読書会

読書会の議事録

平成31年3月27日 第46回読書会

2019-05-06 17:24:31 | Weblog


日 時:平成31年3月27日 18時30分~  
場 所:新橋
参加者:5名(Taさん、Oさん、Kaさん、Isさん、H)
推薦本:「チームスポーツに学ぶボトムアップ理論」 畑 喜美夫 著

※印では、内容の補足と私見を付け加えさせていただいています。

推薦の理由:精神科医である樺沢紫苑さんのメルマガからこの本を知る。
樺沢さんは、うつ病や自殺について研修している方で「病気になる前の予防」ということを言っている。
職場で業務上のミスが続いていたので、どうすればミスが起きない組織にできるか。再発予防になればいいなと思った。
また、この本のように自分たちで考えられる組織になればいいなと思い推薦した。

・では、Isさんからどうぞ

Is
全部、読み切れていないが全体を通して読みやすい本だった。自分は個人競技をしていたのでチームというよりはコーチからある意味押さえつけられているような感じだったので、この本の内容は新鮮に感じた。また学校の部活の話だけではなく、会社だったらこうしたほうがいいというように内容を置き換えてくれていたので参考になった。

自分の部署においてどのように置き換えたらよいかはわからないが、若手の意見をくみ取って、若手が職場に定着して育ってもらうために指導方法も今の時代に合わせて変えていかないといけないのかなと思った。

T
Isさんの職場の組織体制はどうなっているの?

Is
だいたい10名ぐらいの部署。

H
この本を読むと1つのチームは5名くらいがよさそう。

※P84 打てば響く組織の構築
P86 キャプテンを頂点にして、各学年のリーダーからさらに5人ずつのチームに分けて、考え行動させる伝達の仕組みをつくりました。情報伝達の迅速かつ正確性は、みるみる向上していきました。

P86 100人のチームでは人数が多すぎて、誰かのためにとも思いませんが、5人のチームであれば、一緒に考えて行動するうちに信頼関係が構築されます。仲間のためだったらと思う気持ちもうまれてくるものです。

P87 組織では人はもちろん。迅速かつ正確な情報伝達を保つための人と人を結ぶ伝達回路も重要です。一人ひとりの力があっても、伝達ラインが脆弱では組織も機能しませんので、このような理論でチーム全体を動かしています。

Is
自分の職場は、若い社員と中堅以上の社員の間に人がいない。

O
世代が開いている理由は?

Is
辞めてしまったのもあるし、採用自体も少なかった。

T
高校などの部活は、卒業によって毎年チームの3分の1が入れ替わっていくのにも関わらず、強さを維持しているから、人数が少ないことは工夫によってなんとかできそう。

Is
TさんやOさんが職場で重きを置いていたのは、ボトムアップですか?

O
ボトムアップというか自律といっていた。自分で自発的に動ける人間を育成したいと思っていた。

T
なぜ自律を重点的にしたかというと、入ってきた人がみんな自律的な面がなかったり、受け身の人が多かったり、自分なりの生活しかしていなかったから。そういう人たちを変えるにはどうしたらよいかと考え、自主自律というところに重点を置いて、鍛えていった。

O
自律は営業の部署には受け入れられやすかったが、決められたことをきちんと実施する職場では、それじゃうまくいかないと、反発はあった。そのような職場では、一から教えていって右向け右と動いてもらわないと困るという反発があったので。

Ka
先ほどの職場でミスが多いという背景には、何でもかんでも報告するからということがある。
報告されると上の人たちは、いちいち処罰することになる。昔は「これぐらいは、大げさにしないでここだけにしておくか」という感じで処理していたミスが、どんどん報告することによりこの部署はミスが多いといわれているところもある。

Is
この本の中にあったがミスが起きる場合、ゼロベースで考えないといけないと。

※P126 積み上げ方式からゼロベース方式への勇気
組織の作り方で積み上げ方式というのは、あるものにドンドンものを積み上げていくような方式です。現状の延長線上で、さらにどう積み上げるかを考えていきます。
組織がうまくいっているときは、この積み上げ方式です。一方、組織がうまくいかなくなったときには、どうするのかというと、必要なものと不要なものを区別して、一度そのものを横に置いてから、ゼロの状態にして組み直すゼロベース方式となります。


