私は六歳まで、サンタクロースを信じていた。
「何故、サンタクロースは、私の家には来てくれないんだろう?」
サンタクロースの存在を疑い掛けた私に、女子高生のお姉さんが、こう言った。
「サンタクロースは煙突から入るから、私の家にも来たこと無いよ。北欧の家だけ行くんだよ。残念だけど」
日本人の家には来ない。そう納得しかけた私に、中学生の風呂屋の息子が、こう言った。
「サンタクロースが煙突の有る家に来るのは本当だぜ。昔、俺の家の煙突に引っかかって焼け死んでたんだぞ」
言って良いことと、悪いことが有る、と、思う。