金菱清・大澤史伸,2014,『反福祉論──新時代のセーフティーネットを求めて』筑摩書房('16.12.29)
紹介されている事例はとても興味深いのだが、それらを「反福祉」なる論理のなかに乱暴に位置づける神経がわからない。
人々の生き生きとした自助、共助の数少ない実践が、普遍的なセーフティネットになるわけでもなく、こうした試みは、有害無益でしかない。
目次
はじめに―いまなぜ「反福祉論」か
1 現代の「忘れられた日本人」―制度外の人びと自身による生活保障
「飛行場」に住まう在日コリアン―不法占拠者による実践
福祉版「シンドラーのリスト」―生活困窮者の最後の拠り所
大津波における「ノアの箱舟」―災害被災者の伝統的行動規範
ドヤ街のスピリチュアル・ケア―ホームレスはなぜ教会へ?
2 福祉制度に替わるセーフティーネット
ホームレスとしてのイエス・キリスト―制度からの解放宣言
福祉に挑むドン・キホーテ―ある研究者の知的遍歴
生きられた法―法外世界の豊饒な議論へ
福祉は財政的に限界に達している。一方、さらなる拡充を望む声も根強い。ではどうすればよいのだろうか。不法占拠者や生活困窮者、災害被災者、ホームレスなど、福祉の制度から漏れてきた人びとが、公助に頼らず自助・共助によって展開する生き生きとした暮らしを検証。制度に代わるセーフティーネットの仕掛けを発達させてきた彼らの生き方に学び、「反福祉」の考え方を提唱する。制度にがんじがらめになっている福祉の現状に警鐘を鳴らし、誰もが生きやすい社会を構想する。
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