているのです。」(*3)
うねる「しましま」がある。写真の右下あたりを望遠すると・・・
この写真の右下に断層、左方に褶曲がみられる。地層が固定してから力がかかると断層となり、地層がまだ固定しないうちに横から力がはたらくと褶曲をなすわけだ。
崖の斜面を水がおちてゆく。
地層をあらう水流。
かつては斜面の直下にとりついて観察することができた。いまは植物にはばまれ、かつ足もともわるい。
おとなしく望遠レンズをむける。
上の写真のやや左方をねらう。
下方の層がやや波うっている。「ハンモック構造」というらしい。
「ハンモック構造は、湖底に積もった堆積物がまだ固まっていないときに、重いものが載ることで変形したものです。」
「ハンモック構造の地層の上に、茶色の厚い層があります。この層をよく見ると、粒の大きい(重い)砂から粒の小さい(軽い)泥や粘土に移り変わっています。大雨が降り、大量の砂や泥が一気に運び込まれ、積もったものです。この重さに耐えられず、下の地層は変形してしまったのです。」(*4)
「ハンモック構造は、湖底に積もった堆積物がまだ固まっていないときに、重いものが載ることで変形したものです。」
「ハンモック構造の地層の上に、茶色の厚い層があります。この層をよく見ると、粒の大きい(重い)砂から粒の小さい(軽い)泥や粘土に移り変わっています。大雨が降り、大量の砂や泥が一気に運び込まれ、積もったものです。この重さに耐えられず、下の地層は変形してしまったのです。」(*4)
北(写真の右方)から流れこむ沢にかかる橋。
りっぱな滝だ。
どうやらマムシがいるらしい。崖の上には人家があるが、このごろ里にイノシシもクマもくる。
こわれた橋の残骸。通行止とあいなる。
かつて要害公園の遊歩道であった。崖下にとりついて地層をまぢかに見ることもできた。小学生の観察会もおこなわれたようす。(*5)
いまや荒れて、いたるところ「自己責任」の危険がひそんでいる。とても子どもらを放し飼いにするような環境ではない。
ガマの穂。
穂から綿がでる。
これは片葉のアシであるか。
「源三窟」鍾乳洞の下にあった「片葉の蘆」も、秋をむかえて片葉となっている。
(同日撮影)
おなじ場所のアシである。
(片葉の蘆 ⇒ FM164_S2「米のとぎ汁で足がつく◇源三窟 塩原温泉郷」2023年05月22日 へ)
ママコノシリヌグイですか。継子の尻拭い。実用に供すると、イジメで訴えられますよ。
ミスジチョウ。秋の陽に、翅のほころびがいたいたしい。(*6)
本日は地文のみにて。要害という地名など、人文のはなしはまた後日。天文は夢のまた夢。
(大井 剛)
(*1) 「要害公園の変形地層」
『塩原の自然』那須塩原市那須野が原博物館、2012年。第2刷、2017年。210p.
同書 pp.58-59.
『塩原の自然』那須塩原市那須野が原博物館、2012年。第2刷、2017年。210p.
同書 pp.58-59.
(*2) 「塩原湖の痕跡(要害公園付近)」
註(*1)前掲書『塩原の自然』p.35.
註(*1)前掲書『塩原の自然』p.35.
(*3)「要害公園の変形地層」
註(*1)前掲書『塩原の自然』pp.58-59. 引用は同書p.58から。
文中「葉裏」とあるのは「葉理」が正しい。
註(*1)前掲書『塩原の自然』pp.58-59. 引用は同書p.58から。
文中「葉裏」とあるのは「葉理」が正しい。
(*4) 「要害公園の変形地層」
註(*1)前掲書『塩原の自然』pp.58-59. 引用は同書p.59から。
註(*1)前掲書『塩原の自然』pp.58-59. 引用は同書p.59から。
(*5) 「要害公園の変形地層」
註(*1)前掲書『塩原の自然』pp.58-59. 同書p.58にそれらしい写真がある。
註(*1)前掲書『塩原の自然』pp.58-59. 同書p.58にそれらしい写真がある。
(*6) 「ミスジチョウ」Neptis philya excellens タテハチョウ科
註(*1)前掲書『塩原の自然』p.190.
註(*1)前掲書『塩原の自然』p.190.
(更新記録: 2023年10月18日起稿、10月26日公開、10月31日修訂、11月10日増補)