Ka
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」名古屋大学の医療安全管理部についてやっていた。

※人間はミスをする。 だからこそ「逃げない 隠さない ごまかさない」。
そのために医療安全管理部が開発したシステムがある。
医師や看護師が 現場で起こったミスやトラブルを報告するシステム。
患者にとって好ましくないことは全て「インシデント」と呼ばれ 報告される。
その数は 年間1万件に及ぶ。
事故には至らないヒヤリ・ハットの事例も上がってくるため、他の病院よりも圧倒的に多い。
通常、このようなシステムがあっても、こうしたネガティブな報告を上げることは敬遠されがちである。
医療安全管理部は 早期の報告により患者を救えた成功例を積極的に周知した。
さらに、報告を上げても それによって評価が下がることはないようにした。

O
交通事故に関していえば、起こしてよいと思っている人はいないし、自分が起こすとも思っていない。
だからそれを罰したからといって事故は減らない。

T
そういうミスに関してIsさんの職場ではどういう話し合いがされているのか?

Is
ミスの原因や解決策を考えて話し合うが、全体で周知されるかというとそうではない。

Ka
違う職場でのミスを起こしたなどは管理部署の人たちにはあまり関心がない。
自分には関係ないと思ってしまう。

O
職場では、パワハラとかそういうことはあるの?

H
今の若い世代は、親にあまり叱られないで大きくなっているので、厳しく叱られるとパワハラと感じるのでは?

Ka
青学の陸上の監督は、この「蝶よ花よ」と育てられた世代の教育方法をやっている。

T
青学の原監督は、早稲田の大学院に入って指導方法なども勉強している。

O
この本の中に、一流の料理人は素材を選ばないというところがあった。高校野球の池田高校も11人しか部員がいないのに甲子園に出場した。選手は良い素材だったのかもしれないけど、入って来た人を育てていくしかない。

※ 徳島県立池田高等学校 1974年の春の甲子園に出場した池田高校は、メンバーが11人という、どうにかゲームが出来る人数であった。しかし大会では快進撃を続け、決勝戦で惜しくも敗れたものの、準優勝を果たした。その後、1982年の夏の甲子園で優勝を果たす。

・では、続きましてOさん、どうぞ。

O
本を読んでの感想は、内容としては昔からの考え方だが、すごいなと思うし、実際にサッカーチームで結果も出しているし、やり方によって強くなるということは選手自身がどう動くかを考えて組織を作っていくというのは何ら文句を言うつもりはないし、この通りだと思った。
これはリーダーがどう考えるかなので、リーダーがこう考えればこういう組織を作れる。リーダーに読んでもらいたい本。営業の人たちは成績があるので、こういう方法があるよと言われたら選択するが、決められたことをしっかりとやるというような職場ではこういう組織を望まないかもしれない。
まぁ、今回の本は、自分で買って読む本じゃないけど新鮮でした。

H
この本の内容は、だいたい知っている内容だと思うが、参考になったところはありましたか?

O
P47 カオスを楽しむことでチームも楽しいことになっていく
「理不尽」はカオスと訳してもいいでしょう。世の中は、真面目に暮らしていても理不尽なことも起ります。それでも大切なことは、うまくいかないときにどう楽しめるかということです。この原理原則を頭に入れておかなければなりません。

チームの育成においても、指導者の思うように選手が育っていくわけではありません。選手たちのミステイクにいらだってもしかたありません。

理不尽を楽しめるようになってくると、結果だけに頼ることなく前進していくことのできる強い意志が身についているものなのです。


このへんが、なるほどね、と思った。

あと、青学の原監督も言っているけれどP118のわくわく感を出すというのも大事だと思うし、物事をうまくいかせる大事な秘訣だと思った。

P118 結果が出るからワクワクするのではなく、ワクワクする先に結果が出る。
P118 常日頃からいろいろなことにワクワクしながら打ち込むから、その先に結果が出てくる。

