自発的簡素で幸せになる

　先週から世界の株価は暴落し、急速な円高が進行した。その原因の一つが、米国でのサブプライムモーゲージ（信用度の低い借り手向けの住宅ローン）の焦げ付き懸念だ。住宅価格の上昇を見込んで無理な借金を増やしたあげく、不動産バブルの崩壊とともに破産する世帯が急増し、価値を失った債務担保証券だけが積み重なったというわけだ。昨日、住宅・不動産ローンのアメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメントが資産整理を行う必要がでる可能性のあることを明らかにすると、株価は1/10まで急落した。
　低所得層が増えてるのだったら、最低賃金を引き上げ、高所得層からの累進課税を経由した所得再配分を行って、格差を是正すればよい。また、低所得層も無理なく暮らせる良質の公営住宅を増やせばいい。そんな当たり前の福祉施策が講じられないまま、サブプライムだの、ホームエクイティだの、無茶な金融サービスばかりはびこらせるから、こんなことになるんだよ。
　低所得層にまで、がんがん物質的欲望を肥大化させ、大きい家に大きい最新式のクルマを欲しがらせるアメリカのMaterialismの病は深刻だ。1970年代にVoluntary Simplicity（自発的簡素）のライフスタイルがサブカルチャーとして登場し、それがいま、LOHASというライフスタイルに変質して広く定着しつつあるが、いまだ主流派となるにはほど遠い状況だ。
　家は中古を買ってリフォームして暮らせばいい。クルマは10年以上、もしくは10万キロ以上乗ってから、買い換えたらいい。音楽は、ネットから落として、あるいはストリーミングを流して聴けばよい。お昼ごはんは小さなおにぎり一つでじゅうぶんだ。外出時に飲むお茶は、自分の家で煮出したのを使い回しのペットボトルに入れたのにしたらいい。だけど、自分のため、あるいは他者のためになるものであれば、ケチらないでどんとお金を使う。ギラギラした物質的欲望はカコワルイ、良いモノを大切に長く使うのがカコイイ。そんな脱物質主義的なライフスタイルの主流化をアタマのいかれたプリオン人に期待するのは、無理な話なんだろう。

　明後日、台風5号（通称「ウサギ」）が福岡を直撃して休校になった場合、8/4（土）に補講と試験をふりかえることになった。明日の夕方には、大学のポータルサイトに掲示が出るので、学生諸君は必ず確認しておいてほしい。