中田考氏の連続ツイートは興味深い。
中田 考は日本のウラマー、実業家。同志社大学客員教授、同志社大学一神教学際研究センター客員フェロー。同志社大学アフガニスタン平和開発研究センター客員上級共同研究員。元同志社大学教授。
イランにとって重要なのは、ソレイマーニー爆殺が、イラン全土での反体制デモ(体制転覆につながるほどではないがそれなりに深刻)とイラクでの深刻(既に倒閣)なデモ(イランの影響力排除が主要な焦点)の収拾に苦慮していた時期に起き、どちらも一挙に吹き飛んだこと。
— 中田考 (@HASSANKONAKATA) January 8, 2020
そしてイラク宗教界におけるイランの影響力排除派の両巨頭スィスターニーとサドルが、ソレイマーニー哀悼で一時的にせよ「反イラン」を口にできなくなった(スィスターニーの真意はよく分からないがサドルははっきり反米に舵を切った、というか戻った)のは極めて大きい。 ここでアメリカを刺激して戦争の危機を乗り越えれば、イランは国内の反体制デモを手を汚さず完封した上にイラクでのアメリカとのヘゲモニー闘争でも一挙に優位に立てる。 レバノンの反体制デモに関しても反シーア派の勢いが弱まったのは、イラクほどではないが同じでイランを利した。 それに対してトランプには武力衝突をエスカレートさせてイランに武力侵攻し体制を転覆させイランを内戦状態にし中東を大混乱に陥らせる以外に有効な手がない。(それどころかイラクに撤兵させられるならこれまでの用心棒代を払えと恫喝し逆に反米感情を煽っている始末だ) なのでイランはソレイマーニーを殺された無念に報復したい気持ちを我慢してアメリカとの戦争の危機さえ乗り越えれば自然に優位に立てる。トランプはもともと中東からの撤兵が公約なので、イランとの全面衝突は望んでいないと思われるので、それはそう難しくはない。 むしろトランプにとっての本丸は北朝鮮で、ソレイマーニーは、ここまでの大物でもあっさり暗殺できるという事実を見せつけ、金正恩を震え上がらせ、一挙に北朝鮮との和平交渉を進めるための単なるスケープゴートだったのでは、と勘ぐりたくもなる。 田中宇は中東は全く分かっていないがアメリカ外交の分析には一理ある。参考まで「田中宇の国際ニュース解説より」 ↓ 【2020年1月7日】トランプのスレイマニ殺害は、イラクにおける米国とイランの均衡を破壊した。 イランとイラクのシーア派が結束し、米国を中東全域から追い出す策を何年もかけて展開していく。トランプは、この手の流れが起きることを予測した上でスレイマニを殺した。(引用転載終わり) トランプは「米国は世界最強の軍隊を持つが、米国はその軍事力を使う必要もないし、使いたくはない... ソレイマニ将軍が主導したようなテロによるイランの国家戦略は容認しないものの、いずれイランの真の可能性が実現されることを期待する」と言った、とのニュースが入った。 これで、ソレイマーニー暗殺が、むしろイランへの側面支援であり、それがトランプの「アメリカファースト」、「中東からの米軍撤退」というトランプのグランデザインの枠組で行われたことが明らかになった、と思われる。
この一連のツイートの通りで、トランプの狙い通りに事が進んでいて、アメリカは中東から手を引き、イランが地域覇権をとる戦略と見ている。
— 市川 吉徳 (@penguin_run) January 10, 2020