H
これは、心理学にもあるが、「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなっていく」というのに似ている。いやだいやだと思っていると結果も暗くなりがち。

※リチャード・ワイズマン博士は、「アズイフの法則」と読んでいます。"as if"とは「〜のように」という意味の熟語。つまり「〇〇なように振る舞えば、〇〇になれる」という話です。行動が感情を生み出すという説をとるなら、人はあたかもそれを体験したかのように行動しさえすれば、いかなる感情でも望み通りに作りだせるはずであるというもの。

アトランティック大学の心理学者サラ・スノドグラスによる実験では、集まった被験者はそれぞれ違った歩き方をするよう指示されました。

参加者の半数は大股で、腕を振り、背筋をのばして歩くように指示された。もう半数は小股で、のろのろと、うなだれて歩くように指示された。
そしてその全員にアンケートを取り、「歩いたあと、どのくらい幸福を感じたか」を回答してもらいました。すると、大股で歩いた人たちのほうが、のろのろ歩いた参加者より幸福感を感じる度合いがはるかに高かったのだ。
という結果が得られたそうな。私たちが「小股で、のろのろと、うなだれて歩く」のは、主に気分が落ち込んでいるときです。対して「大股で、腕を振り、背筋をのばして歩く」のは、元気がみなぎっていて幸福で、気分が上向いているときの行動といえるでしょう。

足どりを少し変化させるだけでも、心理状態に大きな影響を及ぼすのであります。

O
簡単に書いてあるけど、ワクワクさせるっていうのは大変なこと。

※ P119 どのようにしてワクワクを演出するのか
できそうだな、やれそうだなという目標設定がポイントになります。
届くか届かないというような目標設定をしていくことが大切です。


O
あとは、先ほども言ったが、P88 一流の料理人は、素晴らしい素材があるから美味しい料理がつくれるわけではなく、それなりの素材でも美味しい料理をつくります。

サッカーの青森山田高校は、全国から優秀な選手を集めてもなかなか勝てない。東福岡高校などは、全国から選手を集めてはいないがラグビーもサッカーも全国制覇している。サッカー部の監督が初めて全国制覇したときに話した言葉。「自分はずっとスパルタでやってきた。しかしこれだと県代表にはなれても全国大会にいくとスーパースターがたくさんいて、選手が不安がってみなが監督を見てどうしたらいいんだろうという顔をする。それを見たときにこれはダメだ、全国大会でこのチームでは勝てないと思った。それで一人ひとり考えてプレーするように変えたときに全国制覇できた」。

右向け右はある程度の組織はつくれるが、自分で考えられる組織をつくるととてつもない結果がでる。右向け右の組織でも業績を上げている会社もあるが、大変なときになると人が逃げていくし、どこかで息詰まる。

この本の内容は、企業にも充分当てはまると思う。
ただ、管理する会社だったり、クリエイティブな企業、IT系に当てはまるかどうかは不明。もともと自発的な人でないと仕事ができないところであれば、この本に当てはまるかどうかは不明。

P30 ボトムアップ理論では、「プレーヤーズ・ファースト」が原則です。つまり、選手が主役です。
会社で社員が主役ということであれば、社員からの意見をどんどん引きだしていくことが重要になるということです。


O
現場が言ったことを現場ができる組織を目指す。できるようになってから任せるのではなく。

H
P116 良案は年齢に関係なく思いつくもの
今までは、4年生の考えた戦略をトップダウンで3年生、2年生に押し付けていたが、それでは試合で勝てない状況が続いた。そんなとき、下級生から戦略の提案があり、それでやってみたら連戦で勝ち続けた。

すべてではないが、広く意見を聞くというのは大事だと思う。

Ka
知らない人の方が斬新な発想をすることがある。ベテランの社員はそれをサポートしてあげるといい。
「教育」は、その人が本来持っている能力を「引き出す」ことなので。

