春眠暁を・・・覚え・・・

待ち侘びた春がやって来た。

このところの春めいた陽気で、庭の草木も徐々に芽が出始め
冬の間、どこかへ行っていたムクドリやメジロも庭へ戻ってきた。

畑を見ると、あちらこちらでモグラが掘ったと思われる穴が見られる。
1年で最も“生命”を感じ取れる季節。

と、同時に人々も心が躍る季節・・・春。

・・・おそらく、この方も心が躍りすぎるほど踊っていた？のだろう・・・か。

いつものように「その他雑酒」を規定量飲み干し、寝床に着いた。
自慢じゃないが、1度寝たらそう簡単には目を覚まさない。
少々の物音には動じず、就寝を貫き通すタイプ。
大雨だろうが地震だろうが雷だろうが、災害クラス以下では目を覚まさない。
あ、何故か釣りのときは信じられないほど目覚めは良いけどね。


で、深夜のお話・・・。


大変！！早く起きて！！！庭で音がする！！！

むぅ？なにやぁ・・・猫だべ・・・ぐぅ。

大変だってば！！庭に誰か居る！！！起きれぇぇぇ！！！！（怒）

あぁ、起きますよ。めんどくせぇなぁ。

時計は午前零時30分を指していた。

確かに庭というか、雨戸の直ぐ脇でゴトゴト物音と同時に、話声も聞こえる。

ん・・・誰だ？・・・というか泥棒？
バッカンやクールバック、クーラーが置いてある場所からゴトゴトと物音がする。

くそぉ・・・こんな夜中に迷惑な。

普通ならば「こらぁ！！！人の屋敷で何してんだ！！！」って怒鳴るところなんだろうけど
小心者の僕はドキドキしながら、おそるおそる二重サッシの内側を開けた・・・あれ？

なんと、庭に置いてある「永易組」クーラーボックスに、まるで団子を握るかのようなスタイルでオッサンが座っていた。



　　　　　　　＜目撃現場＞

あのぉ、人の家で夜中に何してるんですか？

・・・ブツブツ・・・マスターが・・・マスターがぁ・・・マスタァー！！

うわっ！こわい！！こりゃ別の意味で相当に恐いぞ。

あのぉ、マスターがどうかしたの？

・・・うるさい！馬鹿！！・・・マスターが・・・あぁ、マスターァ！！

ばっ、バカ？？
くそぉ、お前のマスターなんて知らんちゅーねん！
人の家の庭で夜中に俺様に向かってバカ！とは何ともムカツク奴だ。

なんっだとこらっ！！どうでも良いけどうるさいから早く自分の家に帰れよ。

・・・うるさい！ちくしょぉ～・・・あぁ、マスターァ！！

だからマスターなんて知らんて！誰やそれ！お前がうるさい！

・・・うるさくない！

うるせぇ！！

そうこう低レベルでアホらしい問答が数分続いているうちに、道路を見ると赤灯を回したパトが数台やって来た。

あぁぁ、くそぉ、警察呼びやがったな！ちくしょう！！マスターァァァ！

パトカーを見たオッサンは庭を泥だらけで転がるようにして逃げていった。
後から聞いたのだけれども、隣の家でも「マスターァ！！」と叫びながら玄関先に「ゲ●」を散乱させ、そこで警察に通報されたらしい。

う～む・・・単なる酔っ払いか。ちょっとビビッたぞ。

それにしてもマスターって・・・誰？

まぁいいか。

名づけて「ミスターマスター」…プッ。もうくんなよ。

その後は警察の事情徴収を受け、念のためマスターを説明し・・・

警「ほぉ、マスターってねぇ（笑）」
き「うん、マスターが悔しいってさっ」
警「で、被害届出します？」
き「いや、いいです」

その後は結局寝付けずにそのまま会社へ向かった。

眠い・・・。

春眠暁を・・・覚えるどころじゃない時もある。



あぁ・・・眠い・・・眠いよマスター！（笑）


春の珍事。

何とも迷惑な。