井の頭公園

雪が残る午後、
久しぶりに井の頭公園へ出かけたら、池の水が抜かれていた。
井の頭公園は、私が上京して初めて行った時はまだ木の橋だった。
池の周りも、ごく自然に岸辺に水が波打って揺れていたので、
大雨が降ると橋が池に埋まる事がたびたびあり、そして
ある年の台風で、とうとう橋が壊れて、現在の丈夫な橋に改築された。
うすく目を閉じると、30年ほど前の公園風景が
ぼんやりまぶたにかすんで見える。
あの頃は、今より人通りも少なくずいぶん静かで、
ベンチに座ってだんごを食べて、何時間でものんびり出来た。
整備された今の風景も良いのだけれど、
もう少しだけ、あの頃の静かな時間があってもいいなと思う。
年月は後戻りしないんだよねと思う。