生活保護が、社会権として正しく認識されず、稼得能力に欠ける貧困者へのパターナリスティックな温情、施しとしていまだ捉えられているこの国で、高齢者以外の、一見して病人とわからぬ生活困窮者には、そうした温情はかけてはならぬといった恣意的な判断がはたらく。違法な、行政による生活困窮者の生活保護からの排除は、漏給問題は取り上げず、大衆迎合的な不正受給バッシングに走るマスメディア、そしてそのプロパガンダにまんまとのっかり、弱者叩きにカタルシスを得る社畜およびワーキングプア、この構図のなかで進行している事態であることを、再認識しなければいけない。
目次
第1章 生活保護の現場で何が起きているか
第2章 命を奪う生活保護行政
第3章 保護開始後の違法行政のパターン
第4章 違法行政が生保費を増大させる
第5章 生活保護問題の構造と対策
終章 法改正でどうなるのか
不正受給問題を巡り、生活保護への「バッシング」が高まっている。バッシングは政治問題にまで発展し、いまや取り締まりの強化や支給額の削減へと議論は進んでいる。しかし、私たちは生活保護の実態を知っているのだろうか?自殺・餓死・孤立死―。そこには追いつめられ、専厳を踏みにじられ、果ては命さえも奪われる現実がある。本書は、受給者をとりまく現実が、日本社会になにをもたらすのかを解き明かす。「最後のセーフティネット」の抱える本当の問題をあぶりだす、生活保護問題の決定版!
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