岡山県吉備中央町の山奥にひっそりとたたずんでいる食堂車。それは、581、583系食堂車のサシ581型34号車である。サシ581型は、1967(昭和42)年~72(昭和47)年までの間に35両が製造された。画像のサシ581-34は最終車両にあたる。サシ581型は新幹線開業や国鉄の財政赤字、さらには車両の老朽化により、1985(昭和60)〜86(昭和61)年までに全車廃車となっており、JRには1両も引き継がれていない。他方、同車を個人が買い取って喫茶店を開いたり、レストランを経営するなど全国に見られたものの、そのほとんどは90年代のバブル崩壊等や所有者が亡くなった、または経済的な事情で廃業に陥り、車両のみが手つかずのまま放置→解体撤去された車両も少なくない。
手前の太陽光パネルが障害物となっているが、間違いなく「サシ581-34」である。ただし国鉄色でなく、ミント×淡い青色をまとった寒色系の塗装なのが特徴である。かつては、お食事&喫茶店として営業していたが、現在は廃業(廃業理由は不明)し、車両自体は荒廃していた。
サシ581型の特徴といえば、簡易運転台が備えられていること。本来なら「クシ581」の形式となるが、営業での運用は想定していないため、付随車の扱いとなっている(簡易運転台はいわゆる、電車区・運転区構内での車両の入れ替えや編成変更に使われた)。
簡易運転台の画像をさらにUPしたもの。前照灯と尾灯のレンズが破損なく残っていた。
サシ581-34車両番号。ステンレスの輝きは失われつつも切り抜き文字は欠損なく健在。
製造銘板。昭和47年日本車両製。活躍期間はわずか約14年と短命。
食料品専用搬入ドア。ここは、錆が酷く、塗色も剥離していた。
カーテンも、横引きカーテンでなくブラインドを採用している。これは廃車当時のままとなっている。
喫茶店名は「LAILWAYフレンド」。営業当時、ここを利用されたお客様もいらっしゃったのではないか。フレンドの「ド」の濁点が★2つなのもおもしろい。
わずかであるが床下機器も確認できた。しかし、床下機器も荒廃しており、一部の部品が抜き取られたり盗難に遭っていた。また、車体にスプレーで落書きされた箇所も痛々しい。
TR69D台車。太陽光ソーラーパネルの支柱で干渉しているが残っていた。しかも、レールの上に乗った状態で。
TR69D台車 銘板(東急車輌製)。
「ST54258?3」の刻印が残っている銘板。製造番号か?。
既に廃業となっているため、敷地内は立ち入り禁止となっている。加えて、所有者も2022年現在不明である。しかし、貴重な581、583系電車の残党であるため、早急な整備もしくは手続き(保存か解体撤去か)を望みたい。なお、個人所有のため、詳細な場所においては伏せさせていただく。ちなみに、手前のスイフトは自分のマイカー。
撮影日→2019(平成31).1.17(木)
場所→岡山県吉備中央町
〇車両概要〇
製造番号→サシ581-34
製造年月→1972年
製造メーカー→日本車輌豊川工場製
経歴
1972(昭和47)年南福岡電車区へ新製配置。
1986(昭和61)年廃車
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