※ 斬新な発想については、自分の仕事があとで他人に使われることを想像できる人ほど、斬新なアイデアを思いつきやすいようです。

Ka
教育者というと吉田松陰が上げられる。

H
吉田松陰は本やテレビでは立派な教育者像がつくられているが、それは一面で相当クレイジーな面もあった。

O
クレイジーな面はあったかもしれないが、間違いなく門下生はすごい人物が育った。

T
吉田松陰は中国古典を総なめにしている。孔子等の戦略的なことも総なめにしている。
陽明学の「知行合一」という言葉を彼の人生の中で実現した。だからみんながついていった。言っていることとやっていることが一緒ということで。また脱藩して全国を歩き回っていた。だから良い刺激を受けて、日本に対する危機感を聞いている。また江戸では佐藤一斎や佐久間象山の影響を受けている。本や人物から学び、生きている人間はこうして生きてきているということに気づいた。だから自分の人生で体現して、それを弟子も見ていた。

※ 佐藤一斎。1772~1859 江戸時代後期の儒者。朱子学や陽明学に通じ、幕府の学問所「昌平坂学問所」の儒官(現在の大学学長)を務めた。門人に佐久間象山や横井小楠、渡辺崋山らがおり、象山の教えを吉田松陰や勝海舟、坂本龍馬が受けた。著書「言志四録」は西郷隆盛も手元に置いて学んだという。

H
脱藩はあの時代では切腹と同じくらい死罪に値することなのに、吉田松陰は東北に友人と一緒に出かける約束を守るために脱藩した。すごいなと思った。
ただ、吉田松陰の行動は全部受け入れられていたわけではなく、弟子たちに時の老中の暗殺を指示して、それについていけず、弟子たちもみんな離れていったりしている。だから、吉田松陰はダメということではないが。

T
これは、信念があって、言ったこと。

H
吉田松陰が言った「諸君、狂いたまえ」という言葉は、一心不乱に何かに打ち込めということを言っているのだと思う。狂うというのは「気違い」という意味で言っているのではない。

T
江戸時代は侍の時代。朱子学は、科挙の試験で採用され、科挙に合格するため学問となり、成績の良いものがのし上がっていく時代となる。
朱子学(権威に従い、秩序を重んじる)から陽明学(権威に盲従せず、習った学問を実践する)に変わらないと日本の現状は打破できない。それを乗り越えないといけないというのが「狂」につながっていったのではないか。
朱子学というのは良い役職につくとか、出世の制度のための学問。陽明学はそうではなく、「知行合一」といって正しいことを実践していかなければいけないという考え方。行動を通じて学びなさいということ。原因をきちんとつかんで対応しなさい。そういうことをきちんとわきまえたうえで行動しなさいということ。

1.「知行合一」(実践のうえで知と行とが一致することを要請すること)、2.「格物致知(かくぶつちち)」(自然な心情、本来的な心のはたらきを徹底的に発現させること)、3.「事上磨錬(じじょうまれん)」(人の心の中には良心があると同時に、また私心もある。心の中にある私心を1つずつ、克服して、常に良心で生きられるようにする。この修行を日常の中で実践しようとすること)、4.「抜本塞源論(ばっぽんそくげんろん)」(木を根本から引き抜き、水の流れ(水源)を塞いで止めること。根本の原因を取り除いて、弊害が再び起こらないようにすること)。陽明学はこの4つがベース。

Ka
今の時代は人を大切にしていない。「一億総活躍時代」というのは、GDPを高めたいだけのように見える。

※ 「一億総活躍社会」というキャッチフレーズ、そのネーミングが「活躍しろ」または「活躍してもらいます」というメッセージに聞こえる。また、活躍できない人、重い病気の人、障害のある人などにも活躍することを求めるような感じになっているのもどうかと思われる。

O
事故というのは、今は大したことではなくても、なんらかの偶然が重なると大惨事を巻き起こすもので、会社の屋台骨をゆるがすことになるもの。
「ヒヤリハット」が必ず大きな事故につながる。それを経営者は考えておかないといけない。

Is
ミスは真新しいミスはなく、繰り返されている気がする。それを防ぐためにどう教えていくかということが難しい。そういうミスをいかに自分のこと捉えてもらうように教えていく。

