社会学が社会動学(コント)として創始されたことを思い起こすと、本書のテーマは、社会学のなかでももっともスリリングで想像力を喚起するものであるはずだ。
ところが、本書の内容は(章にもよるが)おそろしく退屈だ。本書は、社会学者のコミュニティに向けて書かれたものであり、社会学史上の社会変動に関する重要な論点はきちんと押さえているという自負が編著者等にはあるのかもしれないが、社会変動の現在形に補助線を引く役割ももたないような議論になんの価値があるというのだろう。
社会変動論は、社会システム論、フォーマルセオリー同様、閉じたコミュニティのなかで果てしのない言語ゲームを繰り返す、対社会的には無意味な議論に成り下がったのか。そんな幻滅感しか、読後に残らなかった。
目次
社会変動と社会学
第1部 社会変動研究のフロンティア
社会変動研究の理論的課題
社会変動のミクロ-マクロ理論
グローバリゼーションと機能的分化―多次元的な多元主義の可能性
社会変動の測定法と社会指標
第2部 社会変動研究の問題構成
グローバリゼーションと社会変動理論の変容
意味変容と社会変動研究への視座―現象学的社会学の系譜から
社会変動のミクロロジー―方法としてのベンヤミン
社会システム論、合理的選択理論、“意味の社会学”、歴史社会学、生活の質指標研究など、現代社会学の代表的視点から、社会変動研究の理論的・実証的課題を検討し、今日の社会変動の実相とモダニティの変容に迫る。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事