世界各国の少子化事情が詳しく知れてたいへん有益な本だ。各地の特派員の取材記事をとりまとめたのは、新聞社ならではの成果だろう。
女性のフルタイム就業への移行は、少子化促進要因となるものの、手厚い育児と就労の両立支援がそれに歯止めをかけるのは北欧やフランスの経験に明らかである。ただし、フィンランドのように、それでも少子化が止まらない事例もある。
子どもを育てる経験がしてみたいのにそれがかなわないのは問題であるが、少子化がすすみ人口が減少するのは、地球環境の持続可能性からみてむしろ望ましいことだ。高齢化の加速による社会保障費用の高騰、それゆえの財政ひっ迫は、100年ほどあとの償還を目途にした超長期国債の日銀引き受けによりじゅうぶんしのげるだろう。
合計特殊出生率1.34!5年連続ダウン。“崖っぷち日本”再生のヒントと落とし穴。韓国・中国・フランス・イスラエル・米国・ハンガリー・フィンランド…世界を巡って見えてきた「国の思惑」と「女性たちの本音」
目次
第1章 韓国―世界最低水準の国で起きている若者の「結婚離れ」
第2章 中国―「一人っ子政策」の宿痾に縛られる少子化大国
第3章 フランス―「少子化対策先進国」に息づく権利獲得の文化
第4章 イスラエル―家族重視の価値観がつくる少子化対策先進国
第5章 米国―技術革新と企業の支援で加速する少子化対策の功罪
第6章 ハンガリー―危機感に突き動かされた“本気”の施策と不寛容の表裏一体
第7章 フィンランド―リベラルな国が苦悩する「個人の自由」と「社会全体の利益」のひずみ
終章 少子化の何が問題か―少子化がもたらす未来のシナリオとその対策とは
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