心は鍛えるものではなく、整えるものだ。
いかなる時も安定した心を備えることが、常に力と結果を出せる秘訣だ。
自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。
高校サッカーで無名、浦和レッズ入団後もふるわず、1年間ほとんど出場機会のなかった長谷部選手が、いかにしてワールドカップのゲームキャプテン、AFCアジアカップでキャプテンとしてチームの優勝に貢献するまでに至ったのか。本書では、その地道な努力の裏側を垣間見ることができます。
なかでも注目なのは、なかなか目が出なかった時、困難に直面した時、長谷部選手が実践していたというメンタルケアの方法。規律正しい日々の生活から、人間関係の工夫、健全な競争心を持つこと、そしてチームの勝利に貢献する姿勢まで、プロとしての心構えが、びっしりと書き込まれています。チームのリーダーとして、どう振舞ったか。成果をあげるために、日々、どう努力や工夫をしてきたか。
ビジネスでも、スポーツでも、あらゆるシーンに通じる、ストイックな考えが示されており、読むと背筋がピンと伸びる一冊です。
なお、長谷部は自身のブログで、「何か自分にできる事とずっと考えていて、その中の1つとしてこの本の印税は全額、東北関東大震災の被災地に向けてユニセフを通じ寄付させていただきます」とつづっており、「心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣」を購入することで東日本大震災の被災者支援にもつながります(まさにWin-Winです)。ぜひ読んでみてください。
【56の習慣】
1.意識して心を鎮める時間を作る。
2.決戦へのスイッチを直前に入れる。
3.整理整頓は心の掃除に通じる。
4.過度な自意識は必要ない。
5.マイナス発言は自分を後退させる。
6.恨み貯金はしない。
7.お酒のチカラを利用しない。
8.子どもの無垢さに触れる。
9.好きなものに心を委ねる。
10.レストランで裏メニューを頼む。
11.孤独に浸(つ)かる~ひとり温泉のススメ~。
12.先輩に学ぶ。
13.若手と積極的に交流する。
14.苦しいことには真っ向から立ち向かう。
15.真のプロフェッショナルに触れる。
16.頑張っている人の姿を目に焼きつける。
17.いつも、じいちゃんと一緒。
18.集団のバランスや空気を整える。
19.グループ内の潤滑油になる。
20.注意は後腐れなく。
21.偏見を持たず、まずは好きになってみる。
22.仲間の価値観に飛び込んでみる。
23.常にフラットな目線を持つ。
24.情報管理は怠らず。
25.群れない。
26.組織の穴を埋める。
27.監督の言葉にしない意図・行間を読む。
28.競争は自分の栄養になる。
29.常に堂々と勝負する。
30.運とは口説もの。
31.勇気を持って進言すべき時もある。
32.努力や我慢はひけらかさない。
33.読書は自分の考え方を進化させてくれる。
34.読書ノートをつける。
35.監督の手法を記録する。
36.夜の時間をマネジメントする。
37.時差ボケを妨げる。
38.遅刻が努力を無駄にする。
39.音楽の力を活用する。
40.ネットバカではいけない。
41.常に最悪を想定する。
42.指揮官の立場を想像する。
43.勝負どころを見極める。
44.他人の失敗を自分の教訓にする。
45.楽な方に流されると、誰かが傷をつく。
46.変化に対応する。
47.迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。
48.異文化のメンタリティを取り入れる。
49.指導者と向き合う。
50.自分の名前に誇りを持つ。
51.外見は自分だけのものではない。
52.目には見えない、土台が肝心。
53.再論を振りかざさない。
54.感謝は自分の成長につながる。
55.自分のサッカーを強くしたい。
56.笑顔で連鎖を巻き起こす。
【56の習慣の一部】
☞ 時間があまりない日に遊びに参加してしまうと、「心を鎮める30分」を作れない
☞ ドイツには「整理整頓は人生の半分である」ということわざがある。日頃から整理整頓を心がけていれば、それが生活や仕事に規律や秩序をもたらす。だから整理整頓は人生の半分と言えるくらい大切なんだ
☞ 愚痴で憂さ晴らしをするのは自分の問題点と向き合うことから逃げるのと同じ。ゆえに逆に愚痴を言わないように心がければ、自ずと問題点と向き合えるようにもなるのだ
☞ これからも僕は、組織のために足りないものを補える選手であり、組織において不可欠な人間でいたい。そうすれば、たとえ目立たなくてもピッチに立つことができるだろう
☞ いつものように僕の名前だけ呼ばれず、ベンチ外が決まったときのことだ。オフト監督は最後にこうつけ加えた。「今日、ベンチに入れなかった選手がひとりいる。彼は今トレーニングをすごく頑張っている。彼のためにも今日の試合は勝とう」監督はちゃんと自分を見てくれていたのだ
☞ 迷ったときこそ、難しい道を選ぶ
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