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本と音楽とねこと

介助者たちは、どう生きていくのか

渡邉琢,2011,介助者たちは、どう生きていくのか──障害者の地域自立生活と介助という営み,生活書院.(5.26.2021)

 全身性障がい者が、大規模隔離施設や親もとから独立し、自立生活を営むために、24時間稼働可能な介助人を確保することは、自立のみならず、自らの生存を賭けた闘いであった。
 すべての「健全者」に障がい者の介助を要求する、先鋭的な社会運動が終焉したあと、運動は、行政に介助者へのじゅうぶんな労賃の保障をを要請する社会運動(「裏の運動」)と、会員制で有償の介助者を確保しようとする現実的な自立生活運動(「表の運動」)に分岐したが、1990年代、両者は歩み寄り、介助人の生活保障と障がい者の介助ニーズ保障とをともに充たす社会運動、生活運動に発展する。
 運動内部で介助人として葛藤してきた筆者が、日本社会における障がい者の自立生活運動の歴史を、障がい者と介助人双方の発言を再録しながら、解き明かす。
 障がい学と社会運動論の両分野にまたがる、充実した内容の記録である。

障害者の地域生活に根ざした介助という営み、その歴史と現状をつぶさに見つめつつ、「介助で食っていくこと」をめぐる問題群に当事者が正面から向き合った、これぞ必読の書。

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