Ka
私は「自分ごと」がテーマ。「自分ごと」と思えばがんばれる。
どうすれば「自分ごと」と思えるかの仕組みづくりが大事。

Is
非懲罰の制度もよいと思う。ミスを起こしたくて起こしている人はいないので。

T
ミスを自分のことのように捉えるには、たとえばIsさんがミスを起こしたとする。どうして起こしたの?と聞く。ミーティングをやっていろいろ聞く。そのミスのプロセスなりをいろいろ聞く。そして1人ひとりにIsさんがこう言ったけど、どう感じた?という感想を聞いてみる。
これを見ている人は観察力をもって見ないといけない。そうすると自分のこととして捉えて感じている人と、捉えていない人がいる。あいつはいつもああやっているんですよ、と捉えている人もいるかもしれないし、自分のこととして捉えている人もいるかもしれない。相手の感じ方をすくい取って話しをしないと、1人ひとりがどう感じているかわからない。

H
共感させることで「自分ごと」として感じられる。
共感力を高めるためには、P72の信頼関係を築くノートの活用術が良いと思った。

もう1冊のコミュニケーションノートは、トレーニングノートとも呼び、週2日あるサッカーの練習や休みの日の過ごし方を24時間コーディネートし、自主トレーニングのメニューや、休むのであればプライベートの過ごし方や勉強のことも書きます。
デートをしたのであれば、それも記入するようなノートです。ある意味、信頼関係を築くコミュニケーションの本質は、サッカーそのものにあるのではなく、それ以外の日常生活の中にあるのです。


※このコミュニケーションノートについては、 『こころのマネジメント~ひとりのメールが職場を変える』田坂広志 著より少し長いですが引用します。

この本の中では、「コミュニケーションノート」のことは、「ウィークリー・メッセージ」といい、週1回、職場のメンバーとの間でやり取りします。その際のルールは3つで、第1は、プライベートなことでも自由に書いてよい。
第2は、他のメンバーに対する誹誇、中傷、冷笑はしない。 第3は、交換したメッセージを、決して職場以外のメンバーに伝えないということです。
第3のルールについては、メッセージを発信するメンバーの気持ちのなかに「このメッセージは、同じ職場のメンバー以外の誰かに読まれるかもしれない」という懸念が生まれると、当然のことながら、率直に自分の気持ちを述べたメッセージを発信することができなくなるからです。

▼ウィークリー・メッセージによる相互理解
このような「ウィークリー・メッセージ(コミュニケーションノート)」は、酒の席だけでは知ることのできないメンバーの人柄を知ることができるからです。酒の席で見せる姿だけが、その人の本当の人柄ではありません。
「文は人なり」とよくいいますが、こうした「ウィークリー・メッセージ(コミュニケーションノート)」の文章に表れる人柄もまた、その人の1つの姿であり、そうした側面を知ることも意味があるのです。
新人に、職場のどのグループに加わってもらうか。どのプロジェクトに参加してもらうか。そうしたことを考えるときに、私たちマネージャーは、無意識に、この「相性」を考えています。「彼女は、あのグループの雰囲気にはなじまないかな……」「彼は、あのプロジェクト・リーダーとの相性はよさそうだ……」などと考えているのです。そして、こうしたとき、その新人やメンバーの人柄についてよく知っているということは、きわめて重要なことなのです。そうした意味で、私たちの職場における「ウィークリー・メッセージ(コミュニケーションノート)」は、とても大切な役割を果たしてくれているようです。

