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本と音楽とねこと

静かなる変革者たち

横山恵子・蔭山正子・こどもぴあ編著,2019,静かなる変革者たち──精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り,ペンコム(インプレス).(2.23.2021)

 障がいをもったきょうだいがいたり、祖父母を介護したりといった、ヤングケアラーと、その自分の思いどおりの人生を歩めない苦悩については、けっこう知られているが、本書は、精神障がいをもった親のもとで育った子どもの問題が主題である。
 4人の当事者が、壮絶、といってよい経験を語るのであるが、彼ら、彼女たちが、成長して、精神科看護師や精神保健福祉士として活躍しているのが興味深い。この4人に限らず、子どものころからケア役割を担わざるをえなかった人には、医療、介護、福祉の仕事に就く者が少なくない。
 子どもも含めた家族だけで、精神を病んだ者を支えるのは無理があるだけでなく、一種の共依存が病者の回復を阻害してしまうという悪循環もある。そこに必要なのは、第三者の介入、といって悪ければ、ケア役割の代替であり、すなわちそれは、第三者が、病者をケアする家族全体を支援する役割を担うということでもある。
 精神科看護師や精神保健福祉士をめざしている人には、とくにおすすめしたい書物である。

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