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「理想的な淡水水槽」 6.4.1. 生物学的ろ過 前編


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

6.4.1. 生物学的ろ過 前編



バクテリアによる生物学的ろ過(生物ろ過)が水槽全体のろ過システムにとって非常に大きな役割を担うことは周知の事実である。一般的なフィルター(ろ過器)を備えた水槽では、バクテリアは水槽内部のあらゆる部分、例えばレイアウト素材・底床・ガラス面・水草の表面やフィルター内などで繁殖する。しかし、ただ単に水槽内のバクテリアの活動だけに頼って水の浄化を期待するのは少々心もとない。一般的な水槽では、バクテリアの繁殖に適したスペースが狭すぎるからである。つまり理想的な生物ろ過を求めるのであれば、水槽内におけるバクテリアの繁殖の妨げになるような障害をできるだけ取り除き、バクテリアが好む繁殖場所をできるだけ広く確保することが重要なのである。

水槽内でバクテリアが好む繁殖拠点としては、ろ過槽のウールやスポンジ、活性炭、さらに水槽底面に敷かれた砂利(底砂)があげられる。読者が生物ろ過について正しく理解する手助けとなる重要な要件を下記に記す。これさえ知っていれば、個々の水槽に最も適した最高のろ材を見つけることができるだろう。下記は、好気性バクテリアに十分に酸素が供給されているということが前提条件となっている。

1. ろ過槽およびろ材はアクアリウムの世界において一般的なものを選び、いずれも外から見てその状態が確認できるものを使用すること。

2. ろ材は、自身の重量で圧迫されて欠けたり変形するものであってはならない。

3. ろ材は、水が通過する際に水に触れる面積が可能な限り大きなものでなくてはならない。表面積を確保することで、より多くの酸素が好気性バクテリアに供給されるためである。水がろ材をゆっくりと流れることがバクテリアによるろ過効率を高める要因と考えるのは間違いである。

生物ろ過は、ろ材が水の中に完全に沈められた状態でも機能する。しかし我々は、このいわゆるウェット方式のろ過を現在では採用していない。我々が採用しているのはドライ方式のろ過のみである。理由は、ウェット方式よりもドライ方式のろ過を使用した方が水槽の様々な問題点の解決に対して有利だからである。詳しく言うと、ドライ方式の方が圧倒的に多くの酸素をバクテリアに供給することが可能なのだ。ドライ方式のろ過槽は水が滞る部分がまったくなく、さらに上から下まですべて空気に対してオープンな構造となっているため、落下する水に対して上昇する空気の流れが生じる。つまり酸素の運搬は落下する水のみによって行われるのではなく、下から上へと流れる空気によっても行われるのだ。

このろ過方法は、決して新しいものではない。19世紀以来下水の処理に利用され、大きな成功を収めているのだ。しかしアクアリウムの世界に初めて紹介されたのは1963年のことだ。Hellmuth Wacktel(ヘルムート・ヴァクテル)が著した「Aquarium Hygiene(水槽の衛生)」という本に35ページに渡ってドライ方式のろ過について記述されているのだが、当時は誰もこのろ過方法の可能性に気付いていなかった。

今日では、密閉されたほとんどすべてのろ過器(ホースで水槽とつながれた密閉式フィルター)が、酸素の十分な供給という点であまり良い結果をもたらさないことが知られている。密閉式フィルターはろ過材が非常に密に詰め込まれており、このことが水槽を危険な状態にさらす可能性がある。

特に危険なのは、夜に停電などの理由でろ過機能が停止し、翌朝また稼動を始めるというような場合である。ろ過器の停止によってpHが急速に低下したり、酸素濃度が危険な領域まで下がるといった症状よりも、密閉されたろ過槽の中ですべての好気性バクテリアが死に、ろ過器内が完全に死の部屋となることが水槽にとって最も恐ろしいことなのだ。好気性バクテリアは、密閉式フィルターの中で通常滝のように落下している水が停止すると、酸欠になり死んでしまうのである。しかしドライフィルターのように水がろ過槽に滴り落ちる滴下式を採用していれば、このようなおそろしい事態を招く心配はない。なぜならドライフィルター内は密閉式フィルター内のようにろ材が密着しておらず、ろ材にかかる圧力がほとんどないため、空気による酸素の運搬が隅々まで機能するからだ。ドライフィルター内のバクテリアは常に理想的な酸素濃度の中に置かれており、非常に活発に活動する。水槽内で何らかの理由で見つけることができずく取り除かれなかった死魚や、ろ過槽内に流れ込んだ有機物質の残骸なども、ドライフィルターを設置した水槽では好気性バクテリアが徹底して分解し尽くしてしまう。



ドライろ過槽と平板フィルターが連結された理想的なろ過槽。
生物ろ材としてDuplaバイオカスケードが使用されている。





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<6.4.1. 生物学的ろ過 後編へ続く>




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