▼人柄や個性を知る方法
しかし、「ウィークリー・メッセージ(コミュニケーションノート)」のこうした「効用」は、マネージャーやメンバーが新人の人柄を知ることができるということだけではありません。当然のことながら「逆も真なり」 です。
私の職場では、新人に対して、毎週の「ウィークリー・メッセージ(コミュニケーションノート)」を丹念に読むことを勧めます。すると、新人の皆さんは、実に熱心に、それらの「ウィークリー・メッセージ(コミュニケーションノート)」を読みます。当然でしょう。無味乾燥な業務マニュアルを読めといわれるよりも、よほど面白いですから。たとえば、「なるほど、Sさんは、見た目は怖いけれども、気さくな人柄なんだ」「Aさんは、昔、スポーツに打ち込んでいたのか」「Mさんは、家族思いの人のようだ」「Kさんは、環境問題がライフワークなのか」「Lさんは、厳しいプロフェッショナリズムの持ち主だ」など、さまざまなことがわかります。
したがって、もし新人が3カ月ほども「ウィークリー・メッセージ(コミュニケーションノート)」をしっかりと読むならば、職場のメンバー1人ひとりについて、ある程度、その人柄や個性を理解することができます。いや、それだけでなく、過去の経歴や特別な経験、家族の構成や趣味の世界を知ることもでき、ときには、1人ひとりのメンバーが抱く理想や思想、さらには職業観や人生観などを感じることもできるのです。
そして、いうまでもなく、同じ職場のメンバーの人柄や個性を理解することは、新人にとって、これから仕事をしていくうえできわめて大切なことです。

▼円滑な協働作業のために
なぜならば企業の職場における仕事というものは、その大半が「協働作業」だからです。他のメンバーと力をあわせて作業をしていくことだからです。そして、この協働作業を円滑に進めていくためには、何よりも、メンバーが互いをよく知っていなければなりません。逆にいえば、互いをよく知っていないと、仕事が円滑に進まないのです。
私のささやかな経験では、だいたい協働作業がうまくいかないときというのは、ほとんどの場合、互いに相手をよくわかっていないということが原因のようです。たとえば、MさんがはじめてNさんと一緒に仕事をしたとします。そのとき、ちょっとしたトラブルがあって、MさんはNさんに対して「あの人は仕事が大雑把だ」といった批判的な気持ちを抱くときがあります。しかし、しばらく一緒に仕事をしてNさんの人柄をよく知ってみれば、たしかに少し大雑把なところもありますが、Nさんは底抜けにお人よしであると感じることがあります。そして、こうしてよくよくNさんの人柄を知ってみれば、それまで欠点と思えたものも、むしろ「包容力の大きさ」に見えてくることさえあります。そんな経験がないでしょうか?
また、たとえば、OさんがはじめてPさんと一緒のプロジェクトに参加したとき、これもちょっとしたことで、Pさんに対して「あの人は神経質な人だ」と嫌悪感を抱くときがあります。しかし、それからしばらく一緒にプロジェクトに取り組んでPさんの人柄をよく理解してみれば、たしかに多少神経質なところもありますが、むしろきわめて几帳面な性格で、プロジェクトにおいてはもっとも信頼できるメンバーであることがわかったりします。そして、こうして深くPさんの性格を知ってみれば、欠点と見えた「神経質さ」も、むしろ「細やかさ」に見えてくることがあるのです。こうした経験は、誰しも持っているのではないでしょうか?
このように、職場において協働作業がうまくいかないときというのは、ほとんどの場合、互いに相手をよくわかっていないということが原因のようです。

T
試験の研修を全国から400人集めてやったことがあり、そこで4回受験しても受からない人がいた。
その人が「もう試験を受けるのやめようかな」とぼやいた。そのときに「俺なんか運転免許を8回も落ちたんだ」といったら安心して次の試験を受かった。そういうことを素直に言えるようなチームづくりが大事。
職場での失敗だけでなく、人生の失敗のようなことも振ってみて、お前もそんなことをしたんだという雰囲気になると良い。

Is
なかなかボトムアップという環境でもないと思うので、そういう環境づくりは大事かと思う。

T
昔は仕事が終わるたびに職場のみなで飲みにいったり、休日には旅行に行ったりした。

O
昔の本社は楽しかった。

H
本の中で、ボトムアップの組織をつくるうえで大事だと思ったところは、P13の「いいえ」を言える環境を作るというところ。さらに、「いいえ」から「わかりません」、「僕はこう思います」と自分の意見をはっきりと言えるような、ストレスなく安心して何でも発言できる環境を心がけています。

