スナック どん底

ガタガタ言わずに黙って呪え ~呪術の国日本~

オバン。

2009年08月02日 22時45分09秒 | ポエマー・どん底
ある夜オバンは飛び起きたのでした。
ある夜オバンは、目が覚めたのでした。

オバンはその場で仁王立ちになって、
オバンはトイレも我慢して、

オバンのオバンによるオバンの為の、

オバンの夜に、

オバンは弱った奥歯を噛み締めるのでした。

真夜中に飛び起きる程に、

オバンは込み上げて来た感情が何なのか、
オバンは胸の沸き上がる熱いモノが何なのか、

あまりにも遠い遠い昔に起きた出来事なので、
全く思い出せないのでした。

オバンは立ち尽くすのでした。

でもでもと、オバンは取り敢えず、
いつもは早朝やっている米研ぎを開始するのでした。
オバンは晩ご飯の時に、一番おいしいお米を炊きたいのでした。

白く濁るとぎ汁を凝視して、
さっきのは何だったのだろうと思うのでした。

すぐにピンと来ないのが、オバンの特徴なのでした。

そしてその事さえ全て、忘れてしまうオバンなのでした。

それでも何だろうと気になって仕方が無いオバンなのでした。
オバンはたまに、しつこく執念深いのでした。

オバンはついでに洗濯も開始してしまうのでした。

オバンは気が付かない。
オバンは無意識に時間の波に乗ってしまう。

オバンは気が付かない。
立ち止まり座り、ほおづえをついて、考えてみる事に。

真っ暗闇の夜の中で、
キッチンの電気一つ、
グルグル家事をして、

オバンは後ちょっとで、
気が付いたかも知れない。

それでもオバンは動きを止めないのでした。

オバンは気が付く前に、知っていたのでした。

真夜中に仁王立ちする程に、
熱く込み上げて来たモノを。

オバンは気付いて、知っていて、封印するのでした。

オバンは本能で生きるのでした。
オバンはかなり動物に近いです。

あまり、まわり道などしたくないのでした。

まわり道の魅力など、とっくのとうに失せていたのでした。

さっきは多分、

寝ぼけて自分がオバンという事を忘れてしまっただけなのでした。

それでもオバンは何となく、
嬉し恥ずかしオバン街道、
ニヒルに笑い、不思議とも思うのでした。

さっき間違えちゃったなあと、

一人で照れて、呆れるのでした。

オバンは明日の家事が大幅に減った事に、
気が付くのでした。

オバンは15の頃に読んだ本を探すのでした。
ビシッと本はソコで待機しているのでした。

オバンを待っていたのでした。

オバンは本のほこりを払い、

枕の下に置いたのでした。

痛む膝を庇う様にして、
また布団に潜り込むのでした。

嗚呼、吃驚したなあと、もう一度呟いて、

オバンの夜に、オバンはまた消えて行くのでした。







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