経済成長の成果が得られたときだけ、お情け程度の社会保障の整備が行われてきた残余型福祉の国、日本。「開発主義」の成果が得られなくなると、「低福祉」社会の負のスパイラルがとめどなく進行する。
東日本大震災の「復興」過程においても、被災者のうち、貧困層、障がい者(とその家族)等は排除され、「義援金」の配分は生活保護の打ち切りの口実にされ、「復興予算」は、被災者の生活再建とはかけ離れた、巨大堤防の建設等の土建事業により食い潰される。
フルタイムで働いても食べていけない低賃金の求人ばかりが集積する仙台に、筆者らはブラック国家・日本の縮図をみる。声高に「絆」の再生を謳いながら、あらゆる「絆」を喪失した社会的弱者を平気で排除する「ブラック国家」。わたしたちはその一員であることをまずは自覚すべきだ。
目次
序章 「ブラック国家」とは何か?
第1章 3・11後の悲惨
第2章 吸い取られた義援金―福祉不在の「絆」の構造
第3章 被災地を食いつぶす「復興予算」と「支援ビジネス」
第4章 虚構の求人倍率と不可能な自立要求
終章 仙台からのオルタナティブ
支援という名の偽善ビジネス、分断されたコミュニティ、都市型の貧困と孤独。仙台を辿れば、この国の絶望が見えてくる。大佛次郎論壇賞受賞『ブラック企業』の著者が、「誰にも語られなかった被災地」をえがく衝撃のルポ。
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