アキラは元々,好き嫌いが非常にハッキリしている子なのだが,最近では時々「アキラ,おとうさんキライ!」などとアカラサマに言うようになった。それも,例えば夕食後の休息時,長椅子で新聞などボーッと読んでいる父のもとに何処からともなく擦り寄ってきて,そしてホッペとホッペをこすり付けんばかりにして密着しながらそう言い放ったりするのだ。その原因は恐らく,日頃アキラが本やオモチャを散らかし放題にしてほとんど片 . . . 本文を読む
アキラの笑い,それは不意に訪れる。例えば夜,父がタカシに向かって「オヤスミ」をいうと,それに対してタカシが「オヤ?スミナサーイ」などとおちゃらけて答える。その言葉にアキラは突然の大笑い。本当にケラケラケラケラと大声をあげて実に嬉しそうに笑う。しばらく笑い続けて息がつまりそうになるくらいだ。普段のアキラは恐らく3才児としてはかなり愛想がない部類に属し,言うところの笑わん小僧なのにね。一体何だろうね . . . 本文を読む
冬場のアキラはトイレが非常に近い。例えば昨日など,晩御飯の直前にトイレに行き,食事の後すぐにまた行き,それから一休みして夜の散歩に出掛けたら出先のお店でまたオシッコ!と言って急に走り出した。都合2時間で3回の放出だ。恐らくそれは生理的な排尿欲求というよりも,むしろ多分に心理的なそれのほうが勝っていると思われる。常日頃,父や母がアキラのモジモジ素振りを見るたびに,オシッコは?と頻繁に問うているもの . . . 本文を読む
最近,アキラのことをじっくりと観察していない,きちんとした会話を交わしていない,そしてアキラの気持ちを十分に読み取ろうとしていない,それらのことを少々反省している。確かに日々アキラが発する“コトバ”だけは次々とこちらの耳から頭の中へと入り込んでくる(あれだけ近くで騒がれれば,イヤでも入らざるを得ないんだが)。例えば,近頃父に対してよく使われる言い回しは以下のごとし。
ちょっとまってね。これ . . . 本文を読む
どうも愚痴を繰り返すようで恐縮ですが,最近のアキラは,きつく叱られると,その叱った相手が誰であれ,それこそ火の付いたように大声で泣く。それは何か叱られるという行為に対する非常な不快感の表明であるように見える。反対に,機嫌のよいときはカァカァカァなんてカラスの真似をして,実に嬉しそうに大声で鳴いていたりするんだけれどね。あるいはピョンピョン飛び跳ねながら,キタッ,キタッ,トッキュウー,ヤッテキター . . . 本文を読む
朝起きると,いの一番にビフィールなど飲んで,しかる後やおらオモチャ箱から電車を2台取り出す。1台は近鉄特急アーバンライナー,もう1台は中央線の通勤電車。2台とも先日の幼児園のバザーで各100円で手に入れたお気に入りだ。それから先は,さぁ一人芝居の始まり始まり。誰に見せるでも聞かせるでもなく一人でブツブツ言いながら,あるいは鼻歌など唄いながら,2台の電車をアレコレと操作する。その進路を妨害しようも . . . 本文を読む
昨日の夕方,アキラは階段から落ちた。ゴン!とかなり大きな音がするほどにオデコを床にもろにぶつけ,しばらく大泣きした後,やがて泣き寝入りしてしまった由。そして夜7時頃に目覚めると,いきなり嘔吐した。その様子に母と父は少々あわててしまい,取り急ぎ家庭医学の本など読みはじめた。フローチャートに従って診断した結果,取りあえず救急車の必要はない,横に寝かせて安静にしておき48時間程は様子をみること,とあっ . . . 本文を読む
最近のアキラは一体何を栄養源としているのだろうか。例えば,晩の食卓につくと,まずドレッシングのたっぷりかかったレタスを二,三枚つまむ。チリメンジャコを少々ほおばる。ジャガイモ煮があればそれをちょっとだけ噛る。その程度で,はいゴチソウサマデシタッ,と他の3名を食卓に残したままスタスタと居間の方へ行ってしまい,一人で「しまじろう」の本など読みはじめる。あるいは「来た来た特急」の歌などを鼻歌のように口 . . . 本文を読む
現在,アキラは第二次性格形成途上にあると思われるが,これがなかなかの見物である。例えば夜,父に向かってジュースのビンを差し出しながら急にこんなことを問いかけたりする。それも大変しっかりした,メリハリのある言い方で。
「ねぇ,おとうさん? ビンでどんな音が,出せるの?」
父はちょっと考えてから,船やら機関車やらレーシングカーやら飛行機やら,カエルやらウシやらヒツジやら,それから台風やら波や . . . 本文を読む
アキラは寝起きがとても悪い。特に寝足りない時など,その寝起きの場に父が立ち会おうものなら,それこそ闇をつんざかんばかりの大音声,何ともはや対処しようがない。たとえ母が寄り添ったとしても,トーンは若干落ちるものの,しばらくはほとんど意味もなく泣き喚いている。その状態を多少なりとも緩和できるのは,「ボーアイス」か「しまじろうのビデオ」くらいでしょうか。まったく困ったもんだ。
. . . 本文を読む
最近のアキラは,日常生活の様々な場面で兄のタカシをかなりライバル視しているように見える。恐らく3才年上のオニイチャンなどという意識はさらさらなく,ちょうど「山の子」にやって来るちょっと生意気なオトモダチ,といった風に接しているようだ。ただ,さすがに多くの場合においてアキラはタカシに敵わない。すると,その敵わないことに対する不満と苛立ちが,アキラをしてワガママ小僧への道に向かわせる。かくしてアキラ . . . 本文を読む
葛葉川ふるさと峡谷までドングリを拾いに,家族4人で出かけた。その行きと帰りとの道すがら,アキラは合計3回ころんだ。そのうち,2度の大きな転倒で右の膝小僧と左の膝小僧とをそれぞれ擦りむいて少々の血を流し,両の膝にミッキーのバンドエイドが誇らかに貼られた。しかし,何とも痛そうなこと!
アキラの欠点は,走る際に脚が十分に上がらないことだ。スリ足のようにしてヘタヘタ走る。それは多分,母親からの遺伝で . . . 本文を読む