こういう環境をつくるといろんな意見が上がってくる。あとは「コミュニケーションノート」という仕組み、その部や課のメンバーが週末はこんなことをやっている、あの人はふだんはこんなことを考えているのかなどを回覧することで、課長はこういう人なんだあの先輩はこういう人なんだということがわかって、コミュニケーションがよくなると思う。

あとは、P92の「教えて」と聞く評価のところ。生徒たちがいろんな質問をしてきたときに、「そんなこともわからないのか」と返すのではなく、聞いてきたことにも評価をする必要があります。
というところ、そういうところを工夫していくとコミュニケーションも良くなるように思う。

・続きまして、Tさんどうぞ。

T
一通り読んで「なるほど」と思った。昔のことを思い出した。交換日記ではないが、「粉骨砕身表」というのをつくって、1人ひとりの力に応じて目標や反省を書かせていた。そこにメンバーが個人的な気持ちを書いてきたことがあった。それに対して、コメントを書いていたりした。「ちょっとおかしいな」と思ったときには、喫茶店に連れ出して1時間くらい話すと、事情がわかって、そのメンバーの上司にそのメンバーの状況を知らせて注視するように促したりした。あの当時はとてもコミュニケーションが良かったように思う。
うまくいかないということは、悪いことじゃなくポジティブに転換させる。失敗に良い面があることを見つける。あるメンバーの数字が上がらない。できなかったことに対して、責めるのではなくて、やってきたことに対してもっと数多くやったらどうか。どういう風にやったらよいか。ということを双方向の会話でやっていた部分がある。
役割の部分では女性スタッフを集めて美化の部分をやってもらったりした。美化に対してはいくらお金を使ってもよいと言ってあるから女性スタッフが花を買いたいといったら買ってあげたりした。
女性スタッフたちも張り切ってお店をきれいにする便りなどをつくったり、お互いに役割を決めてやっていた。
1週間に1回、店舗を回るのだけれど、コミュニケーションというのはすごく大事。
なかには育ってきた環境などによってどうしても物事をネガティブに考える癖がついている人もいるが繰り返しコミュニケーションを取っていくことが大事。

・では、続きましてHさんどうぞ。

H
途中でいろいろ発言しているので、その他で大事だなと思ったところではP56の良いところを見つけて伸ばすというところ。

別の本ですが、人が一番信用できないのは自分自身だということ。なので、たいていの人は放っておくと、マイナスになりがちになる。そのため、褒めて褒めて褒めまくるくらいでちょうどいいんだという。

P57 しっかり褒めてあげることで、自立心、主体性が芽生えてきます。
P56 人は、どちらかというと人の悪いところにはすぐに気がつき、目にとまります。

※ シドニー五輪で高橋尚子選手を女子マラソン優勝の栄冠へ導いた小出義雄監督は、大きな期待を選手に伝え、さらに褒めまくる才能を持っていた。「1番になれるよ。世界一になれるよ。絶対になれるよ」と、繰り返し、褒めて褒めて褒めまくった。
高橋選手は、自分は世界一のマラソンランナーになれるものと思い始める。そうなるとどうしようもなくワクワクしてきて、「やめろ」といわれても喜んで努力してしまう。

一時期うちの会社でも「褒める運動」があったが、褒めると調子に乗ると下火になった。でも、褒めて褒めて褒めまくるくらいがいいんじゃないかと思った。

T
人は、人に認められるというのが大事。会議でもみんな何か言いたい。けれど、上の人が最初から長々と話すからみなが話せない。会議ではなるべく自分は抑えて人に話させようと思っていた。なぜかというと参加しているからにはみな何か言いたい、参加したいと思っているから。

H
昔、研修で背中にA3の画用紙を貼って、その人の良いところだけを書くというのがあったが、これはけっこう印象に残っている。褒められるというのはうれしいもの。
こういうのをミーティングなどで実施すると他人の長所に目が行くようになり、自分の長所にも気づけるようになるのでは。

以上、このへんで時間となりましたので終わりたいと思います。

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