読書日より

読書記録です。

雷の季節の終わりに   (恒川幸太郎)

2007-04-14 22:51:24 | 本一般
春夏秋冬のほかに、穏には雷の季節がある。
帯ってやっぱいいものはいい。
この本も帯がその役割をきちんと果たしている。

  雷の季節にはよく人が消える。
  それはもう仕方がないんだ。

本の内容とずれてもいないし、誇張してもいない。
ちょうどいい段階の言葉。

  時が過ぎ去っていくのがわかるでしょう。
  じっと考えるのよ。過ぎ去っていく一年に起こった全てのことを。


【雷の季節の終わりに 恒川幸太郎 角川書店】

悲しみよ こんにちは  (F・サガン)

2007-04-08 01:31:11 | 本一般
セシルの焦燥が色濃く反映されているだろう一冊。
どうしてもそういった感情ばかりがざわつく時どうしようもない。

アンナの死はセシルにとっての必然というよりも、アンナにとっての必然なんだろうな。
変な言い方かもしれないけれど、
あんなに毅然としたひとの過失ってなんかしっくりこないし。
シリルの存在が一過性の夏であることも必然である気がする。
アンナがいなくなったからこそシリルも必要なくなるみたいな。

新潮社のおとなの時間フェアよいね。


【悲しみよ こんにちは F・サガン 新潮社 新潮文庫】

ドミノ  (恩田陸)

2007-04-08 01:08:29 | 本一般
そしてドミノ。
こうゆう計画的な狙ったものもなかなかよいね。

その時間に東京駅に偶然にも居合わせた人たちがみんな主人公。
ほんとにみんな。
あまりに多すぎて名前が覚えきれないのが欠点。

伊坂幸太郎『ラッシュライフ』は4パターンから(だったと思うけど)成り立ってまるで交差点な感じだったのにたいして、
余りに雑然としてる感じはある。
さすが東京。

てか話が『ドミノ』っぽいかんじがしないのがな。

それはまた別のドミノの話であり、これから倒されるかもしれない別の一片のピースに過ぎない。

おそらくドミノの記述はこれだけなのがな。ちょい不満。


【ドミノ 恩田陸 角川書店 角川文庫】

夜のピクニック  (恩田陸)

2007-04-08 00:53:41 | 本一般
学生時代(今もまだそうだけど)の出来事って、特徴的であればあるほど心の中にいつまでもじっくり居座るよね。
通っていた学校であるならば、運針とか変なリボンとか黒ストとか?

とまぁ、そんな歩行祭。
これから何度もこういった一生に一度が訪れるんだ。
っていうとおり。

これ読んで一番思ったことは恩田陸は健全で実に現実的な思考をもつということ。
非現実的なことは全く起こらない。
現実のなかで少し浮いた感情を描くことはあってもその先には決して行かないんだろうな。

それはもちろん悪いこととかではないんだけれど、物語が盛り上がりきらないっていうのはあるかもしれない。
前に『MAZE』(題名があやふや)で最後の最後で現実に引き返させられたことがあって、あの作品ではマイナスに向いていたものが、『夜のピクニック』では上手く作用しているからいい。

この歩行祭も(当人たちの間で)おぼろげに語られることはあっても、きっと曖昧になっていくんだよね。


【夜のピクニック 恩田陸 新潮社 新潮文庫】