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本と音楽とねこと

資本主義から市民主義へ

岩井克人・三浦雅士,2014,『資本主義から市民主義へ』筑摩書房('16.12.21)

 岩井克人の「資本論」に接したのは学生時代以来かもしれないが、あのときに受けた知的衝撃を思い起こしてしまった。廣松渉の「物象化論」ともども、あれは実に刺激的だった。
 本書は、三浦雅士が岩井克人に問いかけるかたちでとりまとめられた対談本だが、岩井の言語・法・貨幣、そして、法人、信任、市民社会についての思索が自在に展開されている。
 本書を読んで、信任なき資本主義は自壊するほかないこと、市民社会なき資本主義は存続しえず、市民社会の倫理を資本の論理に組み込みながらしか資本主義は永続できないことを確信した。カントの「定言命法」を再評価し、市民社会論に組み込んでいくことが、けっして時代遅れのものでないことにも思い至った。
 言語・法・貨幣が人を人としてあらしめた起源であり、これらのどれか一つの暴走が、精神の崩壊、全体主義、そして恐慌の要因となる。このことを理解できるだけでも、本書を読む価値がある。

目次
第1章 貨幣論
第2章 資本主義論
第3章 法人論
第4章 信任論
第5章 市民社会論
第6章 人間論
補章 倫理論

貨幣は貨幣だから貨幣なのだ。貨幣を根拠づけるものはただ貨幣だけ。言語・法・貨幣の、社会と人間を貫く自己循環論法こそが、恐慌も生めば、自由をももたらす。それを踏まえて、われわれはどのような市民社会を構想すべきか。資本主義を超えて、来たるべき市民主義とはいかなるものか。貨幣論に始まり、資本主義論、法人論、信任論、市民社会論、人間論、そして倫理論まで、経済学や社会哲学を縦横に論じつつわかりやすく解説。次代の社会像